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「CBD」製品ってほんとに大丈夫? 中には微量の大麻が含まれていることも…取り扱い方や効能、違法性について弁護士に聞いてみた

2023-09-29 eltha

 大麻草の成熟した茎や種子のみから抽出し製造される「CBD」。昨今、このCBDに関するさまざまな製品が出てきて、徐々に広がりを持ち始めています。人間の体の多くの部分に作用して効果をもたらし、健康とウェルネスの支持に役立つと考えられて注目を集めるCBDですが、まだわからない部分も多いです。そこで今回は、CBDに詳しい永滋康先生に、CBDが人体にもたらす影響や副作用、違法性の有無や選ぶ際の注意点などについて話を聞きました。

リラックス効果から痛みの緩和まで… 人体にさまざまな有効的な影響をもたらす「CBD」

――そもそもCBDとは何ですか?

【永滋康】「CBD」はCannabidiol(カンナビジオール)の略で、大麻草などに含まれるカンナビノイドという成分のひとつです。大麻草の茎や種子から抽出され、近年はリラックス効果などの人体への有効な影響があるという研究報告が出たことで注目を集めています。CBDに中毒性はなく、酔ったような状態、いわゆる「ハイ」になる効果もありません。

――CBDは法的には許可されているのでしょうか?

【永滋康】大麻草の部位・成分は、「花」、「葉」、「穂」、「根」と成熟した「茎」、「種子」の6つに大きく分けられます。大麻取締法で規制される「大麻」とは、「花」や「葉」、「穂」や「根」であり、成熟した「茎」や「種子」は規制対象外です。CBDは成熟した茎や種子から抽出される成分のため「大麻」には該当せず、大麻取締法の規制対象外となります。

――THCという成分もありますよね?

【永滋康】大麻草の「花」や「葉」の成分にはTetrahydorocannnabinol(テトラヒドラカンナビノール)、いわゆる「THC」が含まれています。THCはCBDと同様に大麻草から抽出されるカンナビノイドの一種ですが、両者は全く異なる成分です。マリファナの主成分であるTHCにはハイになる効果があり、中毒性もあります。当然、THCが含まれる製品は「大麻」に該当するので、大麻取締法にて所持などが厳しく禁止されています。

――CBDが人体に及ぼす効果にはどういったものがありますか?

【永滋康】まずはストレス緩和やリラックス効果。CBDにはセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質に反応し、ストレス緩和や不安軽減といった効果があるとされています。次に、痛みや炎症の緩和効果。ケガなどの外傷による痛みのほか、体内の炎症で起こる痛み、神経症による痛みなど、さまざまな種類の痛みを緩和する効果があるとされています。

――痛みの緩和効果もあるのですね。

【永滋康】安眠効果も期待できます。CBDのリラックス効果や不安軽減効果に伴い不眠の症状を和らげ、結果として安眠につながると言われています。睡眠の質を上げて睡眠障害や不眠解消の効果があるとの成果も発表されています。そして、海外ではCBDを難治性てんかんの医療用薬品として使用している国もあります。これについては日本でも治験が進められています。

――では、CBD製品の主な使用方法は?

【永滋康】主に4つの使用方法があります。1つ目はCBDを口から直接摂取する「経口摂取」。CBD配合のガムやクッキー、グミなどの食品やドリンクといったCBDエディブルやCBDカプセルなどの製品があり、気軽に摂取できることが大きなメリットです。

 2つ目はCBDオイルを舌の下に数滴垂らして吸収する「舌下摂取」。舌下の毛細血管から吸収されるため、経口摂取よりも吸収率が高いです。

 3つ目は電子タバコを利用してCBDリキッドを気化させて肺に取り込む「吸引摂取」です。肺に直接取り込まれるため、CBDの効果をより強く感じやすいです。4つ目はCBDが配合されたジェルやクリーム、ローションなどを手などの皮膚に塗る「経皮摂取」。クリームなどを塗った付近でしかCBDを取り込めず、効果は局所的ですが、ニキビやおできなどの局所的な皮膚の炎症の対処には高い効果が期待できます。

THC成分が含まれていないかの確認が重要 CBD製品を選ぶ際に注意すべきポイント

――最近はCBD製品が広がってきていますが、そのことについてはどう感じていますか?

【永滋康】CBDにはリラックス効果があり、依存性などはないため、さまざまなCBD製品が出てくるのは望ましいことです。しかし、具体的な効果や適切な一日の摂取量、既存の医薬品との混合摂取のリスクなど、明らかになっていない部分もあり、厚生労働省などによる1日のCBD摂取量に関する基準値や推奨量も公表されていません。CBDの摂取のし過ぎは下痢などを含む副作用を引き起こす恐れもあるので、体調の変化を見ながら少しずつ摂取するといいでしょう。

――CBDの副作用について詳しく教えてください。

【永滋康】主に下痢などが指摘されていますが、適切な使用量を守っていればそれほど心配する必要はありません。ただ、CBDはほかの薬との相互作用で副作用を強めたり、薬の効果を増幅させたりする恐れがあるので、薬を服用中の人がCBD製品を使用する際は、主治医に相談しましょう。CBDが乳幼児に与える影響も現時点では不明な部分が多いので、妊娠中や授乳中の方も医師に相談してください。

――医師への相談は大事ですね。

【永滋康】あと、CBDはリラックス効果がありますが、強い眠気を感じる場合には自動車の運転などは控えるようにしてください。CBDには大きな副作用はないとは言われています。しかし、CBD製品を摂取して少しでも違和感があった場合は、すぐに医師に相談してください。

――CBD製品を選ぶ際の注意点は?

【永滋康】CBD製品として販売されているにも関わらず、実際には微量ながらも「大麻」であるTHCが含まれているものもあります。THCが含有されている以上、これを所持すると大麻取締法違反となるので、CBD製品を購入する際には注意が必要です。そして、CBD製品は精製方法によって、「アイソレート」、「ブロードスペクトラム」、「フルスペクトラム」の3種類があり、含有されている成分がやや異なります。

――その3種類には、どのような違いがあるのですか?

【永滋康】「アイソレート」はCBDのみが含有成分です。THCが含まれていないので、初めてCBD製品を購入する際にはアイソレート精製のものを選ぶといいでしょう。「ブロードスペクトラム」はTHC以外の大麻草の成分が含まれていて、CBDのみが含有成分ではありません。THCは含まれていませんが、ブロードスペクトラム精製のCBD製品を購入する際はラベル記載の含有成分などをきちんと確認してください。「フルスペクトラム」はTHCを含む大麻草のすべての成分が含まれています。THCが含まれているので、フルスペクトラム精製のCBD製品は大麻取締法に抵触し、所持すると違法になる恐れがあります。

――よく見ないと危険ですね。

【永滋康】CBD製品を購入する際には、THC成分が含まれていないかの確認が非常に重要です。海外輸入の一部商品のなかには、CBD製品としていながらもTHCが一定量含まれているものもあります。そのため、THCが含まれていないか、アイソレート精製かブロードスペクトラム精製かなどを、製品ラベルを見て確認することが重要です。安易にネットで個人輸入などはせず、信用できるメーカーから輸入された製品であることをしっかり確認して購入することが大切です。

――CBDを日常的に使用する際に推奨される摂取量は?

【永滋康】1日の摂取量は厚生労働省などでも具体的な基準値は示されていません。適切な摂取量は、摂取する人の身長や体重、摂取する目的のほか、既往歴の有無や、服用している薬の種類と量などによって異なります。初めてCBDを摂取する場合は、いきなり大量には摂らず、1〜2mgなど低用量からスタートして様子を見ましょう。英国食品基準庁では、CBDの摂取量の上限は、健康な大人で1日70mgとされていて、70mgを超えると健康に有害な影響が出る可能性があるとされています。

 CBDは効用も含めてまだ不明な点も多く、今後は日本国内においても厚生労働省から使用にかかるガイドラインや法規制などが出されることが見込まれます。CBDにはリラックス効果や安眠効果など、人体に有用な効果も多く認められていますが、体内に直接摂取するものである以上、各自の体質やその日の体調に合わせて無理せず摂取することを心がけてください。
弁護士法人 永 総合法律事務所 代表弁護士 永 滋康(えい しげやす)

監修者 弁護士法人 永 総合法律事務所 代表弁護士 永 滋康(えい しげやす)

慶應義塾大学法学部法律学科 卒業。中小企業法務、不動産取引法務、寺社法務を専門とする弁護士法人永総合法律事務所の代表弁護士。日本弁護士連合会代議員。第二東京弁護士会常議員。文部科学省再就職コンプライアンスチームメンバー。東京家庭裁判所 家事調停委員。
弁護士法人 永 総合法律事務所HP:https://ei-law.jp/
寺社リーガルディフェンス:https://ei-jishalaw.com/

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