「これって写真詐欺?」かわいすぎる“前髪猫”、譲渡先が決まらない理由とは？「いつか良いご縁が！」

　NPO法人『ねこけん』では、多くの保護した猫たちを新たな家族の元に送り出すべく、譲渡会を行っている。愛媛から来た「ガリ山ノミ男」も、参加猫の中の1匹だ。その名のとおりガリガリ、ノミだらけだったこの猫は、とてもキレイにかわいらしく変貌したように見えるが、まだ譲渡先が決まらない。そこには意外なワケがあるようで…。代表理事・溝上奈緒子氏に話を聞いた。

　以前も紹介した『ねこけん』の「ガリ山ノミ男」は、愛媛への出張手術の際に保護された猫。当時、かなり汚れていてガリガリ、脱水症状。そして、全身がノミの巣窟と化していた。

　「おそらく、四国の島で捨てられてしまった猫だと思われます。でもエサ場を探すことができなかったのか、ガリガリにやせこけていて。しかも大量のノミにたかられて血を吸われ、ひどい貧血状態だったんです」

　ボランティアたちの尽力で、『ねこけん』が引き取ることになったこの猫。その後、ノミは駆除され、ガリガリの貧血状態からも回復。あらためて去勢手術を受け、『ねこけん』での仮名として「ガリ山ノミ男」という名前をもらった。一見、おかしな仮名のようにも見えるが、保護の経緯のわかりやすさ、個体識別のために必要なことであり、また深い愛情も込められている。

　『ねこけん』に来てすっかりキレイになった「ガリ山ノミ男」は、意外にもとてもかわいらしい猫だった。なかでも“前髪”のように顔を縁取る模様が特徴的で、譲渡会でも「かわいい！」と人気に。遅れてきた“モテ期”が到来したかのように思われた。

　愛媛から上京してきて数ヵ月。10月の『ねこけん』ブログには、「今やすっかり、ふっくらかわいいおかっぱ男子へと変貌を遂げております！」という言葉とともに、とてもキュートなガリ山ノミ男の写真が投稿されている。そして、「もうすぐお見合いなの」と、新たな家族との顔合わせが控えていることもつづられていた。

　「ですが、まだ譲渡が決まってなくて、『ねこけん』にいるんです。すごくキレイに見える猫で、毎回問い合わせも入るし、お見合いの申し込みもあるんですが…。実はガリ山ノミ男は写真写りが良すぎて、実物とちょっと違っていて…（笑）。実際に会ってみたら“アレ？”ってなってしまうようで、まだご縁がつながってないんですね」

　たしかに、ブログにアップされるガリ山ノミ男は、元がガリガリ、ノミだらけの汚い猫だったのが想像できないくらい、クリっとした目、ふっくら丸い顔立ち、何より輪郭を縁取る前髪模様がとてもかわいらしい猫。「実物はかわいいのに、写真がうまく撮れない」という話はよく聞くが、ガリ山ノミ男はまさかの逆パターンだった。

　「とはいえ、いつかきっとガリ山ノミ男と家族になってくれる方は現れるはずです。これまでも、時間がかかった分、良いご縁に巡り合った猫はたくさんいます。今、ガリ山ノミ男は真菌の治療中で譲渡会をお休みしているのですが、これからも諦めず、幸せを探していきますよ！」

　写真写りが良いことがアダになってしまったガリ山ノミ男。だが溝上代表の言うとおり、きっといずれ、本当のガリ山ノミ男を選んでくれる人がいるはず。そんな幸せな報告を心待ちにしたい。

■NPO法人『ねこけん』

■『ねこけん』オフィシャルブログ