気になる「界面活性剤フリー」の表示…肌に悪い? 化粧品選びで気にかけておきたいポイントを聞いた
2024-01-17 eltha
実はとっても身近! 牛乳や大豆、卵などにも存在
他にも牛乳や大豆、卵などにも界面活性剤は存在しています。油とお酢に卵黄を混ぜることでマヨネーズができるのも、「レシチン」という卵黄に含まれる界面活性剤のおかげです。
私たちの生活にとって、界面活性剤はとても身近ですが、なぜ”よくない”イメージがあるのでしょうか。界面活性剤の種類や役割を知ると、その理由がわかります。
「汚れを落とす」ときに、界面活性剤が与える影響
●浸透させる
メイク汚れや皮脂汚れなどは水を弾くので、そのままだと落とせません。界面活性剤を加えることで、なじみやすくなって、落とすための準備ができます。
●乳化させる
水と油など、本来混ざり合わないものが混ざり合い、その状態で安定することを「乳化」といいます。メイクや皮脂などの油汚れを肌からはがすのも、「乳化」の力です。 またスキンケア化粧品は基本的に水性成分と油性成分を混ぜ合わせてつくるものなので、界面活性剤の「乳化」の力が必要です。美容液やクリームなどのあのトロっとしたテクスチャーは、乳化の結果なのです。
●分散させる
乳化によって肌からはがれたメイク汚れや皮脂汚れをぐぐっと引き出し、水中に分散させます。
●再付着を防ぐ
完全に肌から離れたメイク汚れや皮脂汚れが、肌にまたくっつかないようにします。
界面活性剤には牛乳に含まれる「カゼイン」、卵黄や大豆に含まれる「レシチン」、大豆やお茶に含まれる「サポニン」といった天然成分による「天然界面活性剤」と化学反応を利用して人工的につくった「合成界面活性剤」に分けることができます。「合成界面活性剤」のなかにも、数千もの種類があり、肌への刺激が弱いもの、ほとんどないもの、やや強いものがあります。
「化粧品や食品の乳化剤には、『非イオン界面活性剤』という肌への刺激がほとんどないものが使われます。化粧品に使われる界面活性剤のほとんどはこの種類です。かなり低刺激で、アイスクリームや乳飲料の食品添加物としても使われているほどです。化粧品の安全性を保ったり、保湿成分の肌への浸透を促したりする役割があるので、化粧品にとってなくてはならないものとなります」(株式会社アイ・ドット・クオリティの内田智子さん、以下同)
よくないイメージがあるのは「肌が弱っているとき、界面活性剤の種類(強さ)や配合する量の組み合わせによっては、トラブルの原因になる可能性があるからです」。
「肌の表面には“潤いのヴェール”と呼ばれる『皮脂膜』があり、水分の蒸発を防ぐ役割を果たしています。この『皮脂膜』は脂溶性(油の仲間)なので、界面活性剤の洗浄力で剥がれてしまいます。洗顔後に肌がつっぱるのは、このせいです。 また、皮脂膜の下には、ほこりや菌などの外部刺激や水分の蒸発から肌を守る『バリア機能』を備えた角質層があります。この角質層も、洗浄力が強い界面活性剤で洗うと傷ついてしまうことがあります。 さらに『乳化』の力で皮脂とくっついてしまうと、界面活性剤が肌の中に浸透してしまうこともあります。
界面活性剤の配合量が多くなりがちなアイテムが、落とす力が必要となるクレンジングや洗顔料です。界面活性剤フリーにこだわるよりも、肌質やメイクの濃さにあったクレンジングや洗顔料を選ぶことが重要です。さらに、肌が弱っているときや、敏感肌、トラブル肌の方は、界面活性剤の種類や配合量に注意して選んだほうがよさそうです。 そして、すすぎはしっかりおこないましょう」
監修者 内田智子
敏感肌用スキンケア「肌〇(はだまる)」を製造・販売する株式会社アイ・ドット・クオリティにて、EC事業部/広報部を兼任
〈所有資格〉
日本化粧品検定1級
日本化粧品検定特級コスメコンシェルジュ
公式Instagram
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