外の世界で生まれ、病気やケガで大変な状態になった子猫が、ボランティアに保護されて幸せになる例はたくさんあります。愛媛のクリニックで保護されたこの可愛らしい黒猫も、そのうちの1匹。この子猫がたどった運命とは? NPO法人『ねこけん』代表理事・溝上奈緒子氏に聞きました。
まるで別猫!大ケガしても「生きることを諦めにゃい!」子猫、見違える成長ぶりに感動
2023-10-26 eltha

可愛らしい黒猫の足には…(写真:ねこけんブログより)
子猫の足の傷が大変なことに…、「こんな子こそ救わなくてどうする!」

保護当時の子猫(ケガの部位は一部ぼかしています 写真:ねこけんブログより)
ある日、クリニックに連れてこられた黒い小さな子猫は、下半身に大きなケガをしていました。その傷口からは、なんとウジが…。ウジは死んだ組織や傷口から分泌される液体を食べる虫であり、感染すると激しい痛みや炎症を引き起こします。この子猫も、どんなに痛くて、どんなにつらかったか…。じわじわと体がむしばまれる中、必死に生きようとする子猫を見て、ボランティアたちは「こんな子を助けずにどうやってこの先活動をしていけるんだ! こんな子こそ救わなくてどうする!」と、決意を新たにしたといいます。
「この子猫は、お母さんといたところを保護されました。足の傷が大変なことになっていて、とてもじゃないですが歩くことなんてできない状態で…。でも骨は折れてはいないだろうということだったので、獣医の先生と一緒にウジをピンセットで取り除き、消毒をして薬を塗り、抗生剤を投与しました」
初期の治療はうまくいき、少しずつ元気を取り戻した子猫。その後は地元の保護団体の代表が預かり、毎日毎日消毒し、投薬をし、何日もケアを続けたそうです。その愛情に答えるかのように、子猫はぐんぐんと回復。ついに、愛らしく元気な子猫に戻りました。
人間の行動にかかる猫の命、子猫の幸せこそボランティアの努力の結晶

こんなに立派に大きく成長!(写真:ねこけんブログより)
『ねこけん』ブログには、すっかり元気になって成長した子猫の姿が投稿されていました。足の傷も目立たなくなり、すくっと首を伸ばしてカメラを見る目は、若い猫特有の凛々しさに溢れています。その後、猫は心優しい人とご縁が繋がり、トライアルへと出発したそうです。
「もしTNRで連れてこなかったら、この猫は一体どうなっていたのか。人間が行動するかしないかで、命が失われるかどうかが変わってしまいます。愛媛の保護施設も猫たちでいっぱいなので、東京の『ねこけん』に連れてくることも多い。ボランティアだってみんな一般の人だから大変なことばかりですが、それでも、行動しないと猫の運命は真逆になってしまう。だからせめて、リリースしたら外で生きていけない子だけでも保護しているのです」
たとえ傷にウジがわいても、生きることを諦めない猫たち。そして、救うことを諦める人もいない。無理を承知で、大変な道だとわかっていても進まずにはいられない。この子猫の命は、そうしてやっと繋ぐことができたかけがえのないものです。
世間には、TNRを批判する声もあります。いわく。「去勢・不妊手術をするなんてかわいそう」「また元の場所に戻して意味があるのか」。でも、「手術を進めていかないと、こうして不幸な運命をたどる子を減らすことができない」と、溝上代表は語ります。
TNR活動で、少しずつでも外で暮らす猫を減らすこと。外で生きていけない猫は保護し、新たな家族を探すこと。長い長い道のりですが、この子猫がつかんだ幸せこそ、それらが実った証なのかもしれません。
■NPO法人『ねこけん』
■『ねこけん』オフィシャルブログ
「もしTNRで連れてこなかったら、この猫は一体どうなっていたのか。人間が行動するかしないかで、命が失われるかどうかが変わってしまいます。愛媛の保護施設も猫たちでいっぱいなので、東京の『ねこけん』に連れてくることも多い。ボランティアだってみんな一般の人だから大変なことばかりですが、それでも、行動しないと猫の運命は真逆になってしまう。だからせめて、リリースしたら外で生きていけない子だけでも保護しているのです」
たとえ傷にウジがわいても、生きることを諦めない猫たち。そして、救うことを諦める人もいない。無理を承知で、大変な道だとわかっていても進まずにはいられない。この子猫の命は、そうしてやっと繋ぐことができたかけがえのないものです。
世間には、TNRを批判する声もあります。いわく。「去勢・不妊手術をするなんてかわいそう」「また元の場所に戻して意味があるのか」。でも、「手術を進めていかないと、こうして不幸な運命をたどる子を減らすことができない」と、溝上代表は語ります。
TNR活動で、少しずつでも外で暮らす猫を減らすこと。外で生きていけない猫は保護し、新たな家族を探すこと。長い長い道のりですが、この子猫がつかんだ幸せこそ、それらが実った証なのかもしれません。
■NPO法人『ねこけん』
■『ねこけん』オフィシャルブログ