【猫ビフォーアフター】山の中から保護した「魚みたい」にペッタンコな猫、ガリガリからふっくらに劇的チェンジ
2023-11-03 eltha
街の中には地域猫もいるが、山の中で猫は生きていけるのだろうか? 愛媛で保護された?せこけた老猫は、山中に暮らす90代のお年寄りが世話していたというが…。ガリガリだった猫がふっくらと変貌、今では安心して過ごしている経緯をNPO法人『ねこけん』代表理事・溝上奈緒子氏に聞いた。
汚れた毛玉は約1キロ、山の中で90代のおじいさんが世話していた猫
「カリシウイルスに感染していて、口や歯の状態が悪化し、ヨダレやにおいもひどい。毛づくろいもできないようで、体中ガビガビでした。毛玉だらけの汚れた長い毛を刈ると、それだけで1キロくらいありそうでしたね」
汚れて固まった毛を丸刈りにすると、バリカンは1つ壊れてしまった。「体はぺったんこで、まるでお魚のよう」と言われるほどのこの猫は、ゴハンも食べられない状態だったと思われる。急いで口腔内を治療して点滴などのケアを行ったが、なぜここまでの状態になってしまったのだろうか。
「もともと、山の中に住む90代のおじいさんがゴハンをあげていて、そこで増えてしまった猫のようです。でもその人が亡くなり、身内の方が山まで世話をしに行っていたと。そこには15匹もの猫がいるのですが、山には本来、猫はいないはず。餌やりをしていて増やし、多頭飼育崩壊に近い状態になっていたのではないかと思います」
しかも、身内の人も冬には山に行けない。少なくとも1ヵ月は、猫がゴハンを食べられない期間があるという。
「この痩せた猫も、手術後はリリースする予定でしたが、とてもじゃないですが元の場所で生きていけるとは思えない。高齢でガリガリで病気もあって、譲渡に向いた猫ではないのはたしかですが、こういう猫こそ保護しなくては。愛媛の保護場所も満室なため、東京に連れて帰ることになりました。他の猫も保護したいのは山々ですが、おそらくみんなカリシウイルスを持っているだろうし、他の猫と一緒にできない。すべてを救うことが難しいのが、本当に悩ましいところです」
保護から1ヵ月で少しふっくら、それなのに写真が撮れない理由とは?
愛媛での保護から1ヵ月。『ねこけん』のブログにアップされた写真には、「少しふっくら」した老猫の様子が写っていた。
「保護したときは1.8キロしかなかったのが、今では3キロくらいに増えました。顔は少しふっくらしてきましたが、体はまだまだ。でも、痩せていながらも、よく食べる子なんです。山で育ったせいか、トイレがうまくできなかったり、アレルギーで皮膚がかさぶたになっていたりもしますが、少しでも元気に安心して暮らしてほしいです」
ちなみに、最近の写真はブログに1枚しか投稿されていない。それには、「人が大好きすぎて、近づきすぎて写真が撮れない!」と、なんとも愛らしい理由があるそうだ。
「すごく人に慣れた、人間が好きな猫なんです。ゴハンをあげていたおじいさんも、きっととても可愛がっていたとは思うんですね。ですが、やっぱり可愛がるだけでは猫を幸せにできるとは限りません。動物を飼ったり、ゴハンをあげたりする人は、その後のことも考えて飼育をしてほしいと思います」
■NPO法人『ねこけん』
■『ねこけん』オフィシャルブログ