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どうして白い粉を吹く?“粉吹き顔”の原因と対策を専門医に聞く ベストな洗顔の温度は

2023-12-14 eltha

 冬は空気が乾燥して、肌の水分が奪われやすくなります。その結果、肌表面の角層細胞がはがれやすくなり、白く粉が吹いたように見える「粉吹き肌」になってしまうことがあります。見た目が悪いだけでなく、かゆみや刺激を感じることもあります。本記事では、その原因と冬の乾燥肌対策について、専門医に聞きました。

1年を通して“粉吹き顔”になる可能性がある…特にゴシゴシ洗顔はNG

 粉吹き肌の白い粉は、肌表面の角層細胞が乾燥してはがれたものです。人間の皮膚のもっとも外側にある角層では、角層細胞がレンガのように積み上げられ、そのすきまを細胞間脂質が埋めることで「肌のバリア機能」をつくり、外界の乾燥や紫外線、細菌など異物の侵入を防いでいます。

 しかし、乾燥した肌では、細胞間脂質や水分が減少しています。そのため、角層細胞1つひとつがはがれやすくなっており、肌と衣類がこすれ合ったり、肌を引っかいたりしたことがきっかけで、はがれかけた角層細胞が粉状に目立ってしまうのです。“粉吹き肌”というと、空気が乾燥する冬特有のものと思われがちですが、実は1年を通して、いつでも起こる可能性があります。

 近年の建物は機密性が高く、冷暖房を使用すると、室内の空気はとても乾燥します。そのような環境で長時間を過ごすと、肌の水分が奪われやすくなります。

 また、健康な肌は、ターンオーバーといわれる新陳代謝を繰り返すことで、角層細胞を常に新しく入れ替え、肌のバリア機能を維持しています。しかし、若い頃は約4週間の周期で行われる角層のターンオーバーは、年齢とともに周期が長期化します。古い角層細胞が肌表面に蓄積したまま自然にはがれ落ちにくくなり、粉吹き肌になりやすくなってしまいます。ターンオーバーの乱れは加齢によるもののほか、血行不良や睡眠不足、偏った栄養バランスなどでも起こりやすくなりますので、注意しましょう。

 さらに、肌は紫外線や摩擦などの刺激を受けると、防御機能が働いて角層を厚く積み上げる「角質肥厚(かくしつひこう)」を起こすことがあります。この状態でも角層が乾燥しやすくなり、粉を吹いてしまうことがあります。

 また、間違ったスキンケアも、肌の乾燥や粉吹きを起こす原因となります。洗顔の際に肌をゴシゴシこすったり、熱いお湯で洗ったりしていると、角層を傷つけてはがれやすくしてしまったり、水分の蒸散を招いて肌の乾燥が進みます。バリア機能が低下するとますます乾燥が進み、汗や酸化した皮脂、ホコリや花粉、カビ・細菌など、ちょっとした刺激にも肌が敏感になることもあるので気をつけましょう。

肌温度に近い32〜34度くらいのお湯がベスト たっぷり泡立ててやさしく洗顔を

 粉吹き肌を予防するには、以下の方法が有効です。

(1)保湿ケアの徹底:洗顔後や入浴後はすぐに化粧水で水分を補い、乳液やクリームなどで油分を補って水分が逃げないようにしましょう。乾燥肌や敏感肌向けの低刺激の保湿アイテムを選ぶとよいでしょう。

(2)洗顔方法の見直し:洗顔料はたっぷり泡立ててやさしく洗い、ぬるま湯で十分にすすぎましょう。肌の温度に近い32〜34度くらいのお湯がベストです。肌に合わない洗顔料や拭き取りタイプのクレンジングは避けましょう。

(3)生活習慣の見直し:ターンオーバーを促進するには、亜鉛やビタミンAなどの栄養素を取り入れるようにしましょう。また、十分な睡眠をとり、規則正しい生活リズムを心がけましょう。室内では加湿器の使用がおすすめです。

(4)紫外線対策:紫外線は肌の乾燥やダメージの原因になります。屋外に出るときは日焼け止めを塗るなどの対策をしましょう。

 “粉吹き顔”を放置すると、肌のバリア機能が低下してさらに乾燥が進み、しみやくすみができやすくなる可能性があります。乾燥肌は、化粧水や美容液などの水溶性のうるおいが肌になじみにくく、メイクののりも悪くなります。これも、肌のくすみを招く要因となります。シミやくすみが酷くなった場合は、日常ケアではなかなか直せません。その場合は、美容クリニックの専門医に相談するのも良いでしょう。

「部分的な濃いしみに対しては、レーザー治療が良いでしょう。レーザーを当てることでしみの元となるメラニン色素を破壊します。テープによる保護が必要ですが、順調な経過を辿れば1週間程度で瘡蓋となり、剥がれ落ちます。

顔全体のくすみに対しては、ピーリング治療がいいでしょう。ピーリングは専用のピーリング剤を肌に塗布することで、肌のターンオーバーを促し、くすみを改善に導きます。基本的にはダウンタイムもないので、初めての方でも受けていただきやすい施術です」(共立美容外科・遠山貴之さん)

 また、“粉吹き顔”もそうですが、しみやくすみができた場合の美白ケアも紫外線対策が重要です。

「年間を通して施術は可能です。ただ、しみやくすみ、美白ケアといった肌治療は、施術後の紫外線対策が非常に重要になってきます。冬は年間の中でも紫外線量が少ないと言われているので、最適な季節と言えます」(共立美容外科・遠山貴之さん)
遠山貴之(とおやま たかゆき)日本美容外科学会認定専門医/麻酔科専門医

監修者 遠山貴之(とおやま たかゆき)日本美容外科学会認定専門医/麻酔科専門医

1997年、順天堂大学医学部卒業。1997年、順天堂大学医学部付属病院・麻酔科に入局。2006年、共立美容外科・歯科に入局。2020年、共立美容グループ・総括副院長に就任。

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