「スマホ老眼」は治る? レーシック手術をした人は老眼にならない? 眼科医に聞いた
2024-01-19 eltha
全年齢帯で増えている「手元を見る作業」
岩見久司先生老眼の自覚は概ね40代、特に45歳頃から徐々に強くなってきます。目を酷使したから老眼が進むというわけではないのですが、スマホなどの普及により昔より手元を見る作業が全年齢帯で増えております。
Q:「老眼」はどうしてなるんですか?
岩見久司先生眼の中にはピントを調節する水晶体というレンズが備わっています。この水晶体が加齢に伴い固くなるのがいわゆる老眼です。生活でどうにかなるものではなく、生きていれば皆さんがなってしまうものです。
Q:主な症状とは?
岩見久司先生ピントを手元に寄せることができなくなり、近くが見えない、ピントをもとに戻すのも遅れますので、近くを見た後に遠くが見えない、という症状が出てきます。
さらに、調節をしていない時のピントの状態は“個人差”が大きいです。もともと遠くにピントが合っている遠視の方は、近くを見るためにより多くの力が必要になります。そのため、老眼を感じるのが早く、強く感じます。
近くにピントが合っている方は、老眼が始まっていても眼鏡(またはコンタクト)を外すと手元は見えます。しかし、眼鏡をつけている時、特にそれらの度数が少し強く過ぎる場合には、同様に眼鏡越しには手元が見えにくくなってきます。
スマホ老眼は治る? レーシックの人は老眼にならない?
岩見久司先生こちらは水晶体が固くなるわけではなくて、“スマホの過度な使用=過度な近見作業”によってピント調節を司る筋肉が固まってしまう場合を指します。
老眼と違って治りうるものなのですが、スマホを使いすぎることを改めるのも難しく、根深い生活習慣の問題が改善しないため、ずっとその状態になることもあります。
Q 「レーシック手術」をしている場合でも老眼にはなるのでしょうか?
岩見久司先生レーシック手術は、基本的に近視をなくして「正視」と言って、5mぐらいのところが裸眼で見えるようにピントを変える手術です。
ですので、ピントが手元にないため、やはり老眼にはなります。近視のあった頃は手元を見るために眼鏡を外す、という方法があったのですが、手術で近視をなくしてしまっているため、老眼鏡の使用が必要になります。
現在、水晶体が固くならないようにする研究も進められていますが、老眼の進行を早めてしまう行動というのは特にありません。しかし、スマホ老眼を合併すると、通常よりもさらにピンと調整が難しくなります。
Q 「スマホ老眼」の対策があれば、教えてください。
岩見久司先生スマホを連続で見る時間は『20分まで』とし、20秒でいいので20フィート(6m先)を眺める(=20-20-20ルール)こと。スマホを近くで扱いすぎず、顔からなるべく離して見るようにする、など1日の中でスマホを扱う時間をトータルで減らすことを気を付けてみてください。
監修者 岩見久司先生
医療法人久視会 いわみ眼科理事長。眼科専門医。医学博士。2018年にいわみ眼科を開業。専門は加齢黄斑変性などの網膜疾患だが、前眼部から後眼部まで、眼科全般の診療を行う。小児の近視治療にも力を入れている。ライフワークは「眼科医療の底上げ」であり、啓蒙活動や後輩の教育にも力を入れている。