(c)Misa
自宅は家族にとってホッとできる大切な場所。好きなものに囲まれて、心地よく暮らしたいものです。と同時に、いざというときに家族を守れる場所であることも重要。もしもに備えて、日頃から
防災対策をしておく必要があります。
でも、余計なものが増えそうだし、インテリアの雰囲気も壊れてしまいそうだし、そもそも
“好きなもの”と“防災”って両立できるの? 『おしゃれ防災アイデア帖 日々の暮らしに馴染み、“もしも”の時は家族を守る70の備え』(山と渓谷社)
そこで、
『おしゃれ防災アイデア帖 日々の暮らしに馴染み、“もしも”の時は家族を守る70の備え』(山と渓谷社)の著者で、整理収納アドバイザー
Misaさんに、
防災インテリアのコツについて伺いました。
第1回は、
好きをあきらめないための防災との向き合い方について。3月は防災月間。この機会にぜひ防災との上手な付き合い方について考えてみませんか?
Misaさん プロフィール整理収納アドバイザー・地震ITSUMO講座認定講師。夫と息子二人との4人暮らし。2018年に起きた大阪府北部地震をきっかけに、暮らしに馴染む備えを考えはじめる。インスタグラムは15万人以上のフォロワーを持つ。著書に『北欧テイストのシンプルすっきり暮らし〜散らかっても10分で片づくアイデア〜』(マイナビ出版)がある。
HP:https://ruutu73.com/
Instagram:@ruutu73、@kurashi_bosai
YouTube:MISAの家
震災で気づいた、「心の豊かさ」のために必要なものMisaさんのインスタグラムを眺めると、北欧テイストの温かみのあるインテリアとすっきりと片付いた暮らしが共存しています。
本当に防災対策をしているの? と疑ってしまうほど。おしゃれな雰囲気を損なうものは見当たりません。
(c)Misa
でもじつは一度、防災を優先して好きなものをすべて撤去した過去があるのだとか。
「もともと北欧雑貨が大好きでインテリアに取り入れていたのですが、2018年に体験した
大阪府北部地震を機に、
飾っていたものを全部閉まって何もない状態にしたことがあって。でもそれが本当につまらなくて、
毎日全然ワクワクしないんです。
そこで、自分にとって
“好きなものをおくことは、暮らしを豊かにするために欠かせない”と気づきました。
それからは、
好きなインテリアと防災を両立するには100%完ぺきじゃなくても、
減災できればいいという考え方にシフト。飾りの下に滑り止め防止のシールを貼るなど、
できる範囲で工夫していくようになりました。
防災において重要なのは、無理なく長く続けていくこと。
自分にとっての“好き”と“防災”のちょうどいいバランスを探っていくという観点が大切です」
暮らしの数だけ「備え」がある自分と家族にとってどこまでの防災なら無理なく続けられるのか、そのバランスを探るにあたって、まずは
自宅や周辺環境にどんなリスクがあるか確認しておく必要があります。
住んでいる地域の災害リスクについては、
国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」や自治体のホームページなどから確認できます。
「ポイントは、
家族みんなで確認すること。自宅のリスクがどの程度かあらかじめ理解しておくと、
いざというときの安心感につながります。それに、子どもたちは学校で防災について学んでいて、案外ママやパパの方がわかっていないということも多いんですよ」
たとえば、海沿いで津波がくる心配のある地域なら、すぐに取り出せるところに防災リュックを準備しておく。逆に内陸のマンション住まいで在宅避難が可能なら、食料を多めにストックしておくなど。
さらに、好きなものとのバランスを掛け合わせると、
各家庭の数だけ防災対策が生まれることになるとMisaさんはいいます。
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「防災というと最初によく“防災リュックを用意しよう”という発想になりがちですが、
本当に我が家に防災リュックは必要なの?と、根本的なところから考えてみることが大切です。そのためには災害時に自宅がどうなるのか、具体的に想像しておくことが重要。
防災ってマニュアルどおりにやろうとするとしんどいので、
我が家はどこまで必要でどこまでだったらできるか逆算で考えると、最低限やることが見えてきて防災のハードルが一気に下がります。
暮らしの数だけ違う備え方があっていいんです。
何かを備える前に深掘りして考えるクセをつけましょう」
家族みんなで「防災散歩&避難所巡り」さらに、家族みんなで自宅や地域の特性やリスクについて確認したら、いっしょに通学ルートを歩いてみたり、指定された避難所巡りをするのもおすすめだそう。
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「
防災散歩というのですが、“この道は古い建物が多いから壁から離れたところを歩いた方がよさそうだね”とか、
気をつけた方がいいポイントなどを確認しながら歩くといざというときに役立ちます。
また、避難所は基本的に近くの学校が指定されていることが多いのですが、台風ならここ地震ならここというように、
災害によって避難場所が異なる場合もあるので注意が必要です。
あとは、
なじみの公園がじつは防災機能が整備されていて、一時避難場所に指定されていることもあるので、遊びに行く際にどんな機能があるのか子どもと観察してみると遊びにも学びにもなって一石二鳥。
それと、ケガをしたときに避難所ならどこでも治療をしてくれるわけではなくて、
救護テントのある避難所というのは限られているので、地域でそれがどこにあるのかは必ず確認しておきましょう」
もしものための「家族ルール」そして、万が一災害が起きたときには家族でどう連絡を取るのか、
あらかじめ家族ルールを決めておくことも大切。決めるときのポイントは、
具体的に決めておくこと。単に避難所集合というだけでは会えない可能性も。
「災害が起きたときにどう行動するかというのを
いくつかのパターンで用意しておくのがおすすめです。
たとえば、我が家はマンションの低層階なので地震が起きたときは自宅避難できる可能性が高い。身を守ることができたら一番安全な子ども部屋で待っておくように子どもたちには伝えてあります。
でも、もしケガをした場合はじっと部屋で待っているわけにはいかない。そうなったら、マンションのコンシェルジュに声をかけるようにと。さらに、コンシェルジュがいなかった場合は、仲のいい◯◯くんのママに連絡するようにと
3段階くらいで決めています。
また、避難所にたくさんの人が集まっている中で家族を探すのは意外と大変。たとえば、“避難所の西門に毎時15分に集合”というように
場所と時間を具体的に決めておけば、会える可能性がぐんと上がります」
100%完ぺきを目指さないもともと心配性にも関わらず、防災に対しては苦手意識があったというMisaさん。震災を体験したことで、防災は決して特別なものではなく、
普段の暮らしの延長上で準備しておくものと考えるようになったのだそう。
たとえ100%の対策になっていなくても、各家庭それぞれの状況や価値観を軸に、楽しみながら取り入れていくことが好きと防災の両立には大切。そして、ママだけでなく家族みんなを巻き込んで考えていくとスムーズなようです。
次回の
第2回は、具体的な防災インテリアの対策手順と部屋別の対策ポイントについてご紹介します。
(佐々木彩子)