プライベートなお話ではありますが…。
皆さん、“夫婦生活”って必要だと思いますか?
うちの夫にとって“夫婦生活”は大切なコミュニケーション。
死ぬまで大切にしたいものだそうです。
しかし…。
私にとってはもう、なくてもいいものでした。
今回はそんな夫婦の心が、再びかみ合うまでのお話です。
■夫婦生活は…妊娠のためのもの!私は長年の引きこもり生活・コミュ障生活から恋愛経験もなく、デビュー戦も夫と出会ってから。
二十代半ばのことでした。
そんな私なので、ドラマのようなロマンチックな雰囲気からのベッドイン…。
なんてものは経験がなく、子どもを作るぞー! 出陣じゃーー!! という勢いのものでした。

幸いにも私たちのもとには、それで娘がやってきてくれました。
私にとって夫婦生活は妊娠のためのもの。
その後、二人目を無事に授かり、私の目的は果たされ、それから夫婦生活は私にとって、なくてもいいものになってしまいました。
しかし…。
夫にとっては、そうではなかったのです。■夫婦生活は…コミュニケーション!一方で夫は、華やかな青春を味わってきた男。
たくさん恋愛し、いろいろな人とデートをし、ロマンチックなメイクラブも経験してきたのでしょう。
そんな夫ですから、私との生活はまさに生殺しの生き地獄。
子どもが生まれすっかり母になってしまった私の前には、夫のムードたっぷりの演出も無意味でした。

元の欲求の差だけでなく、体力の違いも明確でした。
家事と仕事にてんやわんやの毎日で、夜泣き対応による寝不足、いつケガや病気をしてしまうか分からない子どもに対しての神経のすり減り…。
育児に追われる中で私にはそんな体力、残っていませんでした。
「……今日、どう?」
「はぁ!?」
時に、そんなことを考える夫に苛立ちを隠せないこともありました。
こっちは育児でいっぱいいっぱいなのに、なんでそんなことを考えられるんだろう…。
夫は子どもよりも、自分の欲求の方が大切なんじゃないか。
そんな怒りが湧き上がるばかりでした。
■夫の努力と次なる問題ですが、夫も夫なりに努力はしていました。
私が疲れて断っていることを感じ取り、いそいそと家事や育児を手伝う夫。
自ら食器を洗い出す日は、だいたい夫の「YES」サインでした。
それはとってもありがたく、私も応じたい気持ちはあったのですが、次なる問題がありました。
「……今日、どう?」
「子どもが起きたらどうするんじゃ!!」
……そう。
私にはどうしても、子どもが起きてそれを目撃されてしまったら…という恐怖があったのです。
そんなこんなで、私は徐々に夫と距離を保つようになり、夜はびっちり娘と息子に挟まれ眠り、夫に入る隙を与えませんでした。
子どもたちがすくすく成長し、少しずつ手を離れつつあっても、それは変わりませんでした。
そんな最中、事件が起こります。
私が高血圧による眼底出血で、視野を半分を失ったのです。
■妻の高血圧に夫は…高血圧と来たら、夫婦生活なんてもってのほかでした。
さすがに夫もこれには手も足も出ず、さらには日常生活でも、無理が利かなくなってしまった妻のサポートを必死にしてくれました。
安静が苦手でガサガサしている私は、治療により血圧が安定してきたあとに、なぜか再出血を起こしてしまうというハプニングを起こしたりもしましたが、その間も夫はサポートに徹し、我慢してくれていました。
ですが、そんな夫にも我慢の限界が来ます。
「そろそろ…いたしたいです…」
■それでも夫がしたい理由高血圧というものの怖さは、医療系の専門学校で出会った私たち夫婦は、よくわかっていました。
夫婦生活は血圧や循環器にそれなりの負担をかけます。
なのに、夫はまだしたがっている。
でも、その時の私にはもう、怒りはありませんでした。
「負担かけないように、優しくいたすから…」
なんでこんなに必死なんだろう、という疑問は正直ありました。
ですが、いつもケンカ腰で、素直じゃなくて、持病があって、キレイでもない私との夫婦生活を必死に求めてくれている夫は、なんというか、ありがたいなと思えたのです。
父となり、母となり、子どもが元気であればそれでいいと思うようになりました。
夫婦生活で体力を消耗するなら、子どもと公園に行ってあげたいと思っていました。
でも、私たちは親である前に夫婦で、人間。
たまにはそこの欲求を満たすことも、笑顔でいるためには必要なのかもしれません。
幸いにも子どもも二人とも小学生になり、土日に出勤し平日に休みを取れば、子どものいない時間を作ることも可能になりました。
仕方ない…。
「いっちょやるか…」

こうして、色気もクソもないこの夫婦は、バイタルチェックをしっかりしながら、久しぶりに夫婦生活を再開したのでした。
■夫婦が求めるものはさまざま我が家の場合は私がNOで夫がYESタイプでしたが、反対のパターンのご夫婦ももちろんいらっしゃると思います。
軽い気持ちで人に相談することも、相手に伝えることも難しい問題なので、本当に苦しい思いで悩んでいる方は、想像以上に多いと思います。
私は夫の気持ちを叩き潰すひどい妻でありましたが、自分が夫の側であったら、本当に苦しいし、つらいと思います。
自分に魅力がないのか、他に好きな人がいるんじゃないか…と、すごく悩んだと思います。
今回は夫の粘り強さ、そして素直な気持ちを伝えてくれたことで状況は改善されましたが、それも本当に勇気のいることだと思います。
私だったらずっと心の中に想いを仕舞って、やけくそになっていたかもしれません。
一緒に年を重ねる中で、二人が同時に「もういいか」と思えたら一番。
ですが、時にはそうはならないかもしれない。
愛しているからこそ、その幸せなかけがえのないコミュニケーションを大切にし続けたいと思うことは、決しておかしなことではないのです。
片方の苦しみを生まないためにも、お互いの気持を伝い合える機会は、大切にしていこうと思った出来事でした。
(たんこ)