声を掛けてきたのは…「少しだけ、話せる?」
昼休み、佐々木さんがそっと声をかけてきました。育休復帰組で、他部署と行き来のある彼女。控えめだけど、周囲をよく見ている人だと前から思っていました。
静かな会議室の隅に腰かけると、佐々木さんは小さな声で切り出したのです。
「先週の火曜のことなんだけど…」
「私、ロッカールームに忘れ物を取りに戻ったの。そしたら、誰かがロッカーの前に立ってて、手に紙を持ってたんだよね」

「後ろ姿しか見ていないんだけど…ネイビーのブラウスとグレーのスカートだった…気がする」
翌日ロッカーには…佐々木さんは、目を伏せて言ったのです。
「そのときは気に留めなかったけど、次の日ロッカーに“あの紙”が貼られてたの見て…ゾッとしたの」
確証はありません。でも、手書きの紙を持っていた後ろ姿と、翌日に貼られた“ママ業”の貼り紙。すべてのピースが繋がった気がしたのです。

ミスのなすりつけ、陰口、貼り紙、そして手書きの紙。すべてが意図的に仕組まれていたのだとしたら、私は最初から“狙われていた”ということ…?
でも、誰にも言えなかったことを、“見てくれていた人”がいたことにどこかホッとする自分もいました。その事実だけが、崩れそうな私を踏みとどまらせてくれた。
その夜、ロッカーを開けると、また1枚の“紙”が…。
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)