決定的な証拠を提出提出のタイミングは、誰も出社していない朝でした。私はパソコンを立ち上げ、“通報フォーム”を開きます。

USBメモリから録音データをアップロードし、準備していたメモの内容を丁寧に書き写しました。
(“あの言葉”を、誰かが聞いてくれるのなら)
指先で、そっと「送信」ボタンをクリックしました。
その瞬間、全身が震えるのを感じました。でも同時に、胸の奥に溜まっていた何かが、すっと抜けていったような気がしたのです。
(もう、後戻りはしない)
オフィスで感じた変化その日、昼休みのオフィスには、言葉にしがたい緊張感が漂っていました。

「…今朝、人事部長が来てたらしいよ」
「え、あの件? 本当なの?」
小声で交わされる会話が、あちこちで交差します。誰が通報したかを明かす人はいません。けれど、“確実に何かが動き出している”という空気が、社内を静かに揺らしていました。
すれ違った社員が、視線を逸らすようになりました。中には、ほんの少しだけ頷いてくれた人もいます。
(私は、やったんだ)
そう自分に言い聞かせました。恐怖が消えたわけではありません。 けれど今の私は、“証拠を持った告発者”。
それは、誰にも奪えない、たしかな“力”でした。
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)