うどん店の定番メニューとしておなじみの
「きつねうどん」と
「たぬきうどん」。
どちらも身近な存在ですが、実は
地域によって意味がまったく異なるのをご存じでしょうか?

今回は、それぞれの名前の由来や関東・関西の呼び名の違いに加え、油揚げや揚げ玉を使ったアレンジうどんレシピもご紹介します。
これを押さえておけば、旅先のうどん屋さんでもちょっと通っぽく注文できそうですね。
■「きつねうどん」と「たぬきうどん」それぞれの名前の由来
・きつねうどんの由来
きつねうどん」は、
甘辛く煮た油揚げをのせたうどんのこと。「きつねは油揚げが好物」と信じられていたことから、その名がついたと言われています。また、きつねうどんは大阪で誕生したとされ、明治時代に現在の形が定着。
油揚げは、稲荷信仰との関わりの中で、庶民の食文化として広がっていったと考えられています。
・たぬきうどんの由来
「たぬきうどん」は地域によって意味が異なりますが、 もともとは
天ぷらの衣(天かす)を入れたうどんやそばを指したと言われています。
さらに、「天ぷらが“抜き”になった麺=たぬき」とする説も。
大正時代には「天かす入りうどん」を「ハイカラうどん」と呼ぶ地域もあり、呼び名は時代や地方によってさまざまでした。
■関東と関西での呼び名の違いは?
そばとうどんの呼び名は、
関東と関西で異なります。
・関東
きつね:油揚げをのせたそば・うどん
たぬき:天かすをのせたそば・うどん
・関西(大阪・京都など)
きつね:油揚げをのせたうどんのことを指し、そばに油揚げをのせる習慣はあまりありません。
たぬき:地域により意味が異なり、大阪では天かす入りを「ハイカラうどん」と呼ぶことが多く、京都ではあんかけ+刻み油揚げのうどんを「たぬき」と呼ぶのが一般的です。
この違いの背景には、
「大阪=うどん文化」「東京=そば文化」という地域性があります。
大阪では油揚げをのせたうどんが親しまれたことから「きつね=うどん」が定着。一方、東京ではそば中心の食文化の中で「きつねそば」「たぬきそば」という呼び名が広まり、後にうどんにも使われるようになったとされます。
■油揚げや揚げ玉を使ったアレンジきつね・たぬきうどん:3選・基本のきつねうどん

だしをたっぷり吸い込んだ甘い油揚げの旨味がジュワッと広がる、王道の一杯。刻んだネギとわかめを散らしていただきましょう。ホッとする味わいで、これからの寒い季節にもおすすめです。
・天かす卵とじうどん

天かすを卵でとじた、やさしい味わいのうどん。だしに少し片栗粉を加えると、卵がふんわり仕上がります。忙しい日のランチにもぴったりです。
・薬味たっぷり冷やしきつねうどん

甘辛く煮た刻み油揚げと冷たいうどんの組み合わせがたまりません。刻みネギをたっぷりかけて召し上がれ。市販の麺つゆを使うため、失敗せず簡単に味が決まります。
「きつねうどん」と「たぬきうどん」は、具材の違いだけでなく、
地域ごとの食文化を映す一杯でもあります。旅先でうどんを注文するときは、「この地域の“たぬき”はどんな味かな?」と想像してみるのも面白いですね。身近なうどんを通して、日本の食の多様さを感じてみてください。
(豊島早苗)