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これが“空の華”CAの真の姿! 乗客の安全守る「非常救難訓練」に潜入

2015-01-15 09:30 eltha

 常に笑顔を絶やさず、最高のおもてなしで空の旅に華を添えてくれるキャビンアテンダント(CA)。しかし、CAの本来の任務である“保安要員”としての顔は、普段あまり認識されていない。日本航空(JAL)では、乗務を行なうCA全員が「定期救難訓練」を年に1回必ず受講。緊急時に乗客を守るため、安全に関するスキルを徹底して磨いているという。そこで今回は、昨年4月に新しくなった訓練施設でのトレーニングを取材。日頃、飛行機に乗っているときには見ることのできないCAの凛々しく、そして頼もしい姿に迫った。

快適な空の旅を支えるCAの非常救難訓練に密着! (C)oricon ME inc.

快適な空の旅を支えるCAの非常救難訓練に密着! (C)oricon ME inc.

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■ドラマでみる厳しさは本物だった! 「胃が痛むほど」徹底された訓練の実態

 CAの訓練シーンといえば、テレビドラマなどで見たことがある人も多いはず。しかし、実際にどんなことが行われているかを知る機会は少ないのでは? 今回取材した「定期救難訓練」は、乗務に関する基礎知識を身につける「新人訓練」を履習したCAを対象として、年に1回実施されるもの。テストは座学から筆記、実技まで1日がかりで、みっちりと行われる。

 訓練を監督するのは、乗務経験も豊富なインストラクターたち。マンツーマンで厳しくチェックされるといい、「100点は採れて当たり前。ニコニコ笑っているだけのかわいらしいCAはいりません」と厳しい一言! もちろん、試験をパスできないと翌日から搭乗はできないという徹底ぶりだ。インストラクターの一人は「訓練は誕生月に行われることが多く、1ヶ月ほど前からは緊張で胃が痛みます」と笑顔でエピソードを語ってくれた。その微笑みの裏に、試験の壮絶さを垣間見た気がした。

■衝撃音やスモークの演出まで… 最新設備でリアルを追求した救難訓練を体験

 JALの救難訓練施設は昨年4月、新施設に移設。規模こそ旧施設の約60パーセントに縮小したものの、実寸大で作られたモックアップ(模型)は大型機から小型機まで全4タイプを完備。最新機材を揃えた充実の設備で、より臨場感のある訓練が可能に。今回は、地上と水上それぞれを想定した2つのシナリオで、乗客役を体験した。

 まずは、着陸後に異常傾斜で停止したシチュエーションで「突発陸上脱出」の訓練。コックピットから緊急号令がかかると、CAたちの穏やかな笑顔が一瞬にして毅然とした保安要員の表情に。リアルに再現される衝撃音、立ち込めるスモークの演出などで、機内には臨場感がただよう。日本語と英語を駆使し「大丈夫、落ち着いて! Stay Calm!」と、乗客に呼びかけるCA。普段の柔らかい物腰から、訓練中に見せる張り詰めた叫び声のギャップが、より緊迫した空気を醸し出す。ここでは、高さ4メートルのドアから、緊急脱出用スライドでの滑走も実践した。

 続いて体験した「予告海上脱出」では、エンジントラブルで海上に着水する場合を想定。CAたちにはトラブルが発生してから水上に脱出するまでの限られた時間内で、衝撃防止姿勢やライフジャケットの着用方法など、乗客への迅速かつ的確な指示が要求される。同訓練では、先ほどと反対側のドアに広がる海上脱出訓練用のプールを使用。「急いで! Hurry!」と、乗客を次々と水上に浮かぶ避難用ボートに誘導していく。

 このほか、緊急事態のシナリオは全13パターン用意されており、今回体験したのは数ある訓練メニューの中のほんの一部。安全は目で確認することができないぶん、飛行機を利用する際にはCAたちのサービスの側面ばかりに注目しがち。しかし、日頃から当然のように安全な空の旅を楽しめるのは、これらの徹底した訓練とCAたちの安全意識の上に成り立っていることを実感する貴重な体験だった。



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