V6長野で注目度上昇? 金平糖と“大人の粋&日本の伝統”
2016-12-21 11:30 eltha
■バウムクーヘンに押されがちだった金平糖に脚光が…
“時間と愛情をかけて育てていく”という工程から、結婚の引き菓子や出産祝いなどでも馴染み深い金平糖は、皇室でも代々、引き出物に利用されているほど。しかし近年はアイシングクッキーやギモーブなど、華やかな見た目の洋菓子が話題になりがちで、和菓子の存在感は薄れつつある。
特に、大木の年輪を思わせる見た目を“夫婦で年を重ねる”と掛けたバウムクーヘンは近年の引き菓子の定番。リクルートが今年10月に発表した「結婚トレンド調査2016」によると、引き菓子にバウムクーヘンを選んだ人は44.0%で、和菓子を選択した人は6.4%のみ。そんな時代に、金平糖という粋な日本の伝統菓子を選ぶセンスは、大人の粋と日本伝統文化の良さを再認識させることになったはず。
■金平糖作りに時間がかかる理由って?
日本で唯一の金平糖専門店「緑寿庵清水」(京都市左京区)に金平糖の作り方を聞いてみると、その作業工程の多さに驚かされる。「金平糖作りにかかせない核に“イラ粉”を使用し、これを回転している大きな釜に入れ、砂糖を溶かした蜜を少しずつかけていき、水分を蒸発させては乾燥させる作業を繰り返し、約2週間かけて砂糖味の金平糖ができ上がります」(緑寿庵清水・以下同)。
長年作り続けられている金平糖ではあるものの、明確なレシピは存在しないとか。「天候、気温、湿度も常に変化しますので、職人は金平糖が釜の中で流れる音を聞きわけたり、コテ入れの感触などにより金平糖の結晶具合を見ていきます。そして、金平糖の結晶具合により釜の温度や角度、回転速度、蜜の濃度などを都度調節することにより金平糖の“イガ”を出していきますが、10分放っておくと割れたり、分離したり、また液体状になるとやり直すことができないので、一度失敗すると完成間近でも全部捨ててしまいます」。
技術の習得に「蜜掛け10年、コテ入れ10年」20年かかり、体で覚えるしかないと言います。また、同店では60種類以上の金平糖を作り出しているが、砂糖に酸や油分、塩分を組み合わせると砂糖は結晶しないため、風味のある金平糖を作るのは至難の業で、「素材を加えた金平糖になると1種類16〜20日もの時間をかけてようやく完成する」という。
そんな風に手間ひまかけて作られている金平糖。ちなみに“イガ”とは金平糖の表面に現れる突起のこと。慶事に使われる菓子だけに、“ツノ”ではなく、コチラの名前で呼ぶのが、スマートな大人のマナー。
お中元・お歳暮の文化が衰退しているのと同様に減少傾向にある結婚報告の菓子配りの文化も見直されるかもしれない今回のおめでたい報道と小粋な心配り。大人のたしなみとして、覚えておいたほうが良いかもしれない!?