知ってる?“クラフトビール”誕生から人気爆発までの歴史
2018-04-15 20:30 eltha
■ブームの第1歩は、1994年の酒税法改正がきっかけ
それまで、“ビール醸造免許”は「2000キロリットル以上つくること」が条件だったが、1994年の酒税法改正で「60キロリットル以上」に引き下げに。これで大手に独占されていたビール事業の門戸が開かれ、新規メーカーが参入しやすくなったのがすべてのはじまり。
実際に地ビール製造を始めた企業の内訳は、4分の1が地方の清酒メーカー、残りの4分の3がホテル・レジャーなどの観光産業系の企業と、食品・外食産業系の企業。つまり、酒づくりの素人でも少しの土地とお金があれば参入できる、いわゆる“地ビールバブル”時代に突入。
■昔の地ビールは玉石混淆だった!?
今では当たり前のように使われる「地ビール」という言葉。明確な定義があるわけではなく、いつの間にか大手メーカー以外の小規模生産ビールを指す言葉に。このネーミングにより“その土地でしか飲めない”というイメージが付き、“地域おこし”の武器として日本各地で次々と誕生した。
ところが、結局のところビールづくりの素人が造り始めたもの。中身は玉石混淆で、世界的に評価されるものから、味に難のあるものまでさまざま。数字をあげると、全国の地ビール醸造所数は、2000年度の305場でピークを迎え、2013年度の211場で底を打つ。つまり、13年間で半分近くが淘汰された。
■地ビールの生き残りがクラフトビールへ
そして、生き残った“おいしい地ビール”たちが、いつしか「クラフトビール」と呼ばれるように。国内や海外のコンテストに入賞する銘柄も多く登場。これはすべて、地ビールメーカーの努力の賜物。
クラフトビール時代の訪れとともに醸造所数も増えていき、2013年に底を打ったあとは、2016年には256場にまで増加した。かつての“地ビールバブル時代”との違いは、単なる儲け目当ての参入ではなく、「おいしいビールをつくりたい!」という情熱を持った若い醸造家が多く参入したこと。今のクラフトビールブームを作り上げたのは彼らなのだ。
■クラフトビールの定義は“大量生産でないこだわりのビール”
世界では、クラフトビールには“マイクロブルワリー”という言葉がセット。「小さい醸造所が手づくりをしたビール」と解釈されることが多いが、一方、日本では、大手のビールメーカーが大量生産しているビール以外を指すことが多い。
ビールは、酵母の違いで大きく2種類に分けられる。大手メーカーのビールは、下面発酵の「ピルスナー」という種類で、苦みとスッキリとしたキレが特徴。クラフトビールには下面発酵もあるが、上面発酵が主流で、こちらは華やかな香りとコクが特徴。
近年は、大手ビールメーカーも徐々にクラフトビール市場に参入しており、キリンビールは、独自のマイクロブルワリーとビアレストランを代官山にオープン。他社も続々とクラフトビールの銘柄を投入している。
こうした歴史を経て、日本産のおいしいクラフトビールが飲める時代になった。知っているようで知らない地ビールうんちく。今までなんとなく“おいしいから飲んでいた”人も、これを知るだけで、また違った視点で楽しめるはず。