優しい人ほど傷つく…八つ当たりされた対処方法が「心に染みた」 山小屋バイトで出会った、我が道を行く同僚からの言葉
2022-05-14 08:40 eltha
■両親が離婚、このままではやさぐれるだけ…18歳当時の決意
大学生の時に両親が離婚し、まりげさんは大学を休学することに。父親が出ていった実家には暗い雰囲気が漂い、まりげさんはお金を稼ぐためにアルバイトを続け、休むためだけに家に帰っていた。「美術の先生か図書館の司書になりたいと考えて勉強していましたが、それがある日突然、“ガタンッ”と崩れ落ち、この先進もうと思っていたレールが目の前から消えてしまったような気持ちになりました」と当時を振り返る。
落ち込むまりげさんを見かねた母親は、気分転換にもなると「山小屋でアルバイトをしてみては?」と声をかけた。食事・温泉付きで日給7000円、繁忙手当も上乗せされる…まりげさんは「このままでもどんどんやさぐれそうだし…それも悪くないな」と一念発起し、履歴書を送った。折り返し電話があり「料理できる?」と聞かれて「はい」と答えると、即採用だったという。
「360度見渡す限り『山!草!空!』というのもはじめて過ごす環境でしたので『気持ちいい〜!!』と思いました。山小屋の外のベンチに座っていると『ザァァァー』と遠くの山の向こうから雨が近づいて来る音が聞こえてきたり、季節の移り変わりによって山の葉っぱが少しずつ色づいていくのを観察できたり、そういう日々の変化がおもしろいなと思いました」
■「気持ちが吹っ切れた」自分の進みたい方向に進めばいい
まりげさんによると、数ある仕事のなかで山奥に来て働く選択をする人は、ユニークな人が多いという。漫画には、もっとも心を許せた山小屋オーナーの娘(4歳)との哲学的な会話や、山道で遭遇した熊を独特な方法で追い払う男性の話、熊よりも怖く周囲に当たり散らすお局さんなど、様々なエピソードが。
「例えば半年間は山小屋で働いて、残りの半年は自転車で世界旅行をしていたり、インドに瞑想の修行に行ったり…そういう人たちが『自転車の車輪のチューブを腕にグルングルンの巻いて野犬6匹と戦った話』とか面白い体験談をたくさん聞かせてくれました。社会から見たら変わった人達の集まりだったのかもしれませんが、18歳だったわたしにとっては『いろんな生き方があるんだなぁ』と新鮮な驚きでした。
大学を辞めたことぐらい大したことじゃないし、レールが無くなったんなら自分で進みたい方向に進めばいいだけじゃんと思えるようになりました。山を下りる頃には気持ちも吹っ切れていましたね」
■新生活で大変な思いをしている人に…「イライラは 受け取らない 受け取らない」
漫画を読んだユーザーからもっとも反響があったのは、いつも瞑想をしている同僚からの言葉で、人からのイライラを受けたときの対処法を語ったエピソード。2人は”熊よりも怖い”と恐れられていたお局バイトさんから散々八つ当たりをされていたが、その時同僚は「”イライラ”は、あの人の世界で起こっていること。受け取らない、受け取らない」と一言。まりげさんは、今でも嫌なことがあるとこの言葉をおまじないのようにつぶやくという。新生活、ゴールデンウィークが明けて、忙しない日々を送る人々にも効果のある言葉かもしれない。
「社会の不安定な状況だったり、人からのトゲある言葉って、優しい人ほど傷付いてしまうと思うんです。ですので、コメントで『今、ちょうど心がしんどかったから、この言葉に出会えてよかった』と言っていただけたことが嬉しかったです。
『受けとらない 受けとらない』はわたしにとっても自分を守ってくれるおまじないのような言葉なので、これからも心の中で唱えたいと思います」