「フレックスなのに、早朝にコピー機の電源を入れる当番がある」職場にある”謎ルール”、解決するヒントとは
2023-05-30 10:23 eltha
同ワークショップには、NPO法人ファザーリング・ジャパンの安藤哲也氏、育休後コンサルタントの山口理栄氏、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授の治部れんげ氏、Indeed Japanの田尻祥一氏が登壇。一般参加者と共に議論を交わした。
ワークショップの議題は「性別による役割意識が、謎ルールの温床になっている」「育休とキャリアは、なぜ相反する概念なのか?」「グループワークで潜在的な謎ルールの洗い出し」「謎ルールを解決するヒントを探る」の4点。
安藤氏は育休について「女性が育休をとりやすくなった一方で、多くの女性が気にかけているのが男性の取得状況。私の娘は25歳ですが、就職活動の時に『育休を取りやすい会社を教えて』と聞いてきたことがあります。何に使うのかと聞いたところ、彼氏に伝えるとのことでした。つまり、女性が産後の育休を取得した後、つづけて男性が育休を取得すれば、女性のキャリアが伸びるという考えだったわけです。求職者がこうした視点を持っていることを、多くの企業の経営者は知るべきでしょう」と意見した。
育休からの復帰後、「時短勤務が当たり前」という風潮もあるが、「さまざまなデメリットがあることも伝えるようにしています」と山口氏。安藤氏は「男性=稼ぎ手のモデルが残っていることが、根底にある問題」と指摘。「女性が時短で育児をした方が、男性がキャリアを築きやすく、世帯収入も上がる。一つの選択肢としては良いのですが、それが社会のスタンダードになっていることが、日本のジェンダー・ギャップ指数の低さに表れているのだと思います」(安藤氏)。
グループワークでは、参加者が書き出した“謎ルール”をグループ内でシェア。自分の職場ではどんな対応がされているかといった実例や、こんなアクションを取ったらいいのではないかといったアイディアを共有し、解決の糸口を探っていった。
グループの意見を発表後、田尻氏は「社会全体の変革のためには、SNSも有効。SNSに集約された意見は意外とパワーがあり、ポジティブ・ネガティブ両方の反応を示す人もいます。企業もマーケティングとして着目していますが、もっと身近にヒントを与えてくれるツールとして活用してもいいのではないでしょうか」とコメント。
ファシリテーターを務めた治部氏は「まだまだ課題は山積みですが、20年前と比べたら、社会は格段と良くなっています。本日グループワークであがった問題も、以前ならどこの会社でも当たり前だったこと。現在は、よくない、という感覚があるものの、残ってしまっているのが“謎ルール”です。それらを解消していくために、異なるバックグラウンドを持つ人同士が話し合うことは有効なのでしょう。今日のワークショップが、ジェンダーギャップにまつわる課題の解決を加速していくことを期待します」と話し、ワークショップを締めくくった。