みかん「白い筋に栄養」「食べ過ぎると黄色くなる」本当? 通説の真偽と美味しいみかんの見分け方【管理栄養士解説】
2023-11-07 10:30 eltha
■「白い筋」は便秘改善や老化予防、免疫力向上に効果あり!
Q.みかんの「白い筋」は何ですか?
【林さん】 みかんの「白い筋」は、一般的に「アルベド」と呼ばれる部分です。アルベドは、多くの柑橘類に見られ、主に繊維成分(セルロース・ヘミセルロース・ペクチン)で構成されています。果実の内部を物理的なダメージから守るほか、果肉に栄養や水分を供給し、また、果実の形を維持するのを助ける役割も果たしています。
Q.「白い筋」に栄養はありますか?
【林さん】 アルベドは苦い場合があり、食感や味の観点から食べるときに取り除くことを好む人もいます。しかし、アルベドにはペクチンや食物繊維が豊富に含まれています。ペクチンは腸の動きを活発にし、便秘の改善に役立ちます。また、コレステロールの吸収を低下させる作用があり、動脈硬化や心疾患のリスクを低減させるとも言われています。
さらに、アルベドにはビタミンCやフラボノイドといった抗酸化成分も含まれています。これらの成分は、体内の酸化を防ぎ、老化の予防や免疫力の向上に寄与すると考えられています。要するに、「白い筋」(アルベド部分)を摂取することで、便秘の改善、コレステロール値の管理、抗酸化作用などの健康効果が期待できます。
Q.「みかんを食べすぎると(肌や手足が)黄色くなる」とも言われます。本当ですか?
【林さん】 この手足が黄色くなるのは『柑皮症』といいます。原因はみかんの黄色成分であるカロテノイドの一種『β-カロテン』の過剰摂取です。β-カロテンは、みかんだけでなく、にんじん、カボチャ、甘いじゃがいもなど、オレンジや黄色の野菜や果物に多く含まれていますが、大量のβ-カロテンを摂取すると、その過剰な部分は体内に蓄積され、特に手のひらや足の裏、顔などの皮膚が黄色く染まります。これを「カロテノーダ」と呼びます。
カロテノーダは無害で、β-カロテンの摂取を減らせば通常は徐々に消失しますが、「1日にどのくらいのみかんを食べれば大丈夫か」という具体的な数値は一概には言えません。カロテノーダが起きるかどうかは、個人の体質や摂取量、摂取する期間など多くの要因によって異なるからです。ただ、日常的に大量のみかん(例えば1日10個以上)を長期間にわたって摂取するような場合は、カロテノーダのリスクが高まる可能性があります。みかん1個のカロリーは約40〜50kcalです。食べすぎは体重増加へとつながりますので、1日2〜3個にとどめておきましょう。
■色だけでなく皮の状態にも注目を「小さな突起が多いものは、果汁が多く美味しい」
Q.美味しいみかんの見分け方を教えてください
【林さん】 品種や栽培方法、収穫の時期などによって、見た目や特徴は異なることがあるので、それらも考慮しつつ、下記のポイントを参考にしてください。
<美味しいみかんの選び方>
・色:一般に鮮やかなオレンジ色のものが良いとされます。青みや緑色がかったものは未熟の可能性が高いです。
・重さ:手にとってみて、その大きさに対して重たく感じるものは、果汁が多く含まれている可能性が高いです。
・形:まんべんなく丸みを帯びていて、くぼみや変形が少ないものが良いとされます。
不規則な形や変形しているものは、内部に傷や腐った部分がある可能性が考えられます。
・皮の状態:皮が滑らかで張りがあり、小さな突起(油胞)が多いものは、果汁が多く美味しいとされます。一方、皮が硬く、しぼんでいるものは避けるのが良いでしょう。
・香り:良いみかんは、甘くてフレッシュな香りがします。香りが薄いものや、発酵したよ
うな異臭がするものは避けた方が良いでしょう。
・柔らかさ:あまりにも柔らかすぎるものは、中が傷んでいる可能性があります。適度な弾力があるものを選ぶと良いです。
・表面の清潔さ:表面に汚れや黒い点が多いものは、病気や虫食いの跡である可能性が考えられるため、注意が必要です。
記事監修/林安津美さん
管理栄養士。大学卒業後、JAあいち厚生連に入職。37年間、病院の管理栄養士として勤務、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし、現在はたいや内科クリニックで患者に寄り添った医療を届けている。