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「七人は、ついに神となった」―東條英機らの処刑を見つめた重光葵の慟哭。『続 巣鴨日記』、前作に続き、読みやすい新版で刊行。

株式会社ハート出版

2026/07/02 10:17

東京裁判とは何だったのか。A級“戦犯”として服役した元外務大臣の獄中日記が、当事者の視点でその実態を伝える。前駐豪大使・山上信吾氏が解説。




当事者だけが書ける「裁判」の実態

戦後、私たちは東京裁判をどれほど正確に理解してきたでしょうか。
本書の著者・重光葵は、四度にわたり外務大臣を務め、降伏文書に調印した政治家です。日米開戦に反対し続けた人物でありながら、ソ連の強硬な要求によってA級被告とされ、禁錮七年の判決を受けました。本書は、その判決翌日から仮出所までの約二年間を綴った獄中日記です。

仲間の処刑、家族との面会、そして詩

1948年12月、東條英機ら七名に絞首刑が執行されました。
本書『続 巣鴨日記』には、その処刑の前後、巣鴨の獄舎に漂った緊張、新聞で知らされた執行の模様、そして重光自身の怒りと悲しみが克明に記されています。重光は彼らの死を悼み、「ついに神となった」と漢詩に詠みました。
しかし、その後もB・C級“戦犯”の処刑は続きました。
処刑の気配、獄舎の沈黙、絞首台に向かう者たちの姿。
重光はそれらを、冷静でありながら痛切な筆致で書き残しています。
「軍事裁判という組織によって、なお公然と敵味方の間に殺人が行われている」「戦後の殺戮は神の冒涜」――重光の言葉は、八十年を経た今も重く響きます。
しかし本書は、告発の書であるだけではありません。
喜びも悲しみも共にする“戦犯”仲間の連帯感。詩友と詠み交わす漢詩のやりとり。網戸越しに、成長していく我が子と交わす言葉。やがて訪れる仮出所と、五年ぶりに見る我が家の風景――。
過酷な環境の中にあってなお、人としての品位と、国を思う心を失わなかった一人の人間の姿が、淡々とした筆致で立ち上がってきます。獄中で詠まれた数多くの漢詩には、志士の魂と、家族や故郷への切ない思いが宿っています。

告発に終わらない、外交専門家の眼

本書が単なる告発の書に終わらないのは、重光が一流の外交官だったからです。重光はただ悲憤に沈んだのではなく、冷戦の激化、中国大陸の赤化、朝鮮戦争の勃発、講和への道を見据え、敗戦日本の将来を考え続けました。グルー前駐日大使ら米英の要人から重光に寄せられた擁護の声も記録されており、当時の国際関係を立体的に伝えます。
そして重光は仮出所後、鳩山一郎内閣の副総理兼外相として、日本の国際連合加盟を実現させました。降伏文書への調印と、国連加盟の受諾演説。その両方を担った数奇な運命を、本書の獄中記録が橋渡しします。

解説・山上信吾氏が問う、現代日本の姿勢

巻末解説を寄せたのは、前駐オーストラリア特命全権大使の山上信吾氏です。山上氏は、外交官としての豊富な経験を踏まえ、東京裁判の法的・政治的不条理を論じるとともに、現代日本が抱える歴史認識上の課題にまで踏み込みます。
山上氏は、敬愛する大先輩への問いかけをも率直に記しており、本書への単なる礼賛に終わらせていません。歴史を多面的に考えたい読者にこそ読まれるべき解説です。

読みやすさを追求した新版

本書は、旧字・旧仮名遣いを新字体・現代仮名遣いに改め、原書よりも文字を大きくし、難読語にはルビを、難解語には注釈を付しました。原書にない写真、獄中で詠まれた漢詩の現代語訳も収録しています。史料でありながら、現代の読者がストレスなく読み通せる一冊です。
歴史と誠実に向き合おうとするすべての人へ。本書は、その出発点となるはずです。





【著者情報】
重光 葵 しげみつ・まもる
1887年大分県生まれ。東京帝大法科大学独法科卒業。外務省に入り、上海総領事、駐華特命全権公使等を歴任。上海事変停戦協定を成功させた直後、上海天長節爆弾事件で右足を失う。その後、外務次官、駐ソ・駐英・駐華の各大使、東條内閣・小磯内閣・東久邇宮内閣で外相を務める。終戦時には日本政府全権として戦艦ミズーリ号上で降伏文書に調印。三国同盟や日米開戦には反対の立場だったが、極東国際軍事裁判ではソ連の横やりでA級被告となり、禁錮七年の判決を受ける。政界復帰後、改進党総裁、日本民主党副総裁を歴任し、鳩山内閣の副総理兼外相として日本の国際連合加盟に尽力。1957年没、享年69。



【書籍情報】
書名:続巣鴨日記
著者: 重光 葵
仕様:A5判並製・256ページ
ISBN:978-4-8024-0261-3
発売:2026.07.09
本体:1800円(税別)
発行:ハート出版
商品URL:https://www.amazon.co.jp/dp/4802402619/




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