【Brilliant Woman】尾野真千子、バイタリティーの秘密

心温まるヒューマンドラマに社会派、ユーモアたっぷりのコメディまで、さまざまなジャンルの作品で存在感を発揮する女優の尾野真千子さん。新作『エヴェレスト 神々の山嶺』（3月12日公開）では日本映画史上初、エベレストの標高約5200ｍで敢行された撮影に2つ返事で挑み、登山に命をかける男たちに翻弄されるヒロインを好演。女優として、またひとりの女性として一段と輝きを増す、彼女のバイタリティーは一体どこから生まれているのでしょうか？

――今年は現時点でも出演映画4本の公開が控えている尾野さん。どんな役でも個性と存在感が際立つ演技をされていますが、今のご自分を作り上げた原点は何だと思われますか？
【尾野真千子】　今まで出会ってきた人たちみんなの影響だと思うんですが、中でも今は亡くなってしまった所属事務所の社長の言葉が大きかったと思います。まだこの仕事でご飯が食べていけなかった頃、私は自分に自信がなくて、何をどう頑張ったらいいのか分からなくなってしまって。誰かの意見を聞くと、すぐそうなのかな？と思って流されていたんですが、あるとき社長が「お前はお前でいいんだ」と言ってくれたんです。それで自分を信じることができるようになったし、自信もついてきて、芝居に“自分自身”を出せるようになった気がします。

――挫折やスランプを感じたこともありますか？
【尾野】　私は意外とそういうことを楽しめるというか、スランプもスランプだと思っていないところがあって（笑）。それがあるから役者もやっていけるし、すべてが芝居に活かされるので、どこか楽しんでいる感覚があるんですよね。仕事をする上でぶつかった壁は、全力で頑張って乗り越えてこられたと思っていますし、これからも楽しんで乗り越えていこうと思っています。もちろん、プライベートなどでは解決できないことや落ち込むこともあります。でもこだわりすぎてもダメなので、ひとまずそれはそれとして後ろは向かずに進んでいく。前進していれば、きっとまたどこかで結果としてついてきてくれると思っています。

――尾野さんはとても強くて前向きな女性という印象ですが、ご自身が魅力を感じる女性ってどんな人ですか？
【尾野】　カッコイイ人ですね。年齢や立場は関係なくて、自分が持っていないものを持っている人や夢を持って頑張っている人はみんなステキですし、カッコイイなと思います。たとえば、会社などで働く女性の話を聞いて私も頑張ろうって思ったり、自分が何か作品に出るときにそういう人たちのことを思い出して、「あの人みたいに演じてみよう」って思ったりすることもあります。

――ご自身がそんなカッコイイ女性になるために、心がけていることはありますか？
【尾野】　輝いている人たちと出会うこと、見ることですね。キラキラした前向きな人たちに会うと、自分もこんな風に輝きたいって思うし、役者として何か吸収したいと思うんです。だから、逆に前を見ていない人にはなるべく会いたくないんですよ。自分もマイナスの方向に引きずられてしまうので。そういう人って会うと大体分かるじゃないですか。だから私、会ったことのない人にはあまり興味がなくて。会って初めてその人が分かると思っているので、自分の目を信じて噂には左右されないようにしています。

――プライベートでは昨年7月に結婚されましたが、そのことで変化はありましたか？
【尾野】　守る人ができたし、守られているんだなっていう安心感も生まれました。でも、仕事をしているので、生活そのものはあまり変わらないです。結婚前からグータラするのが好きだったので、今でも旦那さんがいないときにグータラしていますし（笑）。家事もそんなにしていないんですよ。旦那さんが理解ある人で、仕事を応援してくれているので。ただ、すれ違いの生活になりがちなので、そこは「しょうがない」で済ませず、協力してコミュニケーションを取りたいですね。うちの父母はすごく仲がいいので、自分たちもそんな夫婦になりたいです。

――結婚したことが女優の仕事にも影響しそうですか？　たとえば、妻役や母親役を演じる上でのスタンスが変わりそうだとか。
【尾野】　今はまだなさそうですが、子どもができたら変わるかもしれないですね。たとえば、これまでは軽く発していた言葉も、実際に母になることですごく重みが出てくるものがあるかもしれない。そこはすごく未知の世界なので楽しみです。子どもはいつか授かりたいと思っているので、女性としての幸せも掴みつつ、お芝居も続けていけたらいいなと思っています。