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「子どもと意思疎通が取れず苦しんだ」発達障害の子どもを持つママが“療育”を通して気づいたこと

2019-06-29 eltha

(画像提供:ちちゃこさん)

(画像提供:ちちゃこさん)

 「子どもとなかなか意思疎通が取れない…」。そんな悩みを抱えながらも、発達障害の二人のお子さんを子育て中のちちゃこさん。子どもたちとの日常や、障害と向き合うことで感じたことを漫画にしてTwitterで発信している。「子どもとのコミュニケーション」を題材にした漫画では、とても大きな反響も呼んだ。そんなちちゃこさんに、漫画の反響や、発達障害の療育を行う中で気づいたことなどを聞いた。

「何を信じたらいいか分からない、悩みを吐き出したかった」

 ADHD(注意欠陥多動性障害)とASD(自閉スペクトラム症)軽度ののぼるくん(7歳)とASD中度のひとしくん(5歳)と日々向き合いながら暮らしているちちゃこさん。発達障害を持つ子どもたちとのコミュニケーションがなかなか取れずに、モヤモヤとした悩みを抱えていたという。

――お子さんたちの漫画を描いて、Twitterに投稿するようになったきっかけを教えてください。
ちちゃこ子どもの障害を疑っていたけれど誰にも信じてもらえず、何を信じたらいいのかもわからなかったので、悩みを吐き出したくて描いてみたのが最初です。

――ちちゃこさんは、これまでに発達障害についてどのような勉強をされてきたのですか?
ちちゃことにかく最初は書籍を読み漁り、“療育”を通じてたくさんの方々とつながることができたので、「TEACCHプログラム」と「ABA」がうちの子二人にはベストだとわかりました(TEACCHはアメリカのノースカロライナ州で行われ始めた支援プログラム、ABAは応用行動分析学の略称)。今は自閉症スペクトラムの講座や発達障害の勉強会にも積極的に参加して学んでいます。また、親も支援の第一人者として育ててもらえる療育先に転園することができたので、子どもと一緒に頑張って通っています。

――ちちゃこさんのお子さんたちの場合、どのようなステップで“療育”を受けるようになったのでしょうか?
ちちゃこ次男は三歳児健診で引っかかり疑いがあると指摘され、福祉センターを通じて療育先を紹介していただきましたね。

“療育”の概念を取り入れることで、”生きやすい社会”へ

――そもそも“療育”とはどのようなものなのでしょうか?
ちちゃこ発達障害と診断された子どもたちが自立するためのスキルを身につけたり、過ごしやすい環境の整え方を教わったりする場所です。発達障害ではない人を定型発達といいますが、定型発達にするための場所ではありません。子ども一人一人、どんなことが得意でどんなことが苦手なのかが違うので、丁寧に分析をしながら、その子に合った方法を見つけて支援を行っていきます。

――療育に取り組んでいくうえで、どういったことを考えるようになりましたか?
ちちゃこ最初は、療育に通ったら普通の子どもになれると勘違いをしていました。でも、「“普通の子”と“障害児”はどこが違うのだろう?」と、療育に通い出してから考えるようになりました。うちの子は、確かに集団では生活ができないけれど、落ち着いた空間では高度なことができます。周りの発達障害のお子さんも、みんな独特の特徴を持っていて、本当に知れば知るほど魅力的なお子さんたちばかりなのです。

――そういった中で、ちちゃこさん自身が学んだことや気づいたことなどはありますか?
ちちゃこのちに参加した講座で、佐々木正美先生がおっしゃられた「障害はあなたと私にあるのではなく、私とあなたの間に障害があるのです」という言葉を聞いて、今まで抱えていた悩みの答えが見つかったような気がしました。そして、「障害児」=「劣っている子」とどこかで思っていた自分を恥じました。社会は多数派(定型発達)で構成されていて、少数派(発達障害)が生きづらいのは当たり前です。でも、少数派が生きやすい生活は確かに療育の世界の中に確立されていて、この療育の概念を社会の中にも取り入れることができたら、どんな人でも生きやすくなるのではないかなと感じました。

「視覚支援」の方法を知ってもらうことで、障害を越えてつながっていける

――Twitterに投稿されたものの中に、「どうしたらいいの?子どもとのコミュニケーション」というテーマで描かれた漫画がありますね。この漫画を投稿された理由を教えてください。
ちちゃこ自分の子どもとなかなか意思疎通が取れず、“見えない障害”に悩んでいましたが、この漫画に描いた「視覚支援」の方法を療育の先生や主治医の先生から教わり、劇的に子どもと意思疎通が取れるようになったんです。でも、この方法についての関連書籍があまりなかったので、わかりやすく伝えられるように、色々な方々に協力をしていただきながら漫画に描いてみました。とにかく、まずは私の家族に読んでもらいたい一心で描きましたね。

――Twitterにはとてもたくさんの反響が寄せられていましたが、これに対してはどう感じていますか?
ちちゃこたくさんの反応をいただき、すごく驚きました。同じように悩んでいるお父さんやお母さんに、この漫画が少しでもお子さんと通じ合える手がかりになったなら、とても嬉しいです。

――SNSで漫画を発信したことで、ちちゃこさん自身が気づいたことや考え方の変化などはあったりしましたか?
ちちゃこ「視覚支援」は福祉業界では有効な手段として浸透していますが、一般的にはあまり知られていないんだなと感じました。私が今回描いたコミュニケーションの方法は、発達障害と診断されたお子さんに対する視覚支援のほんの一部でしかありません。障害を越えて、たくさんの方が福祉の世界で行われている方法を知っていくと、もっと豊かにつながっていけるのではないのかなと思います。

――漫画を発信することで、どのようなことを伝えていきたいですか?
ちちゃこ正直なところ、私は漫画を描くよりも子どもとの時間が大事なので、使命感をもって漫画を描き続けることはできません。ただ、合間などに、これからも学んでいく中で発見したことや、これは「障害」として根深いと思ったこと、そして「障害」がなくなった瞬間を描いていきたいです。

ちちゃこさんTwitter:@chichako07
2019年9月末に、合同出版より書籍を発売予定。

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