「汚部屋そだちの東大生」“毒ママ”と過ごした歪んだ20年、決別し呪いが解けるまで
2022-01-29 eltha
頑張ったごほうびは「ホールケーキ」、1人で完食できなかったら…
『汚部屋そだちの東大生』に描かれる母親は、異常な雰囲気で恐ろしさすら感じる。ユウが何かで成功すると、必ず「ごぼうび」のケーキが用意されるが、ユウが苦手なチョコレートのホールケーキで、1人で完食できなかったら「ひどーい、ユウちゃんのせいでゴミになっちゃった。ケーキさんかわいそう!」「もう食べないなんてワガママ、二度と言わないよねぇ」と圧力をかけるという。
「作中で、主人公のユウちゃんは東大在学中に(異常に)気づきはじめますが、私自身が母の異常さに気づいたのは、実は社会人になってからです。たとえばアザだらけになっているとか、周囲から見てわかりやすく虐待と判断できる状態ではなかったので、指摘されることもありませんでした。汚部屋で暮らしていることも、一歩外に出れば誰にもわかりませんから…」(ハミ山クリニカさん)
美人な母親は、チヤホヤされたまま年を重ねたせいで「姫」と呼ぶのがぴったりだった。何でも思うままに事が進まないと気が済まないという。
「教育熱心で服も買ってもらえるので、裕福で恵まれていたと思われていたかもしれません。でも買い与えられる物のほとんどが母の押し付けで、私が欲しい物はありませんでした。欲しくない、いらないと思うことばかりで、そのせいか私は今でも物欲が無く、お金を使うことが極端に苦手です」
周囲は理解しにくい“歪んだ”親子関係、「自分で逃げ出すしか方法はない」
「だんだん家を出て独立したほうがいいかもしれない…と思うようになってきました。でも母親は取り合ってくれず、話し合いすらできる次元ではなかったので、結局は一方的に家を出るという選択しかありませんでしたね。絶縁しないと簡単に居場所がバレてしまうということもあり、ひとり立ちするために完全に決別する道を選びました」
決別してから、「いいことも悪いことも、全部自分の責任にできることがよかった」と語るハミ山さん。現在不安なことはないものの、今でも片付けができなかったり、うまく買い物ができなかったり、気を抜くと自己評価が下がって自分を攻撃してしまったりするという。それでも少しずつ、自分の人生を取り戻している。
「暴力や暴言とまでは言い切れない束縛や抑圧、過干渉など、わかりにくいけれど歪んだ親子関係は、周囲の理解を得にくいんです。その分、メンタルだけが蝕まれます。目に見える被害や証拠がないと警察、自治体が介入することは難しく、解決したいと思うのであれば自分で逃げ出すしか方法はありません」
家庭ごとに事情はさまざまあるだろう。しかしハミ山さんは、「本人がつらいと限界を感じたならば、絶対に距離を置いたほうがいい」と語る。今後何十年と続く人生をより豊かに過ごすために、こうした作品が何かのきっかけになるといい、という想いも込められている。