“整形=ズルい”世間の風潮に…「整形のおかげで生きてられる」全身整形した女性の叫びに共感
2022-02-13 eltha
見た目だけでチヤホヤされたり、あるいは虐げられたり…。外見至上主義を意味する“ルッキズム”が問題視される昨今でも、女性にとって「生まれ持った容姿」は永遠のテーマだ。現代は整形によって一足飛びに「美」を手に入れることができるかもしれないが、マンガ『醜い私があなたになるまで』(ぶんか社刊)の主人公は、「ブス子」と蔑まれながらもメイクやファッションを研究して努力を重ね、ブスのまま美しくなっていく物語。多くの読者の共感を得ているヒロイン像を作り上げた前田アラン先生に話を聞いた。
“整形=ズルい”世間の風潮? 「自分らしく生きるひとつの選択肢」
──人間のドロドロした本性や闇といったブラック要素が満載の本作は、“ブス”のまま生きる主人公・夢子の存在が爽快な読後感を残します。読者人気もとても高いですね。
前田アランさんありがたいことに、「私も夢子のように生きたい」「応援したくなる」という声をたくさんいただきます。オムニバス形式で展開しているため、現在連載中のエピソードには夢子はサブでしか登場しませんが、ゆくゆくはまた夢子メインのお話を描こうと思っています。
──「ブス→整形」をテーマにしたレディコミは多いですが、内面の美しさで外見まで磨かれていく夢子の姿がとても新鮮でした。
前田さん個人的に整形をまったく否定していなくて、それもひとつの選択肢だと思います。だけど、世の中まだまだ「整形=ズルい」という風潮ってどこかにありますよね。だから本作も、「夢子は整形しなかったから正しい」というふうに受け取られてしまったら、どうしようかなと…。それは私の意図ではなかったので。だからあるエピソードでは、全身整形をきっかけに、強く生きられるようになった女性をヒロインにしました。
──そのヒロインも、世間に整形をバラされたことで窮地に追い込まれてしまいます。
前田さん今の時代、整形前の写真を拡散するのも簡単ですし、なかなか隠し通すのも難しいですよね。だからこそ「これが今の自分です」と正々堂々と宣言することで「なんだ、整形かよ」という風潮を蹴散らし、周囲を味方につけていくヒロインがいても面白いかなと思って描いたエピソードでした。
前田アランさんありがたいことに、「私も夢子のように生きたい」「応援したくなる」という声をたくさんいただきます。オムニバス形式で展開しているため、現在連載中のエピソードには夢子はサブでしか登場しませんが、ゆくゆくはまた夢子メインのお話を描こうと思っています。
──「ブス→整形」をテーマにしたレディコミは多いですが、内面の美しさで外見まで磨かれていく夢子の姿がとても新鮮でした。
前田さん個人的に整形をまったく否定していなくて、それもひとつの選択肢だと思います。だけど、世の中まだまだ「整形=ズルい」という風潮ってどこかにありますよね。だから本作も、「夢子は整形しなかったから正しい」というふうに受け取られてしまったら、どうしようかなと…。それは私の意図ではなかったので。だからあるエピソードでは、全身整形をきっかけに、強く生きられるようになった女性をヒロインにしました。
──そのヒロインも、世間に整形をバラされたことで窮地に追い込まれてしまいます。
前田さん今の時代、整形前の写真を拡散するのも簡単ですし、なかなか隠し通すのも難しいですよね。だからこそ「これが今の自分です」と正々堂々と宣言することで「なんだ、整形かよ」という風潮を蹴散らし、周囲を味方につけていくヒロインがいても面白いかなと思って描いたエピソードでした。
「ごく普通の頑張る女性に脚光を」、描くのは見た目ではない心の美しさ
──「整形=チート」という風潮はどこからきているのでしょうか?
前田さん何の努力もせずに、「美」を手に入れたふうに見えるからではないでしょうか。それは生まれつきの美人もそうですけど、これまで持ってなかったモノを一足飛びに手に入れたような人は、嫉妬されやすいのかもしれないですね。SNSで急にインフルエンサーになった人に信者だけでなくアンチが多いのも、そういった心理からなのかなと思います。
──本作のエピソードにはSNSやインフルエンサーの闇も多く描かれますね。
前田さん中にはラッキーでバズったり、たちまち注目を集めてしまう人もいますよね。イラスト界隈でもそういうケースはよくあります。しかも急に人が変わったようにマウントするようになって、「どうしたの?」ってびっくりしたこともありました(苦笑)。
──たしかにSNSには承認欲求を肥大化させるような構造があって、本作にも炎上系に闇落ちしていく女性が複数登場します。
前田さんSNSって数字に振り回されてしまうんですよね。イラスト界隈でも、さっきとは逆の例で、SNSで「いいね」がぜんぜん付かなくなって病んでしまった知り合いがいます。たしかにイラストレーターや漫画家もフォロワー数でお仕事が決まることが普通にあるので、無視はできないんですよ。でも数字に振り回される以前にコツコツと絵や作品を描き続けるしかないなって、結局はそういう当たり前なところに戻るんですよね。
──主人公の夢子も全身整形する凛も、コツコツと努力するタイプです。
前田さんごく普通の頑張って生きている女性に脚光を当てたかった作品なので、その対極として人を貶めたり、炎上で人を煽ったりすることで簡単に名声を手に入れようとする女性をヒールとして登場させています。“ブス”のままだろうが、整形で美しくなろうが、見た目ではない心の強さや美しさでヒールに打ち勝っていく。そんな爽快な女性たちを描いて、読者の方にすっきりしていただければうれしいです。
前田さん何の努力もせずに、「美」を手に入れたふうに見えるからではないでしょうか。それは生まれつきの美人もそうですけど、これまで持ってなかったモノを一足飛びに手に入れたような人は、嫉妬されやすいのかもしれないですね。SNSで急にインフルエンサーになった人に信者だけでなくアンチが多いのも、そういった心理からなのかなと思います。
──本作のエピソードにはSNSやインフルエンサーの闇も多く描かれますね。
前田さん中にはラッキーでバズったり、たちまち注目を集めてしまう人もいますよね。イラスト界隈でもそういうケースはよくあります。しかも急に人が変わったようにマウントするようになって、「どうしたの?」ってびっくりしたこともありました(苦笑)。
──たしかにSNSには承認欲求を肥大化させるような構造があって、本作にも炎上系に闇落ちしていく女性が複数登場します。
前田さんSNSって数字に振り回されてしまうんですよね。イラスト界隈でも、さっきとは逆の例で、SNSで「いいね」がぜんぜん付かなくなって病んでしまった知り合いがいます。たしかにイラストレーターや漫画家もフォロワー数でお仕事が決まることが普通にあるので、無視はできないんですよ。でも数字に振り回される以前にコツコツと絵や作品を描き続けるしかないなって、結局はそういう当たり前なところに戻るんですよね。
──主人公の夢子も全身整形する凛も、コツコツと努力するタイプです。
前田さんごく普通の頑張って生きている女性に脚光を当てたかった作品なので、その対極として人を貶めたり、炎上で人を煽ったりすることで簡単に名声を手に入れようとする女性をヒールとして登場させています。“ブス”のままだろうが、整形で美しくなろうが、見た目ではない心の強さや美しさでヒールに打ち勝っていく。そんな爽快な女性たちを描いて、読者の方にすっきりしていただければうれしいです。
『醜い私があなたになるまで』前田アラン著/ぶんか社刊
(外部サイト『まんが王国』)
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『醜い私があなたになるまで』(C)ぶんか社/前田アラン