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3頭身?ウソみたいにかわいいカワウソの赤ちゃん、父のワンオペ育児も…“家族愛”に飼育員も感動

2022-02-26 eltha

 八景島シーパラダイスで、昨年10月に誕生したコツメカワウソの5つ子赤ちゃん。先月一般公開が始まり、SNS上でも来園者が写真を投稿すると「可愛すぎて震えた」「ウソみたいにカワイイ」「本物?」などのコメントが寄せられ、大きな反響があった。ここ数年、SNS上でコツメカワウソのキャラクターが人気になったり、カワウソカフェが話題になったりと、“カワウソブーム”とも言われていたが、コツメカワウソは東南アジアに生息する世界最小のカワウソで、絶滅の恐れがある種として指定されている。同館がコツメカワウソの展示を通して伝えたい思いを聞いた。

生後8ヵ月のお姉ちゃんが、赤ちゃんを世話する姿に感動…「新しい命を繋ぐ責任感を感じた」

――出産において、準備や過程においてどのようなご苦労がありましたか。

コツメカワウソの妊娠や出産はお母さんがとても神経質になるため、外部からの刺激をできる限り少なくし、お母さんが安心して出産や子育てをすることができる環境作りを行いました。また出産については、母子ともに無事な出産となるか、出産直後に授乳を含め赤ちゃんの世話を上手にできるかどうか、という心配があります。そのため、何かあればすぐに対応できるように、モニターカメラでの観察を行い、人工哺育の準備も事前に行っておりました。
――2月に引き続き、10月に5頭の赤ちゃん誕生の瞬間はどのような思いでしたか。

コツメカワウソは非常に社会性が強く、家族で子育てをする傾向にあります。出産時はモニター越しで観察を続けていました。1頭ずつ誕生する中で、お父さんのレラキとお母さんのムーアは、前回同様すぐにお世話をし始めました。

2月の出産のときに誕生した生後8ヵ月のお姉さんのハピアは、3頭目が誕生した頃から、指先や顔で何度か赤ちゃんに触れるようになり、ムーアが抱えていた赤ちゃんを手放したタイミングで、赤ちゃんを抱っこしてお世話をし始めたのです。無事に出産をしてくれたお母さんのムーア、いつも献身的にお世話をしてくれるお父さんのレラキ、素敵なお世話姿を見せてくれたハピアに感動しました。そして、目の前にある新しい命をしっかり繋いでいく責任感をより感じました。
――その後、赤ちゃん、親子の様子はいかがですか。

現在は計画的な繁殖への取り組みの一環で、男の子グループと女の子グループに分けて生活しています。赤ちゃんと言っても、生後4ヵ月となり、体重も1kgを超えました。男の子グループでは、お父さんのレラキが見守る中、赤ちゃんたち3頭がマイペースに遊んでおり、女の子グループでは、お姉さんのハピアが先陣を切るように赤ちゃん2頭とせわしなく走り回っています。それぞれのグループで行動が違うので、その違いを観察するのも面白いかもしれません。

ペット人気上昇に危機感「絶滅の恐れのある野生動物としても目を向けてほしい」

――赤ちゃんはどのようなものを食べて、1日どのように過ごしていますか。

大人たちと同じく、ワカサギとアジ、ペレットを食べています。寒さにあまり強くないので、暖かい寝室から外に出て遊ぶ時間を決めており、その他の時間は寝室の中で昼寝をしていることが多いです。

――コツメカワウソ達の好物やハマっていることなどがあれば教えてください。

最近、くわえて運べるサイズのおもちゃをプレゼントしてみました。みんなでくわえて運んだり、いろんな方向に引っ張り合いっこをしてみたり、誰かが独占しているのをみんなで追いかけたりと、とても気に入ってもらえたかと思います。独占しているのは大抵お姉さんのハピアですが…。

あとは、展示場に大きなすのこが置いてあるのですが、その隙間に何度も何度も前肢を突っ込んで何かを探っています。本来の習性である穴に前肢を入れて探る行動がたくさん引き出せているので、もう少し形を変えて、色々な行動をさらに引き出せればと思っています。
――ここ数年、SNS上でカワウソのキャラクターが人気になったり、カワウソカフェが話題になったりして、「飼いたい」との声も多く見られますが、そのような声に対し、どのように感じますか。

コツメカワウソの持つ能力や特性、動物福祉の観点からみても、十分な飼育環境を一般家庭で整えるのは難しく、安易に「飼いたい」という想いでペットとして飼育することには向かない動物種です。

2019年には、ワシントン条約(絶滅の恐れのある野生動植物の国際取引に関する条約)において、国際取引を原則禁止とする「付属書?」に引き上げもされました。コツメカワウソが多くの方に知っていただけることは嬉しいことですが、間違った認識や魅力が伝わってしまうことは残念です。その先にある、野生動物として置かれている状況にも目を向けていただけたらと思います。
――コツメカワウソは飼育の上でどのようなご苦労がありますか。

生活している環境作りです。運動能力が高く、手先も器用なので、高いところに上ったり、わずかな隙間に手を突っ込んだり、強度の弱い物であれば、かじったり体当たりしたりして簡単に壊してしまいます。好奇心旺盛な性格の個体が多いので、何が起こるか予測しながら未然に防げるよう努めています。

――飼育する上で大変なこと、気を付けていることがあれば教えてください。

健康管理に1番気を付けています。個体の状態によって、ごはんの種類を変えることもしています。また、定期的な体重測定や体温測定、採血、レントゲン撮影によってしっかりと把握をして、最適な健康管理ができるようトレーニングを進めています。とは言え、その検査ができるように動物たちに協力してもらうことが大切なので、日々信頼関係を築いていけるようコミュニケーションを欠かさないようにしています。

臆病で慎重派だけど、家族想いで働き屋なお父さん 授乳後はお母さんも任せっきり?

――コツメカワウソは、どのような特徴がある動物だと感じますか。

社会性が高いこともあり、感情や思考が見ていて分かりやすい動物だと思います。その中でも、仲間同士で声によるコミュニケーションを見ていると一番分かりやすいかもしれません。親子の様子では、両親が子どもにご飯を渡しに行ったり、お母さんが一声で呼ぶと家族みんなが集合したりするので、そういったところからも、何を考えて、どういう感情でいるのか分かりやすいと思います。
――飼育していて、驚いたことや意外な一面などがあれば教えてください。

好奇心旺盛な個体が多い中で、とっても臆病で慎重派な個体に出会ったときに驚きました。その個体は、お父さんのレラキです。新しい環境に慣れてもらうときに、大体のコツメカワウソはあらゆる場所の確認をしにウロウロと散策して回ります。しかし、レラキの場合は一歩も動かずでした。人間と同じくいろいろな性格の個体がいることは当たり前なのですが、それでもびっくりしてしまいました。

そんなレラキの意外な一面は、家族のためなら積極的に行動をするところです。家族の元へごはん、麻袋、おもちゃなど、なんでも運んでプレゼントしています。
――印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

赤ちゃんの授乳をするときに、4つの乳頭に対して5頭の赤ちゃんがいるので、みんなが均等に授乳できるように、お母さんが上手に交代させて授乳をします。お母さんは、飲み終わった赤ちゃんから上手に抱え、お父さんにパス!をしていました。そして、お父さんはその赤ちゃんをしっかりと抱っこしていました。続々とお母さんからパスをされて、最終的にはいつもお父さんが5頭を抱っこした状態となり、お母さんは自由にゴロゴロし始めるのです。

その他にも、みんなで移動をするときには、お父さんが遅れている赤ちゃんに気を配りながら、必ず1番最後をお父さんが歩いていました。さらに、寝ている子どもたちに麻袋をかけてあげるなど、お父さんの献身的な姿が印象的でした。

――絶滅の危機に瀕しているコツメカワウソですが、展示を通してどのようなことを伝えたいですか。

野生動物として、コツメカワウソが持つ本来の運動能力や習性をしっかりと感じてもらいたいです。そのうえで、野生環境下での状況やなぜ絶滅の危機に瀕してしまったのかを知るきっかけを提供できればと思います。そのためには、コツメカワウソの野生本来の行動を引き出せるような展示をして、正しいコツメカワウソの情報を発信し続け、お客さまに魅力を伝えていきたいです。

コツメカワウソの赤ちゃん日常フォトギャラリー

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