
宋美玄先生
宋美玄「女性もマスターベーションしていい」という考えが、市民権を得てきたようには感じています。今はスマホを使えばクローズドな環境でコンテンツにたどり着けますし、女性も自分の性欲が高まるシチュエーションを探る機会が増えているはず。
それに、ラブグッズが通販で手に入るようになったのもいい変化の一つですね。マスターベーションも、自分の身体を知る一つの過程です。パートナーとのセックスに満足できなくても、自分がどうしたいかが分かっていれば相手に伝えられますから。
――情報を得るだけでなく、実践して自分を知ることも大切ということでしょうか。
宋美玄まずはマスターベーションで、というのは非常に大切ですよね。性にオープンになれ、というのは、何も性に奔放になれと言っているわけではないんです。適切な情報を取り入れて、自分を知ることは何においても必要なことです。
セックスレス改善の最終目標は、自分がセックスを楽しめるようになること。相手のために気を使うことも大切ですが、そうである限り心からセックスを楽しむことはできないでしょう。私が伝えたいのは、女性はもっと性に自分本位になっていいということです。セックスはあなたにとって、したいと思えることなのか。セックスはあなたの幸せに繋がっているのか。まずは一回考えてみてほしいですね。
――今後、読者にどんな見識が広まることを望んでいますか?
宋美玄たとえば世の中では「女性の性欲と男性の性欲は反比例する」なんて通説があるようですが、事実無根の噂話。女性も男性も、性欲は年齢とともに落ち着いていくという研究結果があります。このような誤った情報を鵜呑みにしている人も多く、それが性への不安にも繋がっています。性について正しいエデュケーションが行われない以上、セックスで満たされるためには、自主的な情報収集や行動も必要です。
実は、『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』は男性もたくさん読んでくれていて。パートナーに渡して、一緒に読んだと言ってくれた女性もいました。書籍などでの発信を通して、正しい知識が広まり、そして読んだ方の選択肢が広がればと思います。
(取材・文/ミクニシオリ)