渡辺直美、自身の体型を愛する秘訣は「自分を否定しないこと」 短所も受け入れることが自信に
2022-08-22 eltha
稽古は「信じられないくらい地獄」 “口パク一本”から舞台初主演へ挑む決意
「演技中はトレイシーとして17歳でいないといけないんですけど、やっぱり台詞とか動きとかで、時々34歳が出ちゃうんですよね(笑)。太っていることに対して周囲に辛辣な言葉をかけられるシーンも、17歳の自分だったらどう受け止めてたかな、ショックだっただろうなとか、いろんなことを考えてトレイシーと向き合っています。“渡辺直美”というものを、どうやっていい感じに消せるかっていうのはかなり考えてますね」
「こんなこと言うのもアレですけど、実際に稽古が始まってみて、信じられないくらい地獄で(笑)。ミュージカル界のトップ俳優の皆さんと一緒にやるという緊張感もありますし、芸人同士の稽古とは違いすぎて、とにかく慣れるのに大変でした。表現者としてのスタンスみたいなものを、一から勉強させていただいているっていう感じですね。
実は私、元々ミュージカルが大好きで、19歳の時にNSCでジャングルポケットの斉藤さんと『ヘアスプレー』の代表曲“You can’t stop the beat”を口パクで踊るっていうのをやってたくらい、思い入れのある作品なんですよ。
それから今までずっと口パク一本でやってきた人間ですから(笑)、急に舞台で歌う不安はありました。でも人間って不思議なもので、皆さんに引っ張られて歌声も大きく出るようになったし、演技も最初の頃よりはパワフルになっていっているので、少しずつ夢が叶っている感じが、トレイシーと被りますね」
“太っている=お笑い”から誰でもスターになれる時代へ「自由に自分を表現できるようになった」
「そういった差別や偏見は複雑な問題ですし、時代と共に変化している部分と、いまだ何十年も変わらない部分はあると思います。自分もこういう体型でお笑いをやっていますが、昔は『太っている=お笑いしかできない』っていう風潮があったと思うんですね。私が出てきた時はプラスサイズのモデルもいなかった中、今ではどんどん増えて、自由に自分を表現できるようになりました」
「『自分はこうだし、あなたの意見もみんなの意見も混ぜて、いいものを作っていこう』っていうのが私のスタンスです。何より“自分はなぜこうなのか”って自信を持つことが大切だと思っていて、自分がやりたいことは人に迷惑をかけない限り、突き進むべきだと思います。
体型に関しても、痩せたくてジムで頑張ってる人はそれが好きならやるべきだし、だからといって太っている人が悲観的になる必要はないですよね。100%同じ意見の人はいないからこそ、共存するためにコミュニケーションと理解が必要なんですよね。ただ、『理解=素直にイエス』っていうわけじゃなくて、理解するけど、その意見はノーかもしれない。とにかく相手の意見を一旦理解するっていうことが大事だと思います」
「自分を拒否しないことだと思います。『否定する=それを切り離す』ということになるので、成長や自信につながらなくなっちゃうんですね。自分の嫌な部分とか、短所を受け入れる。例えば、落ち込んでいる友達がいれば慰めたりアドバイスしたりするけど、自分にはしないじゃないですか。自分に向き合わずにいるとどんどんネガティブになってしまうので、自分が相談相手になってあげて、支えてあげることが大事だと思います」
(文=鈴木ゆかり)