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高まるCM起用のペットタレント、昨今は“保護猫&犬”視点の需要も

2023-02-13 eltha

 近年、犬や猫など動物が登場するCMは珍しくなく、SNSでの人気からタレントになるペットも増加中。動物ならではの愛らしい表情につい引き込まれてしまうことも多く、CMのみならず、プロモーション動画や雑誌、そしてグッズ化されるなど、活躍の場を広げている。ペットを飼う人が増えているように、ペットをタレントにしたい需要も高まっているのか? メディアから今求められているペットとは? 株式会社3DAYが運営し、設立から5年を迎えたペット専門の芸能プロダクションanicas(アニキャス)に、実情を聞いた。

人間より短い一生 たくさんの経験をさせてあげたい

 目の前でサランラップを切る女性を見て、「サランラップを切ってみた〜い」とつぶやく猫のCM。出演しているのはペットモデルの猫・おもちちゃん。林家たけ平が演じる絶妙な猫の声も相まり、Twitterでは「かわいい」「つい反応しちゃう」と人気に。長年愛されているソフトバンクの“お父さん犬”や、ワイモバイルのキャラクター「ふてニャン」など、動物を使ったCMは今や多岐にわたり、人気を博している。ドラマや映画でも、犬や猫、そして様々なペットが話題になることも少なくない。

 メディアに登場するペットたちも、人間同様プロダクションに所属している場合が多く、自ら応募する場合や、SNSで人気になり所属に至るなど、入り口は様々。そんな中、現在ペット専門のプロダクションとして実質国内最大級の規模を誇るanicasは、5年前に少数精鋭で誕生した。
「弊社の者は全員ペットがいて、一緒に生活をする中で、“人間より短い人生を送る子たちと、より多くの思い出を作りたい”、“非日常の体験をさせてあげたい”という思いから、“新商品サンプリング”といった特別な体験を提供していました。そこから派生して撮影のキャスティングなども引き受けるようになり、事務所設立まで拡大できるようになりました」(anicas・栗原紘子さん/以下同)

 所属するのは、ペットインフルエンサーと呼ばれる有名ペットたち、ペットモデルと呼ばれる、よくトレーニングのできた撮影特化で活動しているペットたち、そして、両方をこなす「タレント」だ。雑誌やCMなどの映像出演はもちろん、企業の商品やキャンペーンなどの告知を行うインフルエンサー業務など、その活動は幅広い。
「インフルエンサーさんは撮影もうまいので、ストックフォトのようなサービスなどへ、質の良い写真や動画の素材提供も行っています。飼い主さんとのタッグで、可能な業務は全部引き受けている状態ですね」

 その他にも、バラエティー番組のロケや、ペット系映画の試写会参加、ペットイベントの舞台出演と、様々な場面で活躍中。現在、同社に所属しているのは約300頭、家庭数で言うと約200で、犬と猫が半々ぐらいの割合。その他に、うさぎやフェレット、ミーアキャットなど、様々な種類が所属し仕事を受けている。ペットの種類も、年々広がっているそうだ。

「動物は数字を持っている」企業が起用したいペットとは?

「KARIMOKU CAT TABLE」のモデルとして出演

「KARIMOKU CAT TABLE」のモデルとして出演

 近年、様々なペットがメディアに登場しているが、企業から選ばれるペットにはそれぞれ傾向があると栗原さんは言う。
「自動車は圧倒的に大型犬が多いイメージですね。犬用ペットグッズであれば、ほとんどが小型犬の希望が多いです。猫ちゃんは近年増えてきた印象で、素材提供や、CM撮影も増えています」

 撮影の場合は、コンセプトや監督の好みなどによって、ペットの毛の色や柄の入り方まで指定が入ることも。ただ、ここ5年間で求められるペットの種類やトレンドなどに、ほぼ変化はないそう。
「弊社としては、おもしろい柄の子や、珍しい種類の子、また保護犬保護猫ちゃんの活躍の場がもっと拡がってほしいと思っています。ですが、ご依頼がくるのは、みんなが良く知っている犬種だったりして、それでもそーっと珍しい子を提案書に入れているんですが(笑)、なかなか選ばれにくいですね」

 ペットの資質に向き不向きはなく、活躍できるかどうかは、人間側の接し方や人柄が重要。ペットに関する知識をもって飼育するのはもちろん、自分の子の性格や特技、嫌いな物などを細かくわかっている方のペットの方が断然活躍できるそうだ。実際にメディアに出る場合は、合格する時点で基本的なトレーニングができているため、特別な練習はしない。特殊な演技が必要な場合のみ、その子に合ったやり方を試行錯誤し、いいシーンが撮れるに工夫している。

 ここ数年、企業からのペットの需要は増加。「動物は数字を持っている」と言われ続け、動物が登場する番組は多くなったのを始め、ニュース番組でも、かわいいペットの動画が流れたり、コーナーが作られることも多い。視聴率が上がり、絵がやわらかくなることに加え、「スキャンダルがない」ということを理由に挙げていた企業もあるそうだ。
パナソニックのペットカメラのモニターになった所属ペットも

パナソニックのペットカメラのモニターになった所属ペットも

 需要が増える反面、ペットを飼ったことがないクライアントからの依頼も増え、愛護の観点からの危惧もある。
「たとえば、人間の食べ物をワンちゃんに食べさせるとか、生態的にあり得ないポーズをさせるとか、とんでもない撮影依頼が来て、リーガルレビューすることもあります」

 自分やスタッフの飼っているペット、一般飼い主に直接声掛けをしてペットの撮影を行ってしまう企業も多くなっているそうだが、ペットを出演させて撮影するのは、「動物取扱業」という法律で決まった資格を持った会社等しか行うことができないことになっている。命を守るため、専門の知識を持った人間がいないと危険なことができないよう、法律できちんと制限されているのだ。
「ペットを活躍させたい飼い主さんたち、なるべく安価にペットを登場させたい企業、という構図から危険な現場が生まれてしまっていることもあります。予算を節約せずに、命優先での撮影をしていただけたらと願っております」

保護猫・保護犬視点でのインフルエンサー需要も増

 コロナ禍の影響で、ペットブームとなっている昨今。ペットを飼う人が増え、自身のペットをタレントにしたいという要望も増えているそうだ。anicasでも、研究生への応募が日々増加している状況だ。

 また、インフルエンサー業務では、保護猫や保護犬といった視点での依頼が増加しているのも特徴的。
「5〜6年前くらいから、“保護団体”、“保護活動”の存在がポジティブに認知されてきたと思います。それまでは、かわいそうなどネガティブなイメージが多かったですが、保護猫カフェなども増え、認知が広がっていると思います」

 今では、ペット用品系企業が保護団体などに寄付するといった企画も多くなり、”保護猫との生活”の目線で、ペット用品をレビューしてほしいという依頼も徐々に増えている。

 コロナ禍でペット需要が高まった反面、安易に飼い始め飼育放棄が増加傾向にあるのもまた現状。2021年の夏、トイプードルがつぶらな瞳でこちらを見つめ、「その一目ぼれ、迷惑です」と綴った動物愛護協会のポスターは、その切実な現状を物語っている。一つの大きな命であることを認識し、責任を持って関わることは絶対の条件と言えるだろう。

 「かわいいは、伝わる」をテーマに少数精鋭で歩み続けてきたanicasでは、今後も大切なペットを守りながら、動物たちのかわいさを伝えていきたいと展望を語る。
「これからも、弊社とかかわってくれるペットたちに、貴重な思い出を提供していきたいと思っています」
インフルエンサーとして活躍するアニキャスのペットたち

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