【不倫漫画】「生産性の無い主婦の分際で!」不倫夫の暴言に笑顔で耐える妻、「落ちるところまで落ちてもらう」作者の想い
2023-02-22 eltha
“サレ妻”女優が夫に逆襲、「芸能スキャンダルに対する世間の“臨場感”も楽しんで」
岩島朋未さん不倫テーマはウェブコミックの激戦区なので、目新しさを出したかったのが1つあります。また、不倫発覚のダメージは著名であればあるほど大きいですよね。現実でも、不倫シタ側が謝罪会見を求められたり、活動自粛に追い込まれたりすることがありました。不倫をシタ側に、徹底的に社会的制裁を下すストーリーを描く上で、芸能界という舞台は最適だと考えたんです。
──不倫“シタ側”は、のうのうと社会生活は送らせない、という教訓でしょうか。
岩島さん現実には理不尽なことも多いだけに、悪いことをした人にはきちんと裁きを受けてほしいと思う人が多いんじゃないかと思います。不倫テーマの漫画がウケるのは、そうした“勧善懲悪”の願望を満たしてくれるからでしょう。だからこそ、手加減なく落ちるところまで落ちてもらおうと思っています(笑)。
──夫婦間のトラブルに留まらず、世間を巻き込むのは「芸能界」ならではです。
岩島さん不倫発覚の芸能ニュースにも、一般の方々からコメントがたくさんつきますよね。シタ側が猛バッシングされるだけでなく、サレた側にも、「何か問題があったんじゃないか」といった憶測が飛んだり、中には「もう許してやれよ」といった擁護もあったり…。本作でも、そうした芸能スキャンダルに対する世間の臨場感みたいなものが生み出せたら、作品としてより楽しんで頂けるかなと考えてストーリーを組み立てました。
「苦しいときは、周りの人たちの助けを借りて」伝えたい想い
岩島さん不倫した2人の共通点は、肉親との関係に問題を抱えていること。親の愛情に満たされないまま大人になり、似た者同士の飢餓感から肉体関係を持ってしまうという設定です。ただ、最初からそうした同情を誘うような要素を明かすのは、無駄なミスリードを誘うと思ったので、その辺はわりと後出しにしています。
──たしかに…どんな境遇であれ、不倫した人に同情はできないかもしれません。
岩島さんどんな過去があったにせよ、不倫をしたのは事実であり、人を傷つけるのは許されないこと。そうした本作の軸をブレさせたくなかったんです。世間でもたまに、「不倫する側にも“事情”がある」、「サレた側にも何か問題がある」といった、不倫でさんざん苦しんでいる人の傷口に塩を塗るようなことが言われます。この作品で、それはしたくないなと思っています。
──読者にも、不倫で悩む当事者がいるかもしれません。描く上で配慮されていることはありますか?
岩島さん主人公を傷つけるのは、主に不倫している2人で、味方をなるべくたくさん登場させたいと考えました。助けられてばかりと言われてしまうかもしれませんが、苦しいときは色んな人の助けを借りていいと思うんですよね。「夫婦のことだから」と1人で抱え込まないで、支えてくれる人はいっぱいいるはずだよ、というメッセージも伝わればいいなと思っています。
──初のコミック原作として、不倫サレ妻の復讐劇というジャンルに挑んだのはなぜですか?
岩島さんもともとお題を頂いていたんです。本作は、ウェブトゥーンの制作会社であるSORAJIMAさんの作品なのですが、「不倫をテーマにしたオリジナル原作を書いてみませんか?」というお誘いをいただき、企画書をコンペに提出して通ったというのが経緯です。
──ドラマや映画と電子コミックで、脚本の組み立て方に違いはありますか?
岩島さん電子コミックはスキマ時間に読む方も多いので、ある意味でわかりやすさを心がけています。わりと早い段階で、「敵/味方」をはっきりさせるとかですね。その点でも、スカッとする勧善懲悪ものがハマりやすいメディアなのかなと思います。
──絵柄でも、サイコパス愛人のゲスっぷりがひしひしと伝わってきます。
岩島さんSORAJIMAの作画チームの方々のおかげです。このジャンルは読者の方々の目も肥えていて、縦スクロールのウェブトゥーンはサクサクと読める分、興味を失ったとたん離脱も早い傾向があると聞きました。とにかくシビアなジャンルなので、1話1話が勝負で、とても勉強になっています。毎話で何かしらグッと感情を揺さぶるエピソードを盛り込むよう工夫していますので、最後まで楽しんでいただけたらうれしいです。
『セイサイのシナリオ』
原案:岩島朋未/制作:SORAJIMA
劇団員時代に出会った脚本家の良平と結婚し、一児の母となった明日実は家事や育児に追われる忙しい毎日を送っていた。一方の良平もテレビドラマを手掛けるまでの人気脚本家となり、お互いの溝は深まるばかり。そんな中、良平がドラマの原作小説を担当する敏腕編集者と浮気をしていることが判明する。明日実から良平を奪い取ろうと画策する愛人と夫の策略に、明日実はドラマ業界を巻き込んだ復讐を決心するのだが…。