小田茜、10代で背負った“国民的美少女”の重責と将来への不安「心は疲弊する一方だった」

かつて「国民的美少女」と呼ばれ、その美しさで一世を風靡した小田茜。デビューから33年、今年45歳を迎える彼女は「シワも増えたしほうれい線もある」と笑う。それでもリアルな自分を表現できる今が楽しいという。10代で“美の象徴”となった小田。過酷な競争社会のなか、求められる美少女像に苦しみ「心は疲弊する一方だった」と当時を振り返る。結婚・出産、離婚を経て、芸能界に復帰した彼女が明かしたブレイク時の苦悩、結婚離婚、今後の活動とは。

――小学校6年生で芸能界にデビューして今年で33年目を迎えられますが、デビュー当時のご状況について、改めてお聞かせいただけますか。

【小田茜】　芸能界への憧れや、女優さんになりたいという思いは小学校3年生ぐらいから抱いていたので「全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリをいただいたときは本当に嬉しかったですね。でも、その日を境に生活も環境も、すべてが一変しました。例えるなら、止まらない列車に乗ってしまったような感じ…でしょうか。どこにでもいる普通の小学生だった私にとって、その変化はあまりにも衝撃的で、戸惑いの始まりでもあった気がします。

――小学生離れした美貌にメディアも湧き、鮮烈なデビューでした。受賞直後から忙しい生活に？

【小田茜】　そうですね。デビュー直後は、年齢的なこともあって、お芝居以外にも歌を歌ったり地方のイベントに参加したり、それこそありとあらゆるお仕事をしました。子どもだったので体力的にきつい、と思うことはあまりありませんでしたが、仕事の経験を重ねるほど心は苦しくなっていきました。

　どのお仕事もキャッチフレーズに違わない綺麗なイメージを大事にしたものだったので、そのようなお仕事をいただけることに、恵まれているなと思う反面、お人形さんのようなイメージだけがどんどん先行していくことに対する戸惑いというか、自分の気持ちが置き去りにされているような感覚が常にあったんです。

――「国民的美少女」という肩書に縛られていた？

【小田茜】　そうかもしれません。求められると、そうあらなければいけないみたいな意識が働くんでしょうね。みなさんが持たれている「小田茜」というイメージに、応えてしまおうとする自分がいて。今思い返せば、もう少し違う表現をしたいとか、リアルな自分の気持ちを伝えたいという思いもあったのに、それを自分自身で抑圧するような形でお仕事に向き合っていた気がします。

――求められるイメージを裏切ってはいけないという思いは、私生活にも影響を与えましたか。

【小田茜】　どこで何をしていても、つねに見えない力でコントロールされているような感覚がありました。そんな中、いつしか「（この状況から）解放されたい、自由になりたい」という気持ちを抱くようになって。

　傍目には、お仕事にもすごく恵まれて、羨ましいと思われる状況だったと思うんですが、本人にしてみれば、求められるイメージに応えなきゃという無意識のプレッシャーと「今のいい状況がいつまで続くかわからない」という不安が拭えず、心が疲弊していく一方だったんです。やめたいなって思ったことも一度や二度じゃありません。それでも続けられたのは、女優というお仕事が心の底から好きだったからなんですよね。

――プレッシャーや不安から解放されたのは、いつごろでしたか。

【小田茜】　29歳で結婚して、しばらくお仕事から離れたことで、ようやくひとりの女性として生きているという実感が持てるようになりました。結婚したことでそれまでとらわれていたものから解放されただけでなく、自分が帰れる場所、安心できる場所を手に入れたことで、とても心が安定するようになりました。

――それでご結婚後はご家庭を優先されて…

【小田茜】　私は不器用なので、家庭と仕事を両立させる自信がなかったんでしょうね。東日本大震災をきっかけに家族で北海道に移住したこともあって、物理的に仕事を続けるのが難しくなり、どうしてもどちらか選ばなければいけなくなって。そこでいったん女優業は置いておいて、今は子育てに専念しようと気持ちを切り替えたんです。そう思えたのも、デビューしてから結婚するまで、自分なりに誠心誠意、女優というお仕事に一生懸命向き合ってきたからだと思っています。

――2021年に12年ぶりに芸能活動を再開されましたが、いつ頃から復帰を考え始めていたのでしょうか。

【小田茜】　復帰までの2、3年ぐらいです。私生活で離婚という大きな出来事がありまして、それが転機というか、きっかけになっています。彼との生活は結婚することで手に入れた帰れる場所、安心できる場所でしたが、いつしかお互い見る方向が違ってきて、気持ちもすれ違うようになってしまって。夫婦としては離婚という選択をすることになりましたが、子どもにとって父親、母親であることに変わりはないので、今でも支え合いながら、子育てに向き合っている状況です。

――本格復帰にあたって、心配や不安だったことは。

【小田茜】　SNSです（笑）。以前は私生活を極力見せないようにしていたので、今でもプライベートを公表することに少し抵抗もありますが、今の時代そうもいかないな、と。InstagramやYouTubeチャンネルで発信を始めました。炎上させずにうまく使いこなせるのかなとか、向き合っていけるのかなっていう不安を感じながら、手探りで恐る恐るスタートさせたんです。

――実際にはじめてみていかがでしたか。

【小田茜】　おかげさまで、だいぶ慣れてきました。これまではリアルにファンの方の声を聞く機会ってほとんどなかったんですが、今はインスタを通じてたくさんの方の応援が直接私のもとに届くので、人との繋がりがより一層強く感じられて非常に勇気をいただいています。活動を続ける上での大きなモチベーションにもつながっていますね。

――復帰直後、変わらぬ美しさが話題となりました。今年45歳となる小田さんの“美の秘訣”を教えてください。

【小田茜】　40歳を過ぎると髪質も、お肌もすごく変わるんです。そんな中で私が大事にしているのは、ストレスをためないこと。体と心は密接に繋がっているので、ストレスを感じながら毎日過ごしていると、お肌も張りがなくなりシワだらけでボロボロになってしまうんです。ストレス老化って言うらしいんですが、そうならないためにストレスを溜め込まず、心から笑顔でいられるように日々気をつけています。

　ただ、年齢による外見の変化に関しては、私はある程度仕方のないことだと受け入れているんです。目尻のシワも増えましたし、ほうれい線だって気になります。20代の頃は朝一でお化粧したあとは、お仕事が終わるまで一切鏡なんか見なかったんですが、最近はもう、いろんなところが気になって、１日に何回も鏡を見るように。それもまた、年齢による変化といえば変化ですね。

――小田さんのYouTubeチャンネルを拝見すると、美しいだけでなく、とてもチャーミングで人間的な魅力が溢れていました。

【小田茜】　YouTubeは新たな小田茜、リアルな私を見ていただいきたいという思いから始めたので、どんどん等身大の私を見せていこうと思っています。

――最後に、今後の抱負と展望をお聞かせください。

【小田茜】　現在、ヨガのインストラクターとしても活動しているので、引き続きヨガを通じて、皆様の希望になるようなことを発信していけたらと思っています。女優業も再開したばかりですが、昨年、ニール・サイモンの舞台を拝見させていただく機会があったんですが、ラブコメディのような喜劇にも興味がありますので、チャンスがあれば舞台にも挑戦してみたいですね。

（取材・文／今井洋子）