スマホ首(ストレートネック)が体に与える影響は? 1日数分でOK、改善ストレッチを専門家が伝授
2023-10-29 eltha

“スマホ首”は身体に悪影響でさまざまな不調の原因に…頭痛やめまい、不安感も
身体に及ぼす影響は、以下のようなものがあります。
(1)首や肩の痛みやコリ:頭の重さが首や肩にかかり、その結果、筋肉や靭帯が緊張し、痛みやこりを引き起こします。長期的には、椎間板や関節にもダメージを与える可能性があります。
(2)頭痛やめまい:スマホ首によって首や肩の筋肉が硬くなると、血管や神経が圧迫されます。その結果、脳へ送られる血液や酸素が減少し、頭痛やめまいなどの症状を引き起こすことがあります。
(3)自律神経失調:自律神経系は心臓や呼吸などの生命活動を調節するシステムですが、ストレスや不規則な生活などで乱れると、自律神経失調症につながります。不安やイライラ、不眠や倦怠感などの精神的な不調や、胃腸障害や冷え性などの身体的な不調が起こります。
「就寝時に首が痛くて寝付けなくなり、不眠になることもあります。長時間同じ姿勢をしないようにし、首だけを使って下を向くような姿勢になる機会も減らせると良いでしょう」(キュアレ整体師・塚本幸規さん)
ストレッチやマッサージを毎日数分間行うだけで予防や改善に役立つ
まずは意識的に正しい姿勢を作ることです。スマホを使う時は、腕を上げて画面を目の高さに持ってきたり、イスに座って背筋を伸ばしたりするとよいでしょう。長時間同じ姿勢でいると首に負担がかかるので、定期的に休憩を取って首を動かすことも大切です。
次に、姿勢改善のストレッチも効果的です。首の骨がまっすぐになってしまった状態を元に戻すためには、首の筋肉や関節をほぐす必要があります。また、コリ改善ストレッチで筋肉をリフレッシュするのも良いでしょう。首の筋肉が緊張して凝り固まってしまった状態を緩和するためには、首の周りの筋肉をマッサージしたり、温めたりすることがおすすめです。首だけでなく、肩や背中も一緒にほぐしてあげると、血流が良くなり、首の痛みや疲れが軽減されます。
ここでは、予防や改善に効果的なストレッチやマッサージをいくつか紹介します。
(1)首の筋肉をほぐすストレッチ:椅子にしっかり座り、片方の手で椅子の座面をつかみます。もう片方の手で鎖骨付近を押し下げながら斜め後ろに頭を倒します。硬くなっている部分、首を曲げたり横に倒したりする筋肉・斜角筋を伸ばすイメージ、痛くない範囲で後ろに倒しましょう。首だけでなく、頭が後ろになるよう意識して行います。10〜30秒キープします。これを3回繰り返します。
(2)首の関節を動かすストレッチ:体は動かさず、頭だけをできるだけ前方に出します。顎に手を当て、後方に移動させるように少し強めに押します。この動作を3回程度繰り返し行います。
(3)胸鎖乳突筋のストレッチ:首が前に出た状態が長時間続くと、耳の裏から鎖骨の方に斜めについている「胸鎖乳突筋」が収縮したままになり、凝り固まってしまいます。この筋肉をほぐすと首が楽になります。まず、首を右か左どちらか一方に向けます。首を向けた側と反対の手を胸に当てます。そのまま首を後ろに倒します。
(4)肩甲骨を動かすストレッチ:背中や肩甲骨周りの筋肉も、スマホ首の原因や影響を受けやすい部分です。硬くなると血流が悪くなり、首や肩の痛みや頭痛などの症状が出やすくなります。椅子に座って背筋を伸ばします。両手を前に出して手のひらを合わせます。そのまま両手を前に押し出しながら背中を丸めます。肩甲骨が離れるように感じましょう。10秒キープしたら、元の姿勢に戻します。これを3回繰り返します。
(5)背中をほぐすストレッチ:椅子に座って背筋を伸ばします。右手で左膝をつかみ、左手は椅子の背もたれに置きます。そのまま上体を右にひねります。背中が伸びるように感じましょう。10秒キープしたら、反対側も同様に行います。これを3回繰り返します。
「個人差はありますが、腰痛との関連性もあり、股関節周りのストレッチもできると良いでしょう。また、脇から外腹を伸ばすようなストレッチや、腕を上げて反体側の方へ倒していく側屈運動を、首が痛くならい範囲で行うのもおすすめです」(キュアレ整体師・塚本幸規さん)
また、「ストレッチやマッサージなどでは改善しない危険なサインもあります」と塚本さんは言います。
「『痛み』が出るのは、よくないサインです。ほどよくストレッチして気持ち良さがある場合は良いのですが、『痛み』を我慢してまで行うのは良くないので、気をつけてください。また、長時間ストレッチやマッサージを行うのも、お勧めできません。筋肉に刺激が強すぎて、かえって痛める原因になってしまいます。ストレッチやマッサージは、ほどほどにしましょう」(キュアレ整体師・塚本幸規さん)
ストレッチやマッサージは、毎日数分間行うだけで予防や改善に役立ちます。スマホ首は、放置すると慢性化してしまう可能性があるので、日頃から正しい姿勢や生活習慣に気を付けましょう。もし改善しない場合は、専門家に相談しましょう。

監修者 塚本幸規(つかもと ゆきのり)
オルソグループ 株式会社キュアレ取締役/整体師
1980年、岐阜県生まれ。20年以上にわたる整体師としての経験から様々な不調を抱えるクライアントをサポートし、ウィルビーイング向上に努めている。「ながらケア」で体を整え、健やかな生活を提案するCURE:RE(キュアレ)を手がける。