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インフルエンザの合併症に注意を…乳幼児は急性中耳炎になることも? ミルクを飲ませる“姿勢”も要注意

2023-11-16 eltha

 インフルエンザの感染者数が、この時期としては異例の増加が続いています。その影響で、休校や学級閉鎖が増えています。さらに、「インフルエンザが流行るということは、季節的に他の風邪や呼吸器系感染症、中耳炎も増えていると考えて良いでしょう」ともたい耳鼻咽喉科の院長・甕久人さんが言うように、乳幼児は急性中耳炎の合併症への注意も必要とのことです。本記事では、急性中耳炎の原因や治療方法、予防について紹介します。

生後6ヵ月から2歳頃までが特になりやすい中耳炎 インフルエンザや溶連菌感染症の流行に注意も

 急性中耳炎は、鼻やのどの感染が中耳に広がることで起こる病気です。特に、生後6ヵ月から2歳頃までの幼児期に多くみられます。鼻の奥と中耳は耳管という管で繋がっており、子どもの耳管は大人に比べて太く短く、開放ぎみになっていることが多いため鼻やのどに炎症が起こると、耳管を介して細菌やウイルスが中耳に入り、急性中耳炎を発症します。

 また、乳幼児は免疫力が未発達で、かぜをひきやすく、鼻水や咳が長引きやすいのも、中耳炎になりやすい要因です。寒い季節や寒暖差の激しい時期になると、中耳炎の発症率も高くなります。特に冬場は、乾燥や暖房によって鼻やのどの粘膜が乾きやすく、細菌やウイルスが侵入しやすくなります。また、集団生活を始めると飛沫感染、接触感染の機会も多くなりインフルエンザや溶連菌感染症などが流行しやすく、急性中耳炎の原因になります。

 急性中耳炎の主な症状は、耳の痛みや発熱、耳だれです。しかし、乳幼児では痛みを訴えられないことも多く、ぐずったり、食欲がなくなったり、睡眠が乱れたりすることがあります。夜中に赤ちゃんが急に火がついたように泣き出して寝付かない、というような時は中耳炎の急性期の痛みの場合が多いので、翌朝ケロッとしていても耳鼻科を受診させましょう。

 自然治癒することもありますが、放置すると悪化したり、再発したりするリスクが高まります。発熱、痛みの急性期の症状がとれても、耳が聞こえにくいという後遺症(滲出性中耳炎)が残ることもあるので、症状が楽になったからと言って通院をやめずに治療を続けることが重要です。

「急性中耳炎の症状はやはり痛みと熱です。熱は測れますが、痛みを表現できない年齢の乳幼児ならば、痛みは察するしかありません。夜中に急に大泣きし寝付けないことが起きたら、耳が痛いのではないかと疑ってください。しかし、その痛みは翌日には治っていることがほとんどです。その後に聞こえが悪くなる後遺症を起こすことが多いため、耳を痛がった場合は、翌日に平気そうに見えても耳鼻科受診は必要です」(甕久人さん)

おしゃぶりや受動喫煙も要因に…予防法は?「コロナ禍で学んだ感染予防方法も重要に」

 治療方法は、症状や原因によって異なりますが、一般的には解熱鎮痛剤や抗生物質などの薬が処方されます。また、鼻やのどの炎症を取り除くために、鼻水の吸引処置も重要です。鼻水が粘り、黄色くなってきている場合は副鼻腔炎をおこしていることが多く、そのような状態では中耳炎の経過も思わしくありませんので鼻の治療も同時に必要となります。重症の場合は、鼓膜を切開して膿を排出する必要がある場合もあります。

 ここでは、中耳炎になりやすい乳幼児の予防について、いくつか紹介します。

(1)まず1番の予防は風邪をひかないこと。とはいえ集団保育が日常的、低年齢化している現代では常に感染しやすい状況にあるといえます。現実的には難しいことですが、可能な範囲で、熱が出た、鼻水がひどい時は、お家でゆっくりさせるのが良いでしょう。

(2)鼻水をこまめに吸う
鼻水がたまると、鼻と耳をつなぐ耳管に細菌やウイルスが入り込みやすくなるため、鼻水を吸ってあげることも大切です。中耳炎の予防だけでなく、風邪の回復も早める効果があります。ただし粘り気のある鼻水が多くなっている場合は奥に鼻水が溜まるため家庭の器具ではうまく吸い出せなくなります。吸い出しにくい鼻水に変化したら耳鼻科へ受診するタイミングです。

(3)ミルクは赤ちゃんの頭を立てた状態で飲ませる
横になったままミルクを飲ませると、耳管に流れ込んで中耳炎を引き起こす可能性があります。ミルクを飲ませるときは、縦抱きで赤ちゃんの頭を上げて哺乳しましょう。また、口の中に残ったミルクを拭き取ってあげることも大切です。

(4)タバコの煙を避ける
タバコの煙は、赤ちゃんの鼻やのどの粘膜を刺激して、耳管の機能を低下させ、中耳炎にかかりやすくなります。タバコの煙が残らないように換気をよくしましょう。

(5)おしゃぶりは長時間使わせない
赤ちゃんの安心感やリラックス効果を高めるというメリットがありますが、長い時間使わせると、耳管の開閉がうまくいかなくなるというデメリットもあります。そのため、おしゃぶりは寝るときや泣いているときなどに限定して使わせましょう。また、清潔に保つことも重要です。

(6)免疫をつける食事をとる
免疫力が低下すると、細菌やウイルスに感染しやすくなるので、免疫を高める食事をとることが大切です。免疫を高める食品としては、ビタミンCやビタミンE、亜鉛などが含まれるものがあります。例えば、柑橘類や緑黄色野菜、ナッツや種実類、牛乳や卵などが挙げられます。また、乳酸菌やオリゴ糖などの善玉菌を増やす食品も免疫に良いとされています。

(7)環境アレルゲンを排除する
アレルギー性鼻炎などの鼻やのどの炎症がある場合は、急性中耳炎が治りにくくなります。ダニやハウスダスト、花粉、ペットの毛など、アレルギーの原因となる環境アレルゲンを排除することが重要です。

「中耳炎の予防ということならば、インフルエンザに限らず風邪をひかないことが一番です。コロナ感染で学んだ感染予防の方法を忘れなければ、インフルエンザも含め風邪もひきにくくなります。急性中耳炎は健康状態で急に発症するということはまず稀ですので、感染予防は大事です」(甕久人さん)

 子どもの中耳炎は、かぜをきっかけに起こりやすい病気で、耳管の構造や免疫力の低さ、集団生活の影響などが関係しています。乳幼児は、痛みを訴えられないことも多いので、異変を感じたらすぐに専門医に相談しましょう。
甕 久人(もたい ひさと)さん

監修者 甕 久人(もたい ひさと)さん

「もたい耳鼻咽喉科」院長。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医、日本聴覚医学会会員。名古屋市立大学医学部卒業後、大学附属病院ではがんを専門に研究、豊橋市市民病院にて臨床経験をつんだのち、地域に根ざしたクリニックの実現のため「もたい耳鼻咽喉科」を愛知県東海市に開業。

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