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「腸活=ヨーグルト」だけではない? 新たな食物繊維は「発酵性」、どんな食材に入っている? 摂り方は?【専門家が解説】

2023-11-25 eltha

 先日テレビ番組でも特集され、注目が高まっている「腸内細菌」。最近では、腸内細菌バランスを考えた、より良い腸活へシフトしていく傾向にあります。日本食物繊維学会の理事長の青江誠一郎先生よると「近年、腸活が健康増進のキーワードになっています。今まではヨーグルトが腸活の主役とされてきましたが、“発酵性食物繊維”も加わろうとしています」と言います。この“発酵性食物繊維”とはどんな食材に入っているのでしょうか。

これからの腸活は、自分の腸にもともと定着している有用菌を増やすこと

 腸内細菌は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分類されます。善玉菌は、消化吸収の補助 や免疫刺激など、健康維持や老化防止などへ影響がある菌で、ビフィズス菌や乳酸菌がそれにあたります。

 ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、代表的な善玉菌です。そのため毎日の習慣として取り入れている人も多いのでは。しかし、ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌が私たちにプラスの働きを行なうのは、おもに大腸内を通過する間だけだといいます。

 「もちろん、ヨーグルトも腸活にとって有効な食品ですが、ヨーグルトに含まれる菌は大腸に到達しても、定着せずに体外へ排出されてしまいます」(青江先生/以下同)

 約1.5mもの長さを持つ大腸には、ビフィズス菌のほかにも多数の善玉菌が生息しています。一部の善玉菌に注目するのではなく、すでに大腸内に住んでいる多様な善玉菌がバランス良く活躍できる環境を目指すことが「より良い腸活」への第一歩となります。

善玉菌の潜在能力を引き出す「発酵性食物繊維」

 腸内細菌が食物繊維を分解して、人にとって有益な物質を作り出す過程を「発酵」と呼びます。食物繊維の中でも、特に腸内細菌によって発酵されやすい食物繊維を「発酵性食物繊維」と言います。この「発酵性食物繊維」を積極的に摂ると、腸内発酵力が高まり“短鎖脂肪酸”を作り出します。

 短鎖脂肪酸は、腸内を酸性に保ち悪玉菌の増殖を抑えたり、代謝のコントロールや免疫システムの調整も助けます。 

「人間の腸内には、生まれた時に母親から受け継いだ菌など乳幼児期に定着した菌が棲んでいます。食品など大人になってから摂る菌は、ほとんど定着しないといわれています。これからの腸活は、自分の腸にもともと定着している有用菌を増やすこと。そこに大きく役立つのが、発酵性食物繊維なのです」

「発酵性食物繊維」はどんな食材に入ってる?

 一般的に「食物繊維」と聞いて思い浮かべるのは、レタスなどに代表される「緑色」の葉物野菜ではないでしょうか。しかし、発酵性食物繊維は、特に「穀物」「根菜類」などの食品群に多く含まれています。

 小麦や玄米の“ふすま”や“ぬか”部分に含まれる「アラビノキシラン」、大麦やオーツ麦に含まれる「βグルカン」、ごぼうや玉ねぎに含まれる「イヌリン」、豆類の「オリゴフルクトース」などが代表的な発酵性食物繊維になります。
 1食当たりの発酵性食物繊維含有量を比べてみると、レタス0.02gに対し、大豆は2.0g、オートミールは1.1g、ごぼうは3.8gと大きく差があります。

 「手軽に取り入れるなら小麦ブランシリアルがおすすめです。1食当たり4.4gの発酵性食物繊維が含まれており、私も朝食で取り入れています」

 日本人の穀物の摂取量は年々減少しており、それに伴い食物繊維摂取量における発酵性食物繊維の比率は昔に比べて下がっています。かつての発酵性食物繊維の比率を目指すと、1日の目標摂取量は5.5gになります。現在は3.5g程度に減っているため、毎日の食生活において、1日プラス2g以上の摂取目標がおすすめ。(※)

 サプリでの食物繊維の摂取は手軽で、便利な手段ですが、一般的には1種類の食物繊維のみになってしまい、特定種類の善玉菌のみをケアすることになってしまいます。多種多様な善玉菌を活性化するには、様々な発酵性食物繊維を日常食品の中から取るように心がけましょう。

※池上幸江:日本食物繊維研究会誌,1:3-12(1997)、令和元年国民健康・栄養調査、日本人の食事摂取基準(2020年版)
青江誠一郎先生

監修者 青江誠一郎先生

(あおえ・せいいちろう)
大妻女子大学・家政学部食物学科・教授/農学博士日本食物繊維学会 理事長/編集委員
千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了。一般社団法人日本食物繊維学会副理事長。雪印乳業株式会社技術研究所を経て平成15年度より大妻女子大学家政学部助教授に就任。平成19年度より現職。穀類含有の食物繊維と肥満の改善効果に関する論文にて、令和4年度日本栄養・食糧学会賞受賞。

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