「しもやけ」は増加傾向? “異常気象”と「しもやけ」発生メカニズムの関係とは?
2024-01-23 eltha
「1日の気温差が10℃以上ある日」が年々増加「近年しもやけリスクが高まっている」
A しもやけは、最低気温5℃以下、かつ1日の気温差が10℃以上あるような、「冷え」と「温度差」を感じやすい時期に起こりやすくなります。皮膚で寒さ・暑さを感じると、自律神経によって体温を一定に保つように命令が送られ、血管は収縮・拡大します。通常、動脈と静脈ともに、暖かいときはどちらも血管が広がって血流が促進。逆に寒いときは血管が細くなります。ところが急に温まると動脈はすぐに太さが戻るのに対して、静脈はゆっくりと戻ります。このときに手足の血行不良が起き、炎症が起こることで「しもやけ」になります。
「しもやけの症状は、かゆみ・痛み・腫れを伴い、重症化すると日常生活に支障をきたす場合もあります。しもやけは身近な病気ですが、それがしもやけだと気が付いていない患者さんも多くいらっしゃいます」(野村氏)
A 過去10 年の気象庁のデータをもとに分析をしてみると、しもやけが起こりやすい11 月〜3月で、「1日のうちの気温差が10℃以上ある日」が、年々増加傾向になっています。2012年11月〜13年3月(27日)と、2021年11月〜22年3月(60日)を比較すると、日数は倍以上(表参照)。11月頃から冷えを感じ、1日の寒暖差が大きくなるとともに、しもやけのリスクが高まります。1月〜3月は、最低気温もさらに低くなるため注意が必要です。
Q 気温以外にも「しもやけ」になる原因はあるのですか?
A 「寒暖差のある日が増加していることに加えて、昨今の手洗い習慣によって手が冷えることも、しもやけの原因として考えられます。手を洗うことで皮膚温は低下しますが、手洗い後に手を拭かないと気化熱の原理でさらに皮膚温が低下するため、しもやけになりやすくなります」(野村氏)。
流水による手洗い後の皮膚温の変化を、手を拭いた場合とそうでない場合とに分けて、サーモグラフィで測定する実験を行ってみると、手を拭かなかった場合の皮膚温は、手を拭いた時に比べて皮膚温が低下することがわかりました(ユースキン製薬が行った実験)。
「しもやけ」には、ビタミンE配合のクリームでケア+日頃から体を温める習慣を
A 1つは、ビタミンE配合のクリームでのケア。野村氏監修のもとで手荒れがひどく、手指に赤みや腫れなどの症状がある20 代〜50 代の男女21名を対象に、モニター試験を実施。毎晩寝る前に、ビタミンE 配合のクリームを指定のマッサージ方法で塗布し、7 日間継続することで、皮膚温や手荒れの改善状況に変化があるか確認しました。すると、7日後には手の荒れや腫れなどの症状の改善が見られ、入室時の皮膚温が上昇していることがわかりました。
「7日間のハンドケアで手の赤みや腫れに改善がみられました。小さなお子さまでも手が冷えている方もいるので、年齢問わずケアしていくことが重要です」(野村氏)
Q スキンケア以外の方法はありますか?
A 「しもやけを予防するためにはスキンケアだけではなく、日頃から体をあたためる生活習慣が重要です」(野村氏)
しもやけの予防のためには以下の方法が推奨されています。
・ビタミンE 配合のハンドクリームで日頃からケアすること(スキンケア)
・手や足・首などを冷やさないこと(防寒)
・湯舟に入り血行を良くすること(血行促進)
・水分が残らないように吸水性のあるタオルで拭くこと(濡れたままにしない)
日頃から体をあたためる生活習慣を心掛けることが大切です。また、自分がしもやけになりやすいかチェックをすることで、早めにケアをして寒い時期に備えることも大切です。
「しもやけは年々増えているように感じます。夏は暑い、冬は寒いという環境の中で、日頃からケアをすることは、ひび、あかぎれといった手荒れや、しもやけに対しても非常に大切なことです」(野村氏)
監修:ユースキン製薬/野村皮膚科医院院長・野村有子氏
監修者 野村有子
野村皮膚科医院院長・医学博士、日本皮膚科学会認定専門医。1986年、慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部皮膚科教室に入局。同大学助手、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科勤務を経て、98年、横浜市に野村皮膚科医院を開業。「一人ひとりの患者を大切にし、最高の医療を提供する」という医療理念のもとに、あらゆる皮膚疾患についてていねいに説明をし、治療からスキンケアにいたるまできめ細かな指導を行っている。