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7℃以上の気温差があると症状が出てくる「寒暖差アレルギー」風邪や花粉症との違いは?【医師に聞いてみた】

2023-12-21 eltha

 12月に入っても、薄着上着も大丈夫な温かさや冬到来のような寒さが交互にきて、安定しない今日この頃。それによって最近、花粉症でも風邪でもない「寒暖差アレルギー」の症状が流行っています。症状が起こる原因や、風邪や花粉症との違い、予防策について札幌のアルバアレルギークリニック・続木康伸先生にお話をお伺いしました。

一般的には気温の変化で起こる“寒暖差アレルギー”「飲酒やストレスも発症の引き金になることも」

――寒暖差アレルギーとは具体的に何を指すのでしょうか?

「寒暖差アレルギー」という診断は、一部の経験豊富な一般医の先生方がわかりやすく説明するために使われることがありますが、医学的にはこのような病態はありません。

 患者さんが経験している症状は、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹などの既知の病態が寒暖差によって悪化している状態を指していることが多いです。

――最も一般的な症状は何ですか?

 寒暖差アレルギーは、気温の急激な変化によって引き起こされる症状群を指します。

呼吸器系の症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまり

 これらは、気温の変化によって鼻の粘膜が反応し、過敏になるために起こります。

 一般的に、7℃以上の気温差がある場合にこれらの症状が顕著になるとされています。医学的には「血管運動性鼻炎」とも呼ばれ、温度差による刺激が鼻の粘膜の血管を広げ、粘膜が腫れることでこれらの症状が引き起こされると考えられています。

 寒暖差アレルギーの症状は個人差があり、特に気温の変化が激しい季節の変わり目に多く見られます。

――寒暖差アレルギーの原因は何ですか?

 寒暖差アレルギーは、急激な温度差によって自律神経が乱れることが主な原因とされ、特に交感神経と副交感神経のバランスが崩れることによって発症すると考えられています。この状態では、鼻の粘膜の働きが不安定になり、鼻水や鼻づまりなどの症状が引き起こされます。また、飲酒やストレスも発症の引き金になることがありますが、症状の完全な原因はまだはっきりと特定されていません。気温の差が鼻粘膜の血管を広げ、内部の腫れを引き起こすことによってこれらの症状が生じるとされ、湿度の影響も受けやすく、特に空気が乾燥すると症状が悪化する傾向があります。

――風邪や花粉症との違いは何でしょうか? 寒暖差アレルギーを判断するチェック方法などがあれば併せて教えてください。

風邪や花粉症との違いは、症状が似ているため混同されがちですが、原因と病態が異なります。ウイルス感染や特定の植物の花粉に対するアレルギー反応が原因ですので、発熱や周囲の人も同じ状況になるため本人がわかります。状況から区別することになります。

――寒暖差アレルギーを起こしやすい時期はありますか。

 寒暖差アレルギーは、気温の急激な変化に体が反応することで起こる症状です。

つまり、
春と秋の季節の変わり目:これらの季節は、日中と朝晩の温度差が大きくなることが多いです。春には冬からの暖かさへの移行、秋には夏の暑さから冷え込む季節への移行があります。このような時期には、日によって気温が大きく変動し、体が対応しにくくなることがあります。

エアコンの使用が多い時期:夏や冬のように室内と屋外の温度差が大きい時期も寒暖差アレルギーが起こりやすくなります。特にエアコンを使用している室内と屋外の気温差が激しい場合、体が適応しにくくなるため、症状が現れやすくなります。

 寒暖差アレルギーの症状は、これらの気温変化によって引き起こされるため、気温の変動が大きい時期に特に注意が必要です。

予防策には自律神経を整えることが大事

――寒暖差アレルギーになった場合の治療方法はどのようなものでしょうか。

 寒暖差アレルギーの治療には、症状を和らげるための対症療法が中心となります。治療の主な目的は、不快な症状を抑制し、患者さんの日常生活の質を向上させることです。具体的な治療方法には以下のものが含まれます:

抗ヒスタミン薬:
自律神経の働きを整え、アレルギー症状を和らげるために使用されます。
鼻水やくしゃみなどの症状を軽減する効果があります。

ステロイドの点鼻薬:
鼻の炎症を抑えるために処方されることが多いです。鼻づまりや鼻粘膜の腫れを減少させ、呼吸を楽にします。治療は、症状に応じて薬の種類や量を調整しながら進められます。患者さんがしばらくの間薬を使用して症状が改善すれば、治療は一旦終了することになりますが、症状が再発することもあるため、定期的なフォローアップが必要です。

――すでに寒暖差アレルギーを持つ人は普段どんな生活習慣を心がけるべきでしょうか。

体感気温差を小さくする:
低い気温の際は、マスクやマフラーを使い、衣服をしっかり着込んで、気温が高い場所との温度差を減らすことが重要です。

食生活の見直し:
身体を温める効果のある食材(例:しょうが、ニンニク)を積極的に取り入れることが効果的な場合もあります。規則正しい食生活を心がけることが重要です。

自律神経のバランスを整える:
日中活動的な交感神経と夜休息を促す副交感神経のバランスを保つことが大切です。ストレスの多い生活や不規則な睡眠は自律神経のバランスを崩すので、リラックス方法を見つけ、規則正しい生活を送ることが効果的です。

 熱すぎず冷たすぎないお風呂にゆっくり入ることも、自律神経を整えるのに役立ちます。
 これらの予防策を実践することで、寒暖差アレルギーのリスクを減らし、快適に過ごすことができます。
医療法人社団蓮桜会理事長/アルバアレルギークリニック院長・続木 康伸

監修者 医療法人社団蓮桜会理事長/アルバアレルギークリニック院長・続木 康伸

教養バラエティ番組『カズレーザーと学ぶ。』(日本テレビ系)出演、『保湿を変えれば、アトピーは治せる』(学研)著者。
http://alba-allergy-clinic.com/

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