自分にあう痩せ方を見つける『マイダイエットメソッド』を主宰しています、管理栄養士で、おうちごはん研究家の金丸利恵です。
ダイエットカウンセリングで、食事の脂質量を減らすご提案をすると
「子どもが好きな献立を作りがちで」「揚げ物や油っこい味を喜ぶので」「魚だとあっさりしすぎてて食べたがらない」などの意見を多く聞きます。特に
スポーツをやってる中高生の男子のお子さんがいるご家庭に多く「それはそうなるよね」と思わず共感してしまいます。なぜなら、
成長期や活動量が多い男性は、カロリーの高い食事を求めるのは当然のことだからです。
とは言え、ダイエットのために、自分用に家族とは違う食事を作るのは手間がかかって長続きしませんよね。今回はそんな食欲旺盛な家族との食事をどうしたら良いのか、食べ方や料理法についてお伝えします。
■40代女性と17歳男子の1日あたりの推定エネルギー必要量(kcal/ 日)の差
a)17歳 男子 身体活動(高い)
推定エネルギー必要量/(日)3,150kcal
たんぱく質推奨量/(日)65g
脂質(%エネルギー)20〜30% ※g換算すると70g〜105g
b)30〜49歳女性 身体活動(普通)
推定エネルギー必要量/(日)1,750kcal
たんぱく質推奨量/(日)50g
脂質(%エネルギー)20〜30% ※g換算すると38.9g〜58.3g
c)ダイエット中の目標摂取量
推定エネルギー必要量/(日)1,500kcal
たんぱく質推奨量/(日)50g
脂質(%エネルギー)20〜30% ※g換算すると33.3g〜50g
「日本人の食事摂取基準」(厚労省)から、a)17歳男子、身体活動(高い)、b)30〜49歳女性、身体活動(普通)を抜粋しました。身体活動レベルは「低い」「ふつう」「高い」があり、
高校生の部活のようなハードな運動をしている場合「高い」に当てはまります。また、座り仕事中心で、一部は立ち仕事や家事、また軽いスポーツをするなど、いずれかを含む生活は「ふつう」となります。
望ましい摂取量は体重、性別、活動量を含め、個人によって異なり、また個人内においても変動するので、あくまで目安となります。
c)は
減量を目標したときの目標摂取量です。カウンセリングでは、基礎代謝量や活動量、痩せたい体重などを加味して、目標摂取量を決めていきますが、
大体1500kcal前後になることが多いです。a)の17歳男子と、c)のダイエット中の女性を比較した場合、摂取エネルギーも脂質量も、倍の差があるのです。
お子さんと同じものを食べていたらカロリーオーバーになるのは、わかりますよね。
ざっくり考えると、お子さんの半分量を食べるとちょうど良い、となりますが、お子さんにより、少食で必要量が食べられない、1日のカロリー摂取量における嗜好品の割合が高い場合は、これに当てはまりません。またダイエット中でもたんぱく質はしっかり摂取したいので、イメージ的には、
肉の脂身や揚げ物など、脂質の多いおかずは控え、おかずの量はお子さんの2/3量、ごはんなどの主食は1/2量と考えると、献立を構成しやすいでしょうか。
■油はカロリー摂取に効率が良いが、消費できないと…とは言え、
育ち盛りだと、肉や揚げ物、チーズ類など
油脂が多いものを好みがちですよね。体内で代謝されるとき、1gについて炭水化物なら4kcal、脂肪なら 9kcal、タンパク質ならば 4kcalのエネルギーを生じます。同じ量でも脂質は、エネルギーを多く生み出すことができるのです。
一度に食べられる量というのは、だいたい決まってますので、油脂が多い方が、エネルギーを多く必要する人にとっては効率が良いわけです。
またラーメンや甘いパンなど、
糖質主体の料理を好むことも多いでしょう。使用食材を見てみると、小麦粉にスープの脂質や、砂糖にバターなど、糖質と油脂がセットになっています。ダイエットに詳しい方ならピンとくると思いますが、
糖質×脂質は体脂肪が合成されやすい組み合わせ。子どもが食べてるからと一緒に食べていると、お腹周りに脂肪がついてきた、ということにもなりかねません。
活動量も代謝も盛んな若い時期、食べても食べてもスリムな高校生をみると、羨ましくもなりますが、
年齢によって体にとってちょうど良い食べ方というのは変わってくるものです。今のあなたが心地よく過ごせる食事量を探っていきましょう。
■家族と一緒の献立をダイエットごはんにするには家族の欲求も満たしつつ、ご自身のダイエットを成功させるには、どのようなことに気をつければよいでしょうか。
食事のポイントをお伝えします。
・ご飯、味噌汁を主体の献立にする
ご飯は盛る量を調整できるので、カロリーコントロールしやすいです。ピンポン玉3個分くらい減らすと78kcalカットできます。おかずは
お子さんの1/2〜2/3量を目安にしてみると良いでしょう。ご飯を食べずにおかずだけ、という方もいますが、長期にわたると血糖値調整が乱れ、太りやすい体になるため、主食は活動量に合わせて食べましょう。
・お一人ランチに注意
1人の昼ご飯はキッチンに立ちたくない…。と、
レトルトや冷凍食品で済ますことが多い方は要注意。パスタやラーメン、カレー、唐揚げなどは油脂が多く含まれています。1人の時は油脂を減らした蒸し物や大豆製品、海藻類など、やや質素な感じのお食事で、ちょうどバランスとれるのです。また1人だからと、
お菓子で済ますのもNG。お菓子全般的に、糖質や脂質を代謝するのに必要なビタミン、ミネラルが少ししか含まれていないことが多いです。豆腐や野菜、海藻類を食べるよう意識しましょう。
・麺類、ピザなどのリクエストはお昼にしてもらう
お子さんからは、
麺類が食べたい、とかピザにしようといったリクエストもあるでしょう。こういったお食事は
休日のランチに持ってくるといいですよ。活動量や代謝が活発な日中に食べ、夕食を軽めにすることがポイントです。また、麺類は肉や野菜など、具材に主菜や副菜になる食材を入れる、ピザやハンバーガーは、おうちで食べるなら、野菜スープなど1品つける、などでとバランスが良くなります。
・油脂の多い主菜は半分にし、豆腐などでタンパク質を補う。
唐揚げ
1人5個の献立の場合、自分は2個で、お豆腐半丁をプラスする、などで脂質を抑えつつ必要なタンパク質量を確保することができます。ここで気をつけたいのは、
タンパク質は必要な量はとること。長期的に減らす習慣がついてしまうと、体内の代謝効率が低下し、痩せにくくなります。減らすのはあくまで脂肪です。肉や魚は、1食で手の平くらい、80〜100gの摂取を心がけましょう。
・低脂質な主菜もたまに取り入れ、子どもにはご飯量で調整してもらう
17歳で活動量多めの男子は1日3,150kcalが目安ですが、
脂質は総摂取カロリー25〜30%が適正です。豚バラ200gを使った場合、そのうち脂質は70.8gと、1日の脂質の摂取量の大幅を占めます。他の食事で、トンカツなど衣のついた揚げ物を食べていたとしたら、1日の脂質摂取量は過剰になりることがわかります。
最近は
おかずが多く、ご飯は少なめの食生活で、結果的に脂質がオーバーしている傾向があります。本来1日の摂食エネルギーの半分は、炭水化物でとるのが理想です。ご飯だけで考えると、1日1500Kcal分ですから、高校生男子ならご飯1回300g、お茶碗軽く2杯分くらい食べれると良いですね。ご飯は脂質も塩分も含まない、素晴らしい炭水化物の摂取源です。主菜は油分少なめの魚や豆腐料理にして、ご飯を食べるのが楽しくなるよう、ご家族用にご飯のお供的な、生卵、のり、しらす、鮭フレーク、キムチなどを用意してはいかがでしょうか。
・豚ヒレ・ささみ・いか・海老・白身魚など高タンパクで低脂質の食材を
脂質の低いメイン食材でも、家族が好む味付けで料理することで、すんなり受け入れられます。今回は食べ応え充分、油脂が控えめのヘルシー酢豚をお伝えしますね。
ポイントは脂質の少ないヒレ肉を使うこと。もも肉や、鶏のささみで代用することもできます。また野菜は
食べ応えのあるレンコンをプラス。先に湯通しして、火を通すことで、炒め油の使用量を減らします。香りづけのごま油は仕上げにかけず、炒め油と兼用します。これでも油の摂取量を減らすことができます。ご飯が進むよう、ニンニク、生姜を効かせたパンチある味付けです。食べ応えもバッチリ。ぜひお試しください。
■「豚ヒレ肉のヘルシー酢豚」の作り方【材料】2人分 調理時間30分 レシピ制作:金丸利恵
豚ヒレ肉のヘルシー酢豚【材料】(2人分)豚ヒレ肉 200g
しょうゆ 小さじ 1
酒 小さじ 1
片栗粉 大さじ 1
ゴマ油 小さじ 2
ニンジン 1/3本
レンコン 5cm
玉ネギ 1/2個
シイタケ 2枚
ピーマン 1個
しょうゆ 小さじ 2
オイスターソース 小さじ 2
鶏ガラスープの素 小さじ 1
砂糖 小さじ 2
酢 小さじ 2
ショウガ(すりおろし) 小さじ 1
ニンニク(すりおろし) 小さじ 1
水 100ml
片栗粉 小さじ 1
水 大さじ 1
【下準備】
1、豚ヒレ肉のヘルシー酢豚
蓮根は皮を剥き5oくらいの輪切り、大きければ
半月切りにする。
玉ねぎは乱切りにする。
椎茸は石突を切り落とし4等分にきる
<b>と<c>をそれぞれ混ぜ合わせておく。
【作り方】
1、鍋に水を入れ、にんじんとれんこんを入れて中火にかける。沸騰したら玉ねぎ、椎茸を加え、さっとゆでたらザルにあけ、水気を切る。
2、豚ヒレはひとくちだいに削ぎ切りにし、<a>で下味をつけ、片栗粉をまぶす。
3、鍋にごま油を熱し、豚ヒレを入れて、両面を焼く。焼けたら皿に取り出す。
4、Bのフライパンに@とピーマンを入れて、炒め合わせる。<b>を加え、1分程度煮る。
5、豚ヒレをフライパンに戻して、炒め合わせる。<c>の水溶き片栗粉でトロミをつける。
栄養成分(1人分)
エネルギー 264kcal
タンパク質 26.8g
脂質 6.1g
炭水化物 27.4g
食塩相当量 2.9g
?参考文献 日本人の食事摂取基準
?食品成分データベース
(金丸 利恵)