クレープのトレンドは“三角”から“四角”型へ? 「食べ歩き」から「おうちスイーツ」に変化した背景
2022-06-20 11:00 eltha
■原宿トレンドに陰り、コロナ禍を経て「食べ歩き」激減から「コンビニスイーツ」急伸へ
原宿を発端とした食べ歩きの定番スイーツとして、若い女性を中心に人気を博したクレープ。今では韓国や台湾などでも日本式のクレープショップが数多く見られる。たちまち全国に広まったワゴン型店舗で提供されるクレープは、気軽に小腹を満たすアイテムとして、2000年代頃からコンビニスイーツとしても更なる人気層広げた。
現在は“四角型”が主流のコンビニクレープだが、ファミリーマートの担当者によると、当初はコンビニでも“三角型”のクレープが並んでいたという。
「当時はファミリーマートでも三角型のクレープが主流で、四角型や長細いクレープが不定期で少しだけ店頭に並んでいる状態でした。やがて時代とともに利便性や携帯性が望まれる風潮のなかで、2017年より食べやすく、お持ち帰りしやすい“正方形”のクレープを年間通して販売するようになりました」(ファミリーマート担当者)
クレープ、パンケーキ、かき氷、わたあめ等、数々のトレンドを発信してきた“原宿スイーツ”。しかし、若者の嗜好の多様化などにより、“原宿ファッション”の勢いに陰りが見え始め、それとともに“原宿スイーツ”の発信力も低下。さらにコロナ禍により、「食べ歩き」の需要は激減すると、近場で気軽に買える「コンビニスイーツ」の売上が高まった。
ローソンでは、ゴディバとの共同開発したご褒美スイーツシリーズ「Uchi cafe×GODIVA」を5年前に発売。2020年には前年比7割増の販売数を記録し、今年5月時点で累計4600万個の販売数を突破。今月14日には、新たに『ショコラヴァニーユロール』と『エクレールショコラ』を発売した。
セブン‐イレブンも同日、チルドスイーツのリニューアル商品を発売。シュークリームなどの定番スイーツを専門店品質にこだわった味わいにリニューアルした。新たに発売した『イタリア栗のモンブラン』には同社スイーツ専用に配合した薄力粉を使用し、『シュー・パティシエール』でもスイーツ専用の卵を使用することで、コクと風味がしっかり感じられる濃厚な味わいに仕上がっているという。
■“四角型クレープ”専門店も登場、一方コンビニも品質向上により「長方形」型を開発
そんな中、ファミリーマートは“四角型”クレープの新作『ファミマ・ザ・クレープ』を明日21日に発売する。3日で100万個売れた『ファミマ・ザ・メロンパン』や『ファミマ・ザ・カレーパン』、『ファミマ・ザ・クリームパン』など、「定番商品だからこそ長く愛されるものを」というコンセプトのもとで開発された自信作につけられた冠で、スイーツとしてはクレープが初の『ファミマ・ザ』商品となる。
その場で焼いたクレープをすぐに食べられる専門店に対して、食べやすさを重視。従来の正方形型から、長方形のスティック型を採用し、ワンハンドでもストレスなく食べられる工夫がなされている。また形だけではなく、生地にもとことんこだわっている。
「専門店のクレープに対して、工場出荷から店頭に並ぶまでタイムラグのあるコンビニのクレープは生地の品質や食感に課題の多い商品でした。そうしたなか、2010年頃よりパンやパスタなどで“もちもち”という食感が人気になりました。このトレンドは、いまなお継続しています。生地のもちもち感をクレープにおいて追求した頃から、コンビニのクレープは本場とも日本独自のクレープとも全く違うスイーツとして進化したと考えています」(ファミリーマート担当者)
通常のフード開発の倍以上をかけ、この“もちもち食感”にこだわったという。クレープ粉に水を抱き込みやすい小麦粉を使用し、もち大麦粉やタピオカでんぷんも配合することで、心地よい弾力感を実現した。幾度も試作・改良、モニタリングを重ね、硬さ・しなやかさの計測も行い、絶妙な“もちもち”にたどり着いたとのこと。
日本独自の「食べ歩きスイーツ」として進化してきたクレープ。日本発祥の世界的スイーツは数少ないが、コンビニスイーツの専門店にまで迫る品質向上を受け、さらなる独自の進化を遂げていくことを期待したい。