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“とろ〜りチーズ”まで再現したピザも…超絶「3D刺繍」に海外も反応、根底に刺繍愛

2019-05-23 eltha

“とろ〜りチーズ”まで再現したピザも…超絶「3D刺繍」に海外も反応、根底に刺繍愛
 500色に及ぶ多彩な糸と独自の撮影スタイルで、本物そっくりの“リアル刺繍”を造り出す女性クリエイターがいる。刺繍画家・ipnot(イプノット)さんだ。国内では2017年頃から話題となり、今年3月にはイギリスの刺繍マガジンでも紹介されるなど、今、世界的にも注目を集めている。刺繍歴8年、「刺繍をすればするほど、自分のことがわかる。刺繍はライフワーク」と話す彼女に、制作のこだわりと今後の展望を聞いた。

刺繍画家ipnot(イプノット)さんの名品ギャラリー

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フレンチノットしか縫いたくないというワガママに辿り着いた

――“ipnot作品”は糸の多色使いと“フレンチノット”と呼ばれる粒状の縫い方が特徴ですが、それにしてもリアルです!

【ipnot】 ありがとうございます。2011年頃から制作を始めて、フリーステッチで刺繍をしていた時は陰影を入れず、使用する糸も2〜3色ほどでした。それが現在のスタイル(フレンチノットのみを用いた点描画のようなスタイル)になってから、絵を描くような感覚に変わりだんだんと陰影やグラデーションをつけるようになっていきました。

――なぜ数ある縫い方の中から“フレンチノット”を選ばれたんですか?

【ipnot】 刺繍を始めてから“針に糸を巻きつけてから布に刺す”という、このワンクッション挟んで布に刺す動作が癖になってもっと縫いたいと思うようになり、最後には「フレンチノットしか縫いたくない」というワガママに辿り着きました。

――そうだったんですね(笑)

【ipnot】 あの丸い小さな糸の粒が可愛くて…。一粒でも存在感があるし、よせ集めて重ねていくたびに表情が変わっていく過程もまた魅力的です。上から色を重ねることで良い味が出たり。とても自由度の高いステッチだな、と感じています。
――ピザやコーヒーなど、刺繍枠から飛び出した作品も斬新です。

【ipnot】 3D刺繍の始まりは2017年に投稿した“ラーメン刺繍”なんですが、これは、撮影中に急に思いついたものなんです。撮影中に糸を見ていたら、それがなんだか麺に見えてきて。お腹空いていたのかも(笑)。ほんの遊び心で麺を引き出す写真を撮ってSNSにあげたら反響があって、そこからはもう意図的に私も楽しみながら“3D刺繍”を撮影しています。

――3D作品の中でも“ポットから注がれるコーヒー”“海苔巻き”は、正直、どこまでが刺繍なのかまったくわかりませんでした。

【ipnot】 海苔やポットは紙で作っています。活動初期には“刺繍で縫ったクマの手元にミニチュアで作ったフラペチーノを持たせる”といったような、ミニチュアと刺繍を組み合わせた作品をよく作っていました。作品を撮影するときには、糸だけしか使わないという縛りは特になく、自由に組み合わせています。

人気のあった作品は日本ではぜんざい。海外では圧倒的にピザ

――刺繍歴8年とうかがいましたが、制作を始めたきっかけを教えてください。

【ipnot】 刺繍は小さい頃に祖母のそばで見ていました。祖母が縫っていた刺繍はとても丁寧で美しかったんです。当時から刺繍への憧れはありましたが、どこか手の届かない感覚もありました。そんな時に、書店でたまたま手にとった本に載っていた刺繍に衝撃を受けて。祖母の姿や憧れを思い出し、その足で手芸店へ。その日からすっかり夢中になってしまい、今日までずっと刺繍しています。

――はじめて刺繍したのはどんなモチーフでしたか?

【ipnot】 シロクマです。刺繍の知識は無かったのですがザクザクと好きに縫ってみたら楽しくてすっかりハマってしまいました。

――“好きに縫ってみた”という自由さが素敵ですね(笑)。キャリアを重ねて、これまでで最も反響のあった作品は?

【ipnot】 日本ではぜんざい。海外では圧倒的にピザでした。食文化の違いを感じましたね(笑)。個人的には、お煎餅、パン、寿司など食べ物を題材にした作品は全て気に入っています。“フレンチノット×フード”は幸せの組み合わせです!
――そんな幸福感たっぷりの作品は、どんな工程で制作されているんですか?

【ipnot】 まずは題材を決めます。写真を撮ったりスケッチしたりで見本を作成。布に下絵を描いたら、
パレットの中から絵の具を選ぶように糸を選んでいきます。糸は500色あって、選びやすいようにパレットに並べて入れているんです。

――500色!

【ipnot】 はい(笑)。あとは塗り絵のような感覚で糸の粒を敷き詰めて行きます。フレンチノットは1本取りの1回巻き。下絵の面をすべて埋めて下地を作り、ここからグラデーションをつけて陰影を出していき仕上げます。

――グラデーションは後からつけるんですね。刺繍のどんな部分に魅力を感じていますか?

【ipnot】 刺繍と私は相性がぴったりなんです。刺繍をすればするほど自分でも知らなかった新しい私に出会えて、自分を知ることができる。刺繍は私のライフワークです。ただ“縫うことが好き”というよりは、これまで私が夢中になったり惹かれたりしてきたものを表現できるものが刺繍なので、アイディアが浮かびやすく、ペンでは描けなくても針だと描けるんです。刺繍に出会えてよかったです。

――今後の活動予定、展望を教えてください。

【ipnot】 もっと糸を使って何か楽しいことはできないかを考えています。コマ撮りの映像製作も好きなので“糸×ストップモーション”の映像もたくさん考えています。個人プロジェクトの“5O1embroidery(500円玉サイズのフレンチノット作品を501個制作する試み)”も残り201個あるので目の前の刺繍を一つ一つクリアしていきますが、現在、私にとって夢のような企画が進行中なのでそちらの発表を早く皆さんにもできるように頑張ります!

INFORMATION
◆Instagram @ipnot 
◆HP http://www.ipnot.info/

PROFILE
ipnot(イプノット) 2011年よりipnotとして活動開始。独学で学ぶうちに針に糸を巻き付ける縫い方のフレンチノット(French Knot)に魅せられ現在の作風へと繋がる。約500色ある刺繍糸から500色ある刺繍糸から自由に糸を選び画くように様々な刺繍の世界を表現している。

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