秋山あい最初は友達へのインタビューからはじめたんですけど、初めて“知らない方”にインタビューをしたときのことですね。法律関係の仕事をしているフランス人の女性でした。彼女は自分のお母さんに「下着は身に着けるもののなかで一番素肌に近いものだから、いつも素敵なものを身に着けていなさいね」と言われて育ってきた方。さすがフランス人だなと思いましたね。取材場所はパリの場末のカフェだったんですけど、奥のテーブルでパンティを撮影していたら、カフェのお兄さんたちが無駄に行き来するみたいな(笑)。「ちょっとあっちに行ってて!」って言ったり。それを思い出しますね。
――女性が下着を選ぶときの考え方も、色々ありますよね。
秋山あい年齢を重ねるごとに、自分のことがだんだん分かってくるので、よりこだわりも強くなるのかもしれないですね。下着だけじゃなく、衣食住すべてにおいてその傾向があると思います。下着にもその人の生き方が反映されていくなというのは感じます。男性のなかには、「えっ、そんなこと考えているの?」と思われる方も多いと思う。
――例えばどんなことですか?
秋山あい一概には言えないですけど、「今日はこの予定があって、明日は誰々に会う。だからこの下着にしよう」とか。「その予定に合わせてこういう服を着たいから、それに合うランジェリーにしよう」とか。そういうことを瞬時に考えて、選んでいる。予定を本当に楽しみにして、どういう一日にしたいかを考えて慎重に選ばれる方もいます。一方で、引き出しの前の方にあるものから身に着けて、自分のお気に入りのものに当たれば「今日はラッキー!」と思うことにしている人とか。“女性性”に抵抗があって、あえて下着にこだわらない方もいる。でも落ち込んだ時や自分を変えたいと思った時、モチベーションを変えるきっかけにしている方が多いということには気づきましたね。
――現在は100人の方に取材されている。今後はこの“パンティオロジー”をどうしていきたい?
秋山あい最初は100人やったら、何か見えてくると思ったんですけどね…取材すればするほど、知りたいことが増えてきて(笑)。パンティを掘り下げて色々聞いていくと、人々の生き方とか、もっとグローバルな大きいものにつながっていくのはおもしろい。そこを膨らませていきたいです。ハードルが高く時間もかかるだろうけど、中東の女性やアフリカの女性たちはどういうものを身に着けているのか、どういうことを考えているのか取材してみたい。英語版を発信して、海外の方たちにも興味をもってもらえるよう動いていきたいです。