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「家のお金返して!」盗む、殴る…年下彼氏がモラハラDV男に豹変「相手につらさをわからせたい」彼女の執念

 同棲中の彼氏から殴られ、鼻の骨を折る重傷を負ったのち、相手を裁判で訴えた経験を持つ漫画家の二星星(にぼしぼし)さん。2019年に出版されたコミックエッセイ『ダメ彼を訴えます!! 〜殴られたので裁判しました〜』では、問題の暴力シーンから実際の法廷での様子までがリアルに綴られている。事件が起きてから裁判を終えるまで、その期間は約1000日に及ぶ。“法律の素人”である彼女が、訴えを起こした理由は、同じ被害を受けている女性のために「発信しなければいけない」という使命感だったという。

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残るのは悔しさだけ、学生時代の先輩からの助言「それで満足できる?」

──彼氏からの暴力により、鼻血がポタポタと流れ落ちる衝撃のシーンから漫画がスタートします。どのような状況だったのですか?

二星星さん同棲して1ヵ月後くらいから、徐々に彼の態度が変わっていったんです。家にあまり帰ってこなくなり、帰ってきたと思えば、家のお金がなくなるというのを繰り返して。私が彼との引っ越しでお金を出したため、改めて家を出て引っ越すことはできない状況でした。暴力は一度きりでしたが、男性が本気で殴ったので体が吹っ飛んだんです。

──それはひどい状況です。モラハラから始まりDV被害、彼を訴えようと思ったきっかけは?

二星星さん病院から帰ってきた次の日に、学生時代の先輩に電話をして、今後どうしたらいいか相談しました。その時に、被害届を出しても彼に刑罰がくだるだけで、私に何も利益はないことを聞いたんです。ケガをして仕事にも行けない、お金がないのに引っ越しもしなきゃいけない。私にはマイナスしかなくて悔しいじゃないですか。彼女から、「それで満足できる? その悔しさがあるんだったら、裁判という形をとってもいいんじゃない?」と提案されたんです。

──先輩のアドバイスが大きかったと。

二星星さんあとは、事件のあといろいろ勉強をして、私のようにDV被害を受け、大変な生活を強いられている女性がたくさんいることを知ったんですね。そこで、実際に行動を起こして、それを世の中に発信する必要があるんじゃないかと思い、裁判をすることにしました。

裁判の“目的”とは? 「自分でも戦えるんだ」得られた自信と勇気

──裁判中、とくに苦労したところは?

二星星さんこの経験を何らかの形で発信するという最終目的があったので、あまり苦労を感じませんでした。それよりは、知識を自分の中に入れ込める新鮮さの方が大きかったです。ただ、知らないことを始めるという大変さはありました。例えば、法テラスはどういうところか、この書類は何のために作るのかなど。あと、そもそも弁護士さんの言っていることがわからないことも多かったです。

──普段の生活で、弁護士さんとやり取りする機会もなかなかないですよね。

二星星さんなかには、冷たく事務的に対応する弁護士さんもいるそうですが、私の担当をしてくださった方はすごく親切で、わからないことを手取り足取り教えてくださいました。私は運が良かったなと思います。やはり人間関係なので、裁判では、弁護士さんとのやり取りが一番大変なんじゃないでしょうか。

──DV被害に遭われた方が裁判を起こすことで、どのようなメリットがあると思いますか?

二星星さん裁判を起こす時は、どういう結果にしたいかを必ず決めるんですね。例えば、お金がほしいのか、裁判所から“あなたの勝ちという判断がほしいのか、もしくは相手にどれだけ打撃を与えるか。その目的次第で今後の裁判が変わっていくと、最初に弁護士さんに言われました。中には思わぬ結果になる方もいらっしゃいますが、その目的が達成できるというのが大きなメリットだと思います。あとは、自分でもこんなことができるんだという自信が付くこと、自分でも戦えるんだという勇気が得られることですね。

──二星星さんの場合は、何を目的にしていましたか?

二星星さん私の場合は、同棲中に出費が多かったので、お金を返してほしいということ。あとは、精神的なつらさが大きかったので、それを相手にわからせたいという2つでした。

「まさか自分の彼氏に殴られるなんて…」、日常生活での対策は

──DVでの精神的なダメージは相当なものだと聞きます。

二星星さんトラウマになる方がほとんどだと思います。もちろん全ての男性がDVをするわけではありませんが、男性に恐怖を感じるようになってしまう方は多いでしょうね。私も、男性と付き合う時に、壁ができたというか、慎重になりました。

──モラハラやDV被害に遭ってしまった時のために、日常の中で注意や対策しておくべきことはありますか。

二星星さん普通に生活していて、まさか自分の彼氏に殴られるなんて思わないので、証拠を残していないのが当たり前なんですけど、例えば、メールやLINEのやり取りは基本的に残しておく。あと、周りに相談するのもいいと思います。裁判での証言にはならないんですが、いざとなった時に助けてもらえることもあるので、ひとりで抱え込まずに、なるべくたくさんの人に相談しておくことが大事だと思います。
(取材・文/渡辺麻美)

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