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和田彩花「いまだにアイドルの先はママになることが想像されてしまう」 アンジュルム卒業後も“アイドル”を名乗る理由

2022-06-30 eltha

 ハロプロのアイドルグループ・アンジュルムのリーダーとして10年活動し、2019年に卒業してからはフェミニズムやジェンダーの視点からの積極的な発言注目される和田彩花。日本には女性アイドルが数多存在するが、活躍する期間が短い。日本社会に充満する「理想のアイドル像」への違和感やアイドルのその後の進路についての危機感、アンジュルム卒業後も肩書きを「アイドル」にしている理由について、話を聞いた。

「アイドルがアイドルのまま成熟していくのはなぜこんなに難しいんだろう」

「アイドルの人生はその後も続いていくのにグループ時代が全盛期と思われてしまいがち」

「アイドルの人生はその後も続いていくのにグループ時代が全盛期と思われてしまいがち」と話す和田

──昨今の和田さんの発信に、アイドルファンからは賛同とともに戸惑いもあるかと思いますが、どう受け止めていますか?

和田彩花これからのアイドルや後輩のために発言していくことに意味があると思っているので、私個人に対する反応は特に気にならないです。またグループ時代からラジオなど個人活動の場ではわりと自分の考えを明かしてきていたのですが、ファンの方からの前向きな反響や応援が支えになっていました。それもあって私も前向きに発言できていますし、そうしたファンとの関係性がとても心強いです。

──アイドルの置かれた状況に、どのような問題意識をお持ちですか?

和田彩花アイドルも1人の人間として年齢を重ねますし、いろんなことを学びとっていきます。なのに「変わらないでほしい」という周囲からの願いも同時に感じていました。それは、若さ、未熟さ、清純、無垢という言葉にも置き換わるものであり、女性が長らく強いられてきた規範とも重なる問題だと思っています。「アイドルがアイドルのまま成熟していくのはなぜこんなに難しいんだろう」とずっとモヤモヤしていました。

──ロールモデル的な存在はいなかったのでしょうか?

和田彩花アイドルの人生はその後も続いていくのにグループ時代が全盛期と思われてしまいがちで、その先に獲得できるポジションと言えばママになることばかりが想像されます。もちろんそうではない道を進む方もいますが、セカンドキャリアのロールモデル的な存在の数も幅もまだまだ少ないと思っています。

「ピンクや花柄がコンプレックスを増幅させてしまっている」他者からの見られ方に苦悩も

──アイドルの魅力とは未熟な可愛らしさにある。そうした風潮に違和感を抱いた出来事はありますか?

和田彩花20歳を過ぎた頃から仕事で遅い時間に帰ろうとすると、主に男性から声をかけられることが増えました。私にとってそれは迷惑でしかなくて、なぜだろう? と考えたときに、声をかけられるときに限ってピンクや花柄の洋服を着ていたことに気付いたんです。

──いわゆる女の子らしい服装?

和田彩花もともと私はそういう服装が好きだったんですが、「もしかしてこれは極めて社会的な記号になってしまってるんじゃないか?」と気付いたんですよね。もともと私は顔立ちが幼く見られがちで、しかも声が高い。それがずっとコンプレックスだったんですが、ピンクや花柄という記号がその要素をよけい増幅させてしまってるんじゃないかと──。

──それでいて20歳という“免罪符”も与えてしまっている?

和田彩花それに気付いてから、自分がどう見られているのかだけでなく、自分の心が求めている「こうありたい」という像とのギャップがとても大きかったので。

──アンジュルムの前身、スマイレージがデビューした頃は「日本一スカートが短いアイドル」というキャッチフレーズもありました。

和田彩花グループを卒業した今は、誰かのための服とかメイクや髪型ではなく、自立した女性としてステキな姿でありたいと思っています。美白神話もその1つですね。色白であることが良しとされて、アイドルもみんな日焼け対策に苦慮しています。若い頃は、私もあまり色白ではないのがずっとコンプレックスでした。だけど今住んでいるフランスでは、誰もが陽を浴びることを楽しんでいる。価値観の囚われを乗り越えるには、多様な視点を持つことが大事だなと改めて感じています。

「都合よく使ってもらえる“姉”でありたい」後輩たちへの想い

──アイドルとしての違和感を抱きながら、グループで活動する葛藤はありましたか?

和田彩花葛藤はありましたが、ソロになりたいとは思ったことがなかったです。15歳でデビューして、私1人では実現できないこともたくさんありましたし、何より幅広いアイドル活動の中でもライブで表現することが一番好きだったのでグループで活動した10年は私にとって財産です。今後は、自分の表現としての音楽を発見していきたいなと思い描いています。

──後輩たちとフェミニズムなどについて語ることはありましたか?

和田彩花直接フェミニズムという単語や思想を引用しながら話をすることはありませんでしたが、アイドルである限りフェミニズムやジェンダーの問題は切り離せないテーマだとは個人的に思っていました。ただ、フェミニズムやジェンダーに限らず、特定の思想で物事を判断しきらないようにはしていました。特に10代の多感な子たちにはいろんな世界を見て自ら選択していってほしいと思っていたので。ただアイドルの世界にはその選択肢すらない状況も漠然とあったりするので、やがて自我が育ったときに「なぜアイドルはナチュラルメイクしか許されないんだろう?」などと苦しんでしまいがちなんですね。だから私、後輩たちが伸び伸びできる環境を残していこうということに注力していました。

──今も後輩のみなさんとは交流がありますか?

和田彩花はい。アイドルにはなかなか悩みを打ち明けられない子も多いんですね。なので「この時間帯ならいつでもつながります。"和田ホットライン"にお電話ください」と伝えています。都合よく使ってもらえる姉でありたいです(笑)。
(取材・文/児玉澄子)
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