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MEGUMI、俳優としての開花の裏に緻密な自己プロデュース「ママタレになりたくなかった」

2022-10-28 eltha

MEGUMI

 1999年にグラビアアイドルとしてデビューし、バラエティタレント、俳優、実業家として年々活躍の幅を広げるMEGUMI。これまでフリーペーパー創刊、Webメディア運営、カフェ経営に加え、最近では映画やドラマのプロデュースにも精を出している。そんな彼女もデビュー当初は夢と現実のギャップに苦悩し、「30代はどん底だった」と振り返る。昨年40代に突入し、これまでにない輝きを放つMEGUMIが見出した“再起”への道とは。

「エロばかり求められるの嫌だった」“30代のどん底”乗り越え、悲願のブルーリボン賞で涙

 芸能界デビュー以来、20年以上にわたり第一線で活躍してきたMEGUMI。実はもともと歌手を目指し、アメリカに短期留学もしていた。

「歌のオーディションに全く受からなくて、藁にもすがる思いで始めたのがグラビアだったんです。その後バラエティがどんどん増えて、当時は体を張るのが当たり前の時代だったので、もう破茶滅茶でしたね。水着でバンジージャンプしたり、芸人さんの中で大喜利したり、そんなことを夜中までやって朝からグラビア撮影とか。なんで私がこんなことやんなきゃいけないのって、泣いたり怒ったりすごく激しくて、荒れてました」
 2000年代のバラエティ界は、空前のグラドルブーム。激しい座席争いの中、体当たりパフォーマンスや清々しいおっさんトークで、独自の人気を確立した。2003年には、念願のCDデビュー。しかしMEGUMIの中では、新たな夢が芽生えていた。

「次第に俳優になりたい思いが強くなっていたのですが、ドラマに出たいなんておこがましくて言えなかったです。バラエティのロケに行く度に『また夢から遠のいた』って落ち込んだり涙したり…。特に30代はどん底でしたね」

 2008年に妊娠を機に結婚し、27歳で妻となり、母になった。慣れない育児に奮闘する中、入れ替わりの激しいバラエティではどんどんと新人が現れる。20代は若さと勢いで駆け抜けてきたが、おばさんでもなく、若くもない微妙な年齢に、身の置き場のなさを感じていたという。

「出産後、“ママタレ”として家の冷蔵庫や寝室を見せてくれとか、旦那さんのことを暴露してというような仕事ばかりくるようになって、『いやいや自分のブランディングはそうじゃないのに…』という焦りがありました。それ以外の仕事があまりなくて、もう毎日暇で、このままでいいのかなって考えた時に、やっぱり俳優がやりたいって強く思ったんです」
 30代後半で映画に出る――。そう決意したMEGUMIは、バラエティ色が強いオファーやママ目線の仕事はすべて断った。その間に映画を観あさり、芝居レッスンに通い、気になった監督には直接手紙を書いた。

「それは『キモい』って言われましたけど(笑)、とにかく動きましたね。初めはエキストラのような役とか、エロい役ばかり来て傷ついたりもしたんですけど、どんなに小さい役でも本当に命かけたんですよね。めちゃくちゃ作り込んで一つずつ積み重ねて、徐々に大きな役もいただけるようになりました。明確なゴールを設定することで、やるべきことができるから気も紛れていくし、前向きに進める。あの時期がなければ今の自分はないと思います」

 役者への想いを固めて10年。映画『台風家族』『ひとよ』での好演が評価され、2019年、目標としていたブルーリボン賞助演女優賞を受賞。自宅で朗報を受けた際は、涙が流れた。

「ちょっと異常だなって」“SNS叩き”に対するアンチテーゼ込めたドラマを自ら立案

 そんな彼女は今、また次なる野心を抱いていた。11月1日にスタートするドラマ『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』(テレビ東京系)で、出演のみならず、企画・プロデュースも手掛けているのだ。

「日本では、年を重ねていくとどうしても役が減ってきて、主人公のお母さんばっかりになっちゃうんですよね。でも海外だと40、50、60代の方のメインの作品がたくさんあって、なんでないんだろうって。私も40代を迎えて、この先ワクワクすることが少なくなっていくのが嫌だなって言うところから、自分がワクワクする役や場所を作れればいいなと。4年ほど前からちょっとずつショートフィルムや配信ドラマを作り始めて、来年は長編映画を公開するのですが、プロデュースがすごく楽しいなと感じたんです」
 かねてから女性を応援するドラマを作りたかったと語るMEGUMI。脚本の細かいセリフから主題歌、衣装、画作りに至るまで制作に携わり、なんとなく女性が“受け身”になりがちな日本に対し、クリエイティブにエールを送っている。

「以前、日本の女性の自己肯定感が世界最下位っていうニュースを見て衝撃が走ったんです。男性ももちろん大変だと思いますが、女性は年齢に応じて身体も心も変化しますし、特に母親になると達成感も感じづらい日々なんですよね。お皿洗いうまいよねって言われることもないですし、誰も構ってくれないから、自分でなんとかするしかないっていう事実を受け入れるしかない。社会から距離ができていく勘違いをしちゃうんですよね。

 私もそういう経験をしているので、自分で自分を労って、笑顔になって、そこから前向きに進んでもらえたらという思いを込めています。実際に私自身は美容を続けることでメンタルが強くなっているので、ドラマの中で日々に取り入れやすい美容の紹介もしていますし、見て笑って美しくなる作品をお届けしたいと思っています」
 本作は、“完全に詰んだ”若手アナウンサー(深川麻衣)が、美容のカリスマ女性社長(MEGUMI)と出会い、困難を乗り越えていく物語。不倫の発覚により干された主人公がSNSを通じてバッシングを受ける様子がリアルに描かれており、MEGUMIの芸能界での経験も散りばめられているという。
「私自身も変なDMが来たりしますけど、この人たちは何も知らないんだよなと思ってさっと流せるんです。だけど、そうじゃない同業者を何人も見てるし、それが原因で辞めちゃった子たちも実際に見てきたんですよね。再起不能になるほど叩くとか、スキャンダルに対する反応がちょっと異常だなと思うところもあるので、異議申したい部分もありました。

 海外ではそういったことを乗り越えてさらに輝いている人もいるのに、なんで日本だけ?って。いずれにしても、誰でもどれだけ詰んでもチャンスはあるっていうテーマにすることで、傷ついた人へのエールになればと思っていますし、そもそも、死ぬこと以外は詰んでないと思うんですよね。笑いにすると何もかもがうまく着地できる気がしているので、ユーモラスさを大切にしながら、何回でも何歳でもやり直すチャンスはあるというメッセージを込めています」

「芸能人の“受け身”の呪縛を解きたかった」経営業で得た自信、今では周囲からの否定がOKサインに

 MEGUMI自身にも、これまで“完全に詰んだ”と感じた瞬間はあったかと尋ねると、経営業の話が飛び出した。6年前に金沢でパンケーキ専門店カフェをオープンした際、町中に反対され、ようやく着工したものの大家に「やっぱり貸したくない」と言われ、東京に帰る新幹線で泣きながら弁当を食べたというエピソードだった。

「今までやってきたフリーペーパーやWebメディアもプロデュース業も、はじめは何でも『そんなのやる必要ないじゃん』って全部否定されてるんですよね。それは家族に言われたり、知らない人にも言われたり。でも否定してる人たちって型にはめようとしてるだけで、何の責任も取ってくれないわけですよ。

 だから今では、『否定されてるってことは誰もやってないんだ』『否定されてるぞOK』って思うようになりました。どうしても芸能人って呼ばれないと稼働できない受け身の職業なので、その呪縛を解きたかった思いもありました。やっぱり自分で動いて活性してる人って気になるじゃないですか。何でも自ら動き続けるっていうのは、すごく大事だと思います」
 数年後の事業計画書まで自らマネージャーに提出し、着実に行動を起こしている彼女。俳優業、経営業と並行しながらバラエティでも変わらず活躍しているが、私生活を明かし過ぎない、毒を吐きすぎない、笑いに収める、といった自分の中での決め事を守りつつ、「今でもブランディングはめちゃくちゃしている」と話す。

「なんか日本って40過ぎてセクシーとかって、ちょっとえ?みたいなところあるじゃないですか。カワイイ文化だし。私はグラビアやっていたし、どうしても体型は崩れてきますけど、ネガティブに考えるんじゃなくて、年を重ねても自分らしく、セクシーだけどエレガントで品のある女性でいたいなと思って、今はすごく写真集買ったりしています」

 結婚、出産、加齢…女性に取り巻くあらゆる“呪縛”を課しているのは、自分自身なのかもしれない。周囲の声に流されず、常に自ら人生の扉を切り開くMEGUMIは、いまも最高にセクシーだ。


(撮影=田中達晃(パッシュ))

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