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「限界超えると食事の味が変わり、食道まで詰まった状態」ロシアン佐藤が明かす“大食い”の舞台裏

2022-11-03 eltha

元フードファイター・ロシアン佐藤。Instagram(@i_am_hito.chin)より

元フードファイター・ロシアン佐藤。Instagram(@i_am_hito.chin)より

テレビ業界では一時期のブームが落ち着き、いまやYouTubeの人気コンテンツへとスライドした “大食い”。昨年7月、ファンに惜しまれつつ引退した元フードファイター「ロシアン佐藤」も、現在は自身が立ち上げたIT企業で代表を務めるかたわら、YouTubeで大食いを披露している。選手を引退した今「大食いを心底楽しめている」と話す彼女に、改めて引退を決めた背景と、“大食い番組”の舞台裏を聞いた。

「一定の量を食べると、どんな美味しい料理でも味が変わる」

「私、ふんわりとしたことはあまり好きじゃないんです。大会に出るからにはベストな状態とモチベーションで挑みたい。そうじゃないと、費用も時間もかけて、あの舞台を整えてくださってる番組側にも、選手にも申し訳ない。私が選手としてピークだと思っているのが2015年頃まで。2016年元旦に放送されたあの世界一決定戦の大将戦の私を、もうどんなに頑張っても超える試合が出来ないという状況がずっと続いていたんです。“また私はあそこを越えられなかった”…。そんなモヤモヤが続き、引退を決意しました。ファンの方から“やめないでほしい”という声が多く寄せられ揺さぶられましたが、自分の信念を貫き引退を決意しました」

 1年前の引退について、そう語るロシアン佐藤。その背景には「新人も次々と出てきている。その子たちが登っていくためにベテランの私は席を開けなければいけないのではないか」との想いもあったと言う。また、「ただで、美味しいものをたくさん食べられるから好き」から始まったフードファイターだがその実、“選手”として出場する以上、避けては通れない苦悩もあったと明かす。

「大会中、一定の量を超えると味が変わってくるんです。体が“これ以上受け付けませんよ”となった途端に。美味しかった料理から、突然、えぐみとか臭さを感じるようになる。もちろん、コンディションによって最後まで美味しく食べられることもありますし、人にもよりますが、体力と胃袋の限界まで“食べて戦う”という大会では、私の場合、味わいが変化するという経験が多くありました」
Instagram(@i_am_hito.chin)より

引退した今も「食べることは大好き」と話すロシアン佐藤。Instagram(@i_am_hito.chin)より

Instagram(@i_am_hito.chin)より

普段の食事量は「普通の女性の3〜4倍くらい」という。がInstagram(@i_am_hito.chin)より

試合中に蕁麻疹が出たことも…好きでも“過酷”なフードファイターの裏事情

 小学生の頃から身長180cmの父親と同じくらい食べていたロシアン佐藤だが、“選手”として大食いに向き合った時、さまざまな苦悩を感じていた。

「“選手”として食べている時は、感覚的には食道の下の方まで詰まってる感じがしますね。それこそ、そけい部から肺の裏あたり、肋骨の裏まで食べ物が全部詰まっている感覚です」

 “大食い”は一時期にくらべ、テレビ番組の数こそ減ってきているが、未だ“人気コンテンツ”のひとつだ。その光の裏で“選手”ゆえの影も知っている。試合中にアレルギーが出たこともあった。

「食べることによる熱で血の巡りがよくなり、ほんの少しだけあったアレルゲンに触れてしまったみたいで。それで蕁麻疹が出てしまったんです」

 撮影には医師が立ち会ってしていることがほとんどで、選手の体調管理には万全が期されている。それでも食べることによる急激な体温上昇で脱水症状になり、試合中に手や足がつってしまう選手もいる。

「あとは食道を火傷したり。2週間ぐらい水を飲むにも激痛が走ることもありました。そもそも内臓を酷使する競技なので、粘膜は再生しやすいと言えど、ある程度のダメージはあるので、歳を重ねた後の健康についてはやや心配です」

 選手引退後も通常女性の3〜4倍は食べると言うが、「年相応に少し中性脂肪、コレステロール、尿酸値が少し高い。でも、気をつけてくださいね、レベルであり、今のところは美味しくたくさん食べてます」と笑う。

 あとはSDGs的問題も指摘される。食べ物を粗末にしている、そう取る視聴者もいる。

「もちろん大前提として感謝して食べているのですが、やっぱり大会や試合となると、スポーツ性の方の色が強くなってしまう。画面的に、感謝の表現がすごく現れにくいんですね。そう、食べ物への感謝を見せるのがすごく難しかった。番組の演出側としてもスポーツ性で見せれば見せるほど、食べ物のありがたさが見せづらくなるのは課題だろうと思っていて、そうするとやはり批判につながるんじゃないかと思うんです」

 そのために彼女が提案するのは、アップサイクルした食材で、さらにその大会で得た収益を、持続可能な社会を作る何かに使ってもらうこと。それでも“大食い”をバラエティコンテンツとすることに否定的な声はあるだろう。「その部分では、私の提案でも、どうにも解決できないかもしれませんね…」と寂しげな表情をみせる。

 ちなみに大食い大会で用意された食事は、試合後、スタッフと選手で食べることがほとんどという。そもそも現場にいるスタッフの数も相当に多い。「試合が終わって、これぐらい食べました、ってドーンと料理の映像が映ると思うのですが、あれもスタッフさん全員で食べたりします。中にはその試合に出ていないけど、次の試合に出る選手も食べたりして(笑)。私も終わった後になって、“あ、もう少し食べたい”と食べることも(笑)。そういう意味では、すべて頂いている状況です」

「“大食い”というエンターテインメントはなくなってほしくない」

  “真剣勝負”の場でありながら“演出される”ことへの違和感もあった。

「大食いはスポーツでありながらバラエティ。あくまでエンタメとして成立させたい番組側の想いと、真剣に勝負している選手との気持ちの相違が少なからずあります。うまくストーリーを組み上げ、感動のラストまで組み立ててくださるんですけど、その演出やナレーションの際、そんなこと思ってないけど…みたいな演出をされることも(笑)。そこは選手として歯がゆい想いをしている子もいたでしょうけど、やはり骨組みはバラエティ。私たちの関係性やキャラクターも大事に表現したいという結果ですので、そこは感謝しています。」

 フードファイターとして注目を集めながら、多くの葛藤に悩んだ時期もあった彼女だが、引退した今、これまでの経験を活かしてセカンドキャリアを歩んでいる。

「やっぱり大食いってキャッチーでその肩書を皆がすぐ覚えてくれるというのはメリット。“どれぐらい食べるの?”とか会話のネタとしても最適ですよね(笑)。ただ、お金にはつながりにくいので、それは現在YouTubeという表現の場があって本当に良かったと思います。大食いという特技を個人で収益化できますから」

 そもそも大食いが大好きな彼女。今回は元フードファイターとして“大食い界”の課題を見つめてもらったが、彼女自身はこの文化が、より広く受け入れられ長く続いていくことを望んでいる。「大食い自体の歴史は古く、江戸時代から大食い大会は行われていたようです。日本の伝統的な催し物のような面もあるので、この“大食い”というエンターテインメントはなくなってほしくないです」

(取材・文/衣輪晋一)

エッジニア合同会社
共同代表:CEO塚田賢一郎、COO佐藤ひとみ
ビジョン:衣食住、メタバース、VR、インフルエンサー、SNS、動画、生まれ続ける様々な新しい技術、トレンド、表現を自分たちのモノにし、世の中の課題に目を向け、それを自分たちの発想で解決していく、「挑戦し続けるベンチャーカンパニー」を目指しています。エッジニアでは一緒に”食”や”VR”業界を盛り上げる仲間を募集しています。
採用ページ:https://edgeneer.com/company/recruit/
〒111-0055 東京都台東区三筋1-9-3 山勝ビル5F TEL:03-6231-6798

【事業内容】
・YouTubeチャンネル ロシアン佐藤の「おなかがすいたらMONSTER!」の制作・運営
・YouTubeチャンネルParty Kitchen・クリエイター公式オンラインストア「Moreish!」の制作・運営
・"食"特化型インフルエンサーPRサービス「#foodicle」の運営
・360°VR/AR制作・編集・配信クラウドツール「KuZuKiRi360」の開発・運営
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