見える？「米粒たぬきいたｗ」緻密さとセンスが話題のお菓子クリエイター「事務OLから転身」

粉砂糖と卵白を混ぜた「アイシングクリーム」を使ったお菓子アートをSNSやYouTubeで発信している“まんなたぬき”さん。人気キャラクターや有名人を緻密に描いた「リアル・アイシングクッキー」で注目を集め、近年では立体的なモチーフにも挑戦。『パイの実』のパッケージに描かれる“小さな家”をパイの実の上に再現した作品では、木の陰に米粒大の“たぬき”を忍ばせるなど、精巧さだけでなく、可愛い仕掛けも話題に。「上手すぎて人間業とは思えない」「天才ですか！？」と国内外から絶賛コメントが相次ぐ人気お菓子クリエイター“まんなたぬき”さんに話を聞いた。

――昨年9月に動画チャンネル登録者数が100万人を突破し、「金の盾」を獲得されました。おめでとうございます！

【まんなたぬき】　ありがとうございます！とっても嬉しいです！！なんだかまだ信じられないなというのが正直なところです（笑）。でも、金の盾をいざ手に持ってみると思った以上に大きくて、ずっしり重みがあって、100万人以上の方に応援していただいているのを実感することができました。

――SNSでは「上手すぎて人間業とは思えない」「天才ですか！？」とお菓子作りの技術の高さを絶賛するコメントが国内外から相次いでいます。お菓子作りはどのように学ばれたんでしょうか。

【まんなたぬき】　実は大学卒業後、ずっと事務の仕事をしていたんですが、趣味で始めたアイシングクッキー作りにハマりすぎて…。思いきって洋菓子店に転職し、2年間くらい勤めました。ここで技術や制作スピードをかなり磨かせていただいたなと思います。

――専門の学校に通われていないんですね。驚きです…。

【まんなたぬき】　そうなんです。お菓子作りは学生時代から好きでしたが、より没頭するようになったのは社会人になってからで。たまたま本屋さんで見つけた『お絵かきクッキー』（星野彰子著）にひとめぼれしまして。こんなに可愛くてアートなクッキーがあるんだ！と、そこで初めてアイシングクッキーというものを知りました。

　そこから、本に書いてあることを1つずつまねしながらやってみて…。最初はやっぱり全然上手くいかなかったんですよね。でも、なぜか納得いくものが出来るまで繰り返しやってみたくなって。休日は自宅のキッチンにへばりついてずーっとアイシングクッキーばかり作っている時期がありました。アイシングクッキーを作り始めて、今年で8年くらいになるかと思います。

――もともと「リアル・アイシングクッキー」で注目を集め、昨年10月にはオリジナルキャラクターの“たぬき”のイラスト専用アカウント（@Manna_Tanuki）を立ち上げるなど、デッサン＆イラスト力の高さもまんなたぬきさんの魅力のひとつです。

【まんなたぬき】　デッサン力が自分にあるのかどうか危ういですが、「リアル・アイシングクッキー」については、原画や元のイラストをじっくり見ながらアイシングクリームで描いています。イラスト垢はまだ始めたばかりなんですが、絵を描くのは昔から大好きだったので、やっぱり楽しいですね。

――菓子細工にも種類がありますがアイシングクッキーに惹かれた理由は。

【まんなたぬき】　なぜここまでアイシングクッキーに夢中になって極めたくなったのか、不思議ですが自分でもよくわからないんです（笑）。準備に手間がかかるし、けっして簡単に可愛くできるお菓子ではないんですよね。でも、自分の手を動かしたぶんコツを多く掴める感覚があるし、今まで失敗ばかりだったのが上手くできた瞬間は本当に嬉しくて。幼い頃、自転車に初めて乗れたときの感動や、逆上がりが初めて出来た瞬間に似たような感覚になることが多いです。うおー！ついにできたぞー！って（笑）。

――なるほど（笑）。幼い頃からお菓子作りやモノ作りはお得意だったんでしょうか。

【まんなたぬき】　小さい頃はひたすらお絵かきが大好きな子だったみたいです。一度集中モードに入ると周りが見えなくなってしまうのは、大人になった今も変わらず。他のみんなが外で遊ぶ時間も食事の時間もペンと画用紙を手放せなくなるので、よく幼稚園の先生や親を困らせていたと思います。

　少しお姉さんになってからは工作やお裁縫もするようになり、手先を動かしてモノを作ることはずっと好きでした。将来の夢は「おかしやさん」か「ざっかやさん」でしたけど、お菓子クリエイターや配信をお仕事にするとは考えてもいませんでした！

――今後は、まんなたぬきさんに憧れてお菓子クリエイターを目指す子どもも多くなりそうです。それにしても、最近の作品は特に緻密で立体的ですよね。設計図があるとうかがいました。

【まんなたぬき】　設計図やラフ画は毎回必ず細かく描き出してから、お菓子の制作に入ります。頭の中のイメージだけだと頼りなくて不安なので（笑）。これまでで一番苦労した作品では、紙粘土と画用紙で簡単な模型を作っておいて、サイズ感やお菓子の配置を細かく確認しながら、1つずつ慎重に作業を進めていきました。

――2017年頃の作品はパステルカラーを基調としたロマンチックで可愛らしいアイシングクッキーがメインでしたが、近年、写実的な人物作品や立体作品が多くなってきたのは何か心境の変化がありましたか。

【まんなたぬき】　そうですね、最初はかわいい雰囲気の平面アイシングクッキーばかりでした。でもそれだけだとちょっと物足りなくなってきて、視聴者さんも同じ工程ばかり見せられたら飽きてくるかな？と思い始めて。アイシングクッキーと他のお菓子（飴細工やゼリーなど）をかけ合わせたり、マシュマロやメレンゲクッキー、マカロンなど新しいお菓子の練習を始めたりと、今までにない挑戦をするようになりました。

　私は製菓を専門に勉強したことがないので、レシピ本や参考書、パティシエさんの動画やSNSを見て、知識や知恵をお借りできるのは本当にありがたいです。なかなかアイデアが思いつかず苦しくなることもありますが、常に期待以上の新しいわくわくをお届けできるように頑張りたいなと思っています。

――楽しみにしています！ちなみに…作ったお菓子はその後どうされているんでしょうか。

【まんなたぬき】　結構自分で食べてしまっています（笑）。立体的な作品や思い入れが強い作品は、透明フィルムで包んで飾っているものもあります。アイシングクッキーやメレンゲクッキーは、しっかり乾燥させていれば腐ることなく、半永久的に鑑賞用として楽しむこともできるお菓子なんです。最近は企業さまの案件でお菓子を作らせていただくことが増えたので、実物はお送りさせていただくことも多いです。

――食べてしまうのはもったない気もしますが、そこはやはりお菓子なので食べるのが正解な気もします（笑）。その他にお菓子作りのこだわりやモットーはありますか。

【まんなたぬき】　自分自身が楽しみながら取り組むこと、お菓子作りが大好きな気持ちを忘れずにいることです。お仕事となるとなかなか難しかったりもしますが、なるべく心がけたいなと思っています。また、見てくださった方にとって、少しでも何か元気が出たり、癒されるひとときになれたら嬉しいです。

――最後に今後の展望、活動予定についてお聞かせください。

【まんなたぬき】　お菓子作り以外に、最近イラストを描く活動を始めました。コラボもいくつか予定しています。新しい試みで、まだ自信がなく不安もありますが、せっかく自分にできることがあるなら試行錯誤しながら精一杯頑張りたいという想いです！　今後も、いろいろな形で多くの方に喜んでもらえるものを生み出していけたらなと思います！