求められているのは恋愛よりも“呪い”からの解放 女性コミック誌「FEEL YOUNG」がいまだヒット作品を生み出す背景
2023-01-30 eltha
「今ある価値観をただ再生産して強化しているだけでは社会は停滞したまま」「FEEL YOUNG」の使命
「紙も電子も商業である以上、売上げを立てないと成り立たない。大きなパイを取るために変に読者をザワつかせない、大衆に迎合した作品を提供せざるを得ない側面もあるかと思います。だけど今ある価値観をただ再生産して強化しているだけでは社会は停滞したまま。作品を送り出す側としてそれはちょっと責任放棄じゃないかな? と思う時もあります。咀嚼に時間がかかるかもしれないけど、もっといい未来に進むためにも、今より半歩くらい先にある価値観を提示していきたい。それが『FEEL YOUNG』という媒体の役割でもあると思っています」(松永さん)
読者の共感を呼び、女性たちをエンパワメントすることで社会をアップデートしてきた同誌の名作の数々。それでも『ジーンブライド』をヒリヒリした感情で読む読者が多いように、女性の生きづらさは社会に根深く存在している。
「女性が社会で抱えるモヤモヤには言語化できない事象や空気、感情がたくさんあります。それを『こういうことだよね』と鮮やかに表現してくれるのが漫画の素晴らしいところ。描かれたテーマを受け取ってくれたたくさんの読者の皆さんが共感し、時に声を上げ、時代の空気を変えてくれた。それによって社会は少しずついい方向に進んできたのだと思います。
編集者としては、作家から選ばれないといけない時代。いかに選ばれる編集者になるかということを、私たちは頑張らないといけないと考えます。編集者と作家の関係性がいい意味でフラットになり、いい時代だと思っています。
誰もが生きやすい世界になるように、漫画が直接的に社会を変えることはできなくても、一助には絶対になっていると信じて。これからもそういう意識を持って、作家と一緒に作品作りをしていきたいです」(神成さん)
(取材・文/児玉澄子)