満島ひかり、沖縄アクターズスクールとの出会いは“人生のスーパー衝撃ニュース”「私のエンターテインメントの初期衝動」
2023-04-01 eltha
“性教育=自分を大切にすること”を教えるアニメ番組で、1人50役以上の“声”に挑戦
満島ひかり “性教育=自分を大切にすること”を教えるという企画内容で、子どもの頃って、大人に性教育の話をしてもらう機会があまりなかったりするので、子どもたちの日々にあふれる、大人も知りたいたくさんの質問をアニメにして放送するのは素敵だなと思いました。漠然と使ってしまう“大切”とか“大事”ってどういうことなのか、制作陣の皆さんと一緒に、日々気持ちを巡らせて作っている番組です。
――以前も声優として映画『ONE PIECE FILM GOLD』や『サンダーバード55/GoGo』の吹替などに参加されていますが、今作のアフレコはいかがでしたか。
満島ひかり 絵に合わせて声を入れるのは未熟ですが、今回は、声を録音した後に映像を付けるというプレスコ形式なので、私にはとてもやりやすいです。初めは、男の人の声は難しい?と思ったのですが、スタッフさんに「いいですねー」と褒められるうちに、あれよあれよと全ての声をやっています。年齢性別も関係なく、動物たちの声もみんな私です(笑)。
満島ひかり 声を収録する時に、記録用に動画を回すことがあるのですが、映像を見ると演じる役によって体勢が違うんですよね。おじいちゃんの時は腰が曲がっていたり、パパの時は脚が開いていたり。あと、人にはあまり見せられないような顔で声を出していることも(笑)。でも演じ分けるためというよりは、無意識にやっているんじゃないかなと思います。
24年来の親友とも理解できない部分たくさんある「友達とは分かり合えなくてもいい」
満島ひかり その時々によってですが、自分の中から悲しい気持ちや辛い気持ちを取り出して「どうしてだっけ?」と客観的に議題にあげるんです。そうして、「へー、だから苦しいのか」とか「え!こんなことで」なんてツッコミを入れまくる(笑)。それでも何度もぐるぐる来る感情もあるけど、宇宙に飛ぶぐらいの感覚で自分を俯瞰し続けてると「たかが人生100年!」と思えてくるんです。あとは、二度と同じ“苦しい”を繰り返さないために、原因を「君だね!黒い点は」と取り出して、見返すようにしています。
――きちんと冷静に自分と向き合っていくうちに、落ち込むことも減っていきそうですね。
満島ひかり 多分、落ち込む時間も月に何度かあってもいいんじゃないかなと思います。「ねえ、この日一緒に落ち込まない?」と落ち込むスケジュールを入れたりする友人もいますし(笑)。お洋服を着替えるみたいに、感性をいくつも持っておくといいのかもって。“今日は心がジャージの日!”みたいな(笑)。翌日はワンピースかもしれないし、そうやって気持ちの切り替えをしてもいいんじゃないかなと思います。
満島ひかり 親友が私とは真逆の性格で、24年間の付き合いなのに、お互いに理解できない部分がたくさんあるんです。でも、分かり合えなくても一緒にいて楽しいし、真逆だからこそ、隣にいるのが面白いと思えることがいっぱいあるんです。一瞬、え、なんで私が一番傷つくことを言うんだろうとか、こんなに一緒にいるからわかるでしょ、とか思うんですけど、自分が相手の意図を読み取れてないだけかもしれないし、2回り先のことを言ってくれてる場合やただのおバカちゃんな可能性もあるけど、それはそれで面白いし(笑)。私は傷つかないようにしてコミュニケーション取らないよりも、恐れずに本音でコミュニケーションを取る方が好きなので、その人のままで生きててくれた方がいいなと思います。
「この頃、“自己肯定”という言葉を耳にしますが…」自分に肯定も否定もない
満島ひかり 育った沖縄には日々に歌や踊りがあったし、近所からはいつも三味線の音が聴こえてきて。音楽はとても身近なもので、人や森や海や風なんかとの愛情のあるコミュニケーションなのかな。『アイラブみー』のキャラクター達での歌い分けは、14役それぞれに違う歌い方をするので、なかなかハードルが高かったですが、仕上がった音源を聴いて、自分でもあっぱれ!と拍手が出てしまいました。色んな音楽に触れてきたことが生かされた感じがします。
【アイラブみー 】
? NHK広報 (@NHK_PR) March 24, 2023
5歳のこどもが「じぶんを大切にする」ことを学ぶアニメーション、4月からレギュラー化です。
満島ひかりさんが全キャラクターの声を演じ分けます。
3/27〜29には新作3本放送。
29日には満島さんの「みんなアイラブみーソング」初公開です(↓続きます)https://t.co/zK7ZjVFrEi pic.twitter.com/bZ7XNM2NCY
満島ひかり 今まで蒔いていた種が芽吹いてきた感じです。音楽は生活と地続きで好きなもので、だからこそあまり“お仕事”にしたくなくて、遊びを守るためにゆるゆるっとインディーズ・レーベルも始めました。
――三浦さんと共に活動されていたFolder時代のご経験も、現在に活かされている感覚でしょうか。
満島ひかり 沖縄アクターズスクールとの出会いは“人生のスーパー衝撃ニュース”というくらい、ほんの少し年上のお姉ちゃんお兄ちゃんがエネルギッシュに踊る姿は今も目に焼きついています。子どもの頃に、胸の内で静かに燃えている感性をなかなかカタチにできなくて、言葉にも出来なくて、それがもどかしかったんです。アクターズスクールにはカタチも言葉もいらなかった。“エネルギーそのもの”が対話のツールだったというか。「どれだけ自分を出しても恥ずかしくない場所があった!やったー!」という喜びがすごかったんです。私のエンターテインメントの初期衝動ですね。
――それから俳優、声優、MC、レーベル立ち上げと、歩み続ける満島さんの原動力は何なのでしょうか。
満島ひかり 反応することの面白さ、かな。この頃、“自己肯定”という言葉を耳にしますが、私は自分に肯定も否定もないと感じていて。なるべく固執や執着、心を束縛するルールを持たないでいたいんです。目の前の出来事に真っさらな気持ちで反応する自分を、俯瞰にいるもう1人の自分が「今の私ってこうなんだ」と、他人と同じように面白がる感じ。客観的な部分と、反応しているプレイヤーの部分の共存です。経験を積んで歳を重ねるたびに、上手になっちゃうことも増えるから、出来ないことを増やしてバランスをとって。そうしていると、いつも奥底にある想いが温かいんです。
――歳を重ねれば重ねるほど、“出来ないことを増やす”ことが大切なのかもしれないですね。最後に、満島さんが思う理想の女性像を教えていただけますか。
満島ひかり 今とこれからのために、まずは心身ともに健やかに過ごしたいと思います。ひとりじゃ生きられないもんだし、やっぱりどこかで誰かに好かれるための自分もあって、それも時にはステキだけど、リラックスしている人でいたいです。周りにおすそ分けできるくらい、満ち満ちた人でありたいです。
●Eテレ『アイラブみー』(4月5日スタート/毎週水曜 後3時45分〜3時55分)
主人公は5歳の“みー”。「なんでパンツを履いているんだろう?」「あの子は、『くすぐられるのがイヤ』って言うけど、どうしてなんだろう?」…アニメーションで描く、こどものための、じぶん探求ファンタジー番組。
すべてのキャラクターの声:満島ひかり
●満島ひかりの音声コンテンツが聴ける『おとなのためのアイラブみー』
●子育て情報満載『アイラブみー』ポータルサイト(NHKエデュケーショナル)