ホーム ダイエット・ボディケア > Tバック、この数年で売り上げが5倍に 異性に向けた“セクシー”から自己に向けた“可愛い”への変換

Tバック、この数年で売り上げが5倍に 異性に向けた“セクシー”から自己に向けた“可愛い”への変換

2023-07-28 eltha

 Tバックショーツのシェアが飛躍的に伸びている。これまで“セクシー”“エロ”などの性的なイメージを喚起させる印象が強かったTバックショーツだったが、ここ最近、好調な売れ行きだという。機能性やデザイン性は理解していても、「大胆すぎる」と抵抗感を抱く人も多かったTバックショーツを、女性たちが選ぶようになったのはなぜか。社会変化とショーツの関係を探るべく、ワコールに話を聞いた。

5年前から10%以上の伸び率 “自分をワクワクさせる消費”の高まりが要因に

Tバックショーツ(画像提供:ワコール)

Tバックショーツ(画像提供:ワコール)

 そもそもTバックショーツとは和製英語で、一般的にはソング(Thong:後ろがひも状に細くなったもの)と呼ばれる。Tバックショーツが日本で広く認知されたのは90年代初頭のこと。セクシーアイドルがスカートをめくり、Tバックショーツをあらわにするバラエティ番組が大きな話題を呼び、“Tバック=セクシー、男性を喜ばせるランジェリー”というイメージを強く印象付けた。

「ワコールでは、90年代からTバックショーツを展開しています。セクシーさも意匠性の一つですが、実際ご愛用いただいているお客さまのお話を聞くと、当時からセクシーというよりも『可愛いインナーを身に付けていると気分がアガるから』という理由で選ばれる方が多かったんです。さらに『一度はいたら心地よさの虜になり、ほかのショーツをはけなくなった』と、長年のファンになっていただける方が多いのもTバックショーツの特徴です」(ワコールブランド チーフデザイナー・横山有以さん)

 Tバックショーツの良さははけばわかる──。とは言え、ショーツは試着ができないため、どうしてもTバック=大胆、あるいは「お尻の食い込みが気になる」といった固定概念が先行しがちだ。ワコールでもTバックショーツは長らく高級ラインなどで展開するニッチなジャンルに収まってきたという。

「つい5年ほど前までブラのペアショーツとしてTバックショーツを選ばれる方は3%ほどでした。ところが今やそれが15〜6%にまで伸びています。20~30代の若年層の購買が増えていることと、そもそもTバックショーツの母数が増えていることから、年齢を重ねた人も愛用している割合が増えてきているのだと考えます。理由として1つ考えられるのは、Tバックショーツだからこそ体現できるデザインの華やかさ。コロナから解放された今、全体的に自分をワクワクさせる消費が高まっていますが、特にインナーはからだの最も近いところに身につけるもの。パートナーなどの第三者のためではなく、自分の気持ちをアゲるためにインナーを選ぶ。そもそもTバックショーツの購入動機に多かったそうした消費マインドの裾野が、コロナが明けてさらに広がったのではないかと感じています」(横山さん)

かつての“セクシー”なイメージから、直感的に“可愛い”へ 発売から瞬く間に欠品になった商品も

「ハグするブラ」で展開されるショーツ3タイプ(上からノーマル、Tバックショーツ、ボーイレングス)画像提供:ワコール

「ハグするブラ」で展開されるショーツ3タイプ(上からノーマル、Tバックショーツ、ボーイレングス)画像提供:ワコール

 ワコールが6月に新発売した「ハグするブラ」では、ペアショーツとしてノーマル、股上の浅いボーイレングス、そしてTバックショーツを展開している。「ハグするブラ」とは胸骨の面に体温で柔らかくなり、体に合わせて馴染む形状記憶の新素材を採用したブラジャーで、昨今のストレス社会において「少しでも自分をいたわりたい」という女性たちの気持ちに応えて開発された商品シリーズだ。

「機能のこだわりはたくさん詰まっています。ただ難しいことをお伝えするよりも、直感的に『身に付けたい』と思っていただくことを目指し、商品名にここちよさが想像しやすい“ハグ”というワードを採用しました。ブラジャーに抱きしめられるような心地よさと安心感で、体だけでなく心まで幸せに包み込まれていただきたい。そのために機能性はもちろん、直感に訴える要素としてデザイン性にも徹底的にこだわりました」(横山さん)
画像提供:ワコール

画像提供:ワコール

 心地よさとデザイン性の両立というコンセプトはペアショーツでも追求されている。中でもTバックショーツは一般的なTバックショーツよりもバックのかぶりが広く、初心者でもはきやすい安心感のある設計となっているという。

「何より注目していただけたのがデザインです。ノーマル、ボーイレングスにもそれぞれの良さがありますが、たっぷりのレースがお尻をふわっと包む、Tバックショーツのイメージを覆すデザインと可愛さは圧倒的で、店頭でもパッと目を引いたようです。お客さまからの反響もよく、発売からたちまち欠品になったカラーもありました」(横山さん)

 「ハグするブラ」は一部のランジェリーフリークを対象とした商品ではなく、マスをターゲットとしたワコールの看板商品だ。それだけに長らくニッチなジャンルに収まってきたTバックショーツが売れているのは、ワコール社内でも大きなインパクトがあったという。

「これまでTバックショーツはニッチなものとして生産数も少なく抑えられてきましたが、インナーデザイナーとしては、ほかのショーツにはないTバックショーツの良さをもっと多くの女性に知っていただきたいという思いがありました。マスをターゲットにしたTバックショーツとして試行錯誤を重ねてきた中でも、『ハグするブラ』のペアショーツはここ数年で一番の自信作です。売れ行きも好調で、本商品でTバックショーツデビューされる方も多いのではないかと感じています」(横山さん)

「日本におけるTバックショーツの位置づけの転換期がきているのを感じる」

 ワコールが看板商品の1つにTバックショーツを導入した理由の1つに、次世代ユーザーの開拓という課題意識もあったようだ。

「若年層にとってワコールは大人向けの百貨店で展開されるインナーといったイメージ。つまり若い世代にとってやや敷居が高い存在になっているのではないかという懸念がありました。たしかに昔は、インナーは百貨店やスーパーで購入するものでしたが、今は路面店やオンラインショップも増えて若者たちはかつて以上にカジュアルかつ自由にインナーを選んでいます。その世代に『可愛い!』と直感的に訴える商品開発は、近年の課題となっていました」(横山さん)

 マス向けに展開するからこそ、御託を並べずとも見た瞬間に心ときめく。そんな商品を目指したのが「ハグするブラ」であり、コーディネートされるペアショーツだ。

「SNSなどで情報に多く接している分、若い世代には私たちが想像している以上にソングへのマイナスな固定概念がありません。またソングはあらゆるタイプのショーツの中でも、デザイン性をとことん追求できる特性があります。ハグするブラの展開以降、若年層の購買比率も確実に上がっており、日本におけるTバックショーツの位置づけの転換期がきているのを感じます」(横山さん)

 デザイン性もさることながらTバックショーツは、アウターに響きにくい、締め付け感が少ない、ムレにくい、など暑い季節にうれしいメリットがあり、「一度ハマるとやめられない」という愛用者も多い。「ハグするブラ」のペアショーツのように、食い込みを軽減した進化系Tバックショーツも増えているだけに、ビギナーにもぜひ一度チャレンジしてみてほしいところだ。
(取材・文/児玉澄子)
Facebook

関連リンク

あなたにおすすめの記事

おすすめコンテンツ


P R
お悩み調査実施中! アンケートモニター登録はコチラ

eltha(エルザ by オリコンニュース)

ページトップへ