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子どもの“嘘泣き”は成長過程で起こる自然現象、完全無視はNG 正しい対応を専門家が解説「小学生でも続くなら要注意」

2023-12-13 eltha

 子どもが突然泣き出したり、ぐずったりすることはよくあります。その中には、本当に泣きたいわけではなく、自分の気持ちや要求を伝えるために“嘘泣き”をすることもあるでしょう。子どもの気持ちを理解し、本質を見極めるためにはどのような対応をしたら良いのでしょうか? 公認心理師であり芸術療法士の芙和せらさんに聞きました。

2〜3歳でよく見られる“嘘泣き”は「発達の証」+「心の訴え」 冷静に対処を

 子どもが“嘘泣き”をする時期は個人差もありますが、一般的には2歳から3歳の間によく見られると言われています。この時期は、子どもが自分の意思や感情を表現する際に、泣くことが効果的な方法だと気づくからです。周囲の状況や反応を理解する能力も発達しているため、“泣けば望みが叶う”と学習することがあります。

 何歳ぐらいまでは、嘘泣きをしていても大丈夫なのか? その基準について、子どもから高齢者まで、心身の健康をサポートしている公認心理師であり芸術療法士の芙和せらさんに聞きました。

「小学校に入っても嘘泣きが続くようなら心配です。なぜならその頃には、言葉である程度の要求を伝えられるようになっているはずだからです。小学校になっても嘘泣きが続く場合は、言葉の発達が遅れていないか、親が厳しすぎて嘘泣き以外の手段で意思疎通ができないと思い込ませていないか、などを考えましょう」

 また、愛情確認や希望を実現させるだけでなく、自分の非を認めたくない時など、自己保身のために嘘泣きをする場合あります。それは、言葉で上手く表現できない子どもの心の訴えでもあります。

 嘘泣きは、子どもの成長の一過程であり、悪いことではありません。しかし、嘘泣きに対して親がどのように対応するかは、子どもの今後の人間関係やコミュニケーションに影響する可能性があります。嘘泣きを見破る方法としては、涙の有無や声の感情のこもり具合、泣き止むタイミングなどに注目すると良いでしょう。

無視や怒鳴ったりするのはNG…「嘘泣きをしない、できない子どももいる」

 親としてはイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、嘘泣きをしているとわかったら、冷静に対処し、子どもの気持ちを理解し、親としての考えを伝えることが大切です。嘘泣きは、成長過程で起こる自然な現象です。状況によって、以下のような対処をしてみましょう。

(1)叱らず、子どもの話を聞いてあげる。子どもの気持ちを理解して共感してあげることが大切です。
(2)子どもの要求をすべて飲まない。優しく断ることも必要。
(3)自分の気持ちを言葉で伝えられるように教える。
(4)友達やきょうだいでの喧嘩の際は、別のおもちゃに興味を持たせる。子どもの注意をそらすことで、嘘泣きを忘れさせることができます。
(5)嘘泣きに「どうしたの?」と声をかけたにも関わらず、続く時は短時間の放置であればOKです。「泣き止んだらお話聞くね」と時間を置くと良いでしょう。
(6)嘘泣きに便乗してあげる。子どもの演技に付き合って、大げさに同情したり、抱きしめたりすることも良いでしょう。ただし、これをやりすぎると、子どもは嘘泣きをすることで自分の思い通りになると学習してしまう可能性もあるので、注意が必要です。
(7)子どもに「泣きやむまで待っているよ」と言って、その場から離れてそっとしておく。自分自身で落ち着く時間を持たせることも有効な場合があります。
(8)外の景色を見せたり、一緒に歌を歌うなども効果的です。

 これら対処方法以外に、大人の行動で注意することもあります。

「嘘泣きをした時に誰が泣かせたなど大人が大騒ぎするのは逆効果です。例えば、子どもが嘘泣きをした時に、父親が母親に向かって『うるさいから黙らせろ』と怒鳴りつけ、母親が慌てて泣きやまそうとするなどの場面を想像してみてください。子どもは自分が嘘泣きをすることで、両親を支配できると学習してしまいます。

 また、きょうだいや友人との喧嘩で嘘泣きした時に、どっちが良い、悪いなどを決めるのは良くないです。嘘泣きした子どもの味方になると、嘘泣きが続きます。冷静に互いの言い分を聞くこと、どちらかの味方にもならないことが大事です」

 では、嘘泣きを完全に無視することで、今後の子どもの成長に、どのような影響があるのでしょうか。

「どんなに自分が気持ちを訴えても親は無反応である→意志表示をしても無駄→基本的信頼感が得られない→結果、大人になっても他者との安定的な交流が持てなくなるケースがあります。その一方、即反応することを繰り返すと、嘘泣きが続きます

 また、「嘘泣きをしない、できない子どももいる」と言います。

「嘘泣きをしない子もいます。泣く時は本気泣きのみ。だからといって異常なわけではありません。親などの周りの大人が子どもに共感的、受容的な場合は、嘘泣きをする必要がありません。また、理解してもらえないことに嘘泣きではなく、怒りで表現する子どももいます。そして、いい子を演じる子もいます。親子関係によって要求を通そうとする時の表現手段は変わります」

 子どもの嘘泣きは、成長過程で起こる自然現象であり、一時的なものです。そして、知性やコミュニケーション能力の発達の証でもあります。その感情を無視したり、怒鳴ったりすると、ますます不安や不満を感じてしまいます。子どもの気持ちに寄り添いながら、冷静に対応してあげましょう。
芙和せらさん

監修者 芙和せらさん

公認心理師(国家資格)であり芸術療法士として、オリジナルの生花を用いたアートセラピーやコミュニケーション心理学により、子ども、女性、高齢者の心身の健康をサポートしています。特に現在は生花で子どもの心を豊かに育てる取り組みに力をそそいでいます。

◆キッズベリー花育ラボ
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