『いつも心にケセラセラ』より
39歳で映画『踊る大捜査線 THE MOVIE2』のオーディションに挑戦。同作は、俳優・真矢ミキのポジションを確固たるものとした。その後の俳優やMCとしての活躍はご存じの通りだが、スポットライトには影もある。
「もうこの先に道はないのではないか? という壁に当たったことは何度もありました。そんなとき私は、心の中に浮かんだ言葉を文字にするんです。紙に枠を引いて『どこで道を間違えたのかな』『本当はどちらに進みたかったの?』『じゃあ車線変更するためにどれだけの時間と努力を割ける?』など、つらつらと自分に問いかける感じですね。それで答えが出ることもあれば、『どうでもいい悩みだったな』と気づくことも。もちろんうれしかったことも書きますし、誰かに明かすよりも文字にするほうが私には向いているようです」
エッセイ『いつも心にケセラセラ』には表舞台で見せてこなかった心のひだやプライベートが、ときにユーモアを滲ませながら心地よく穏やかな筆致で綴られる。
「“ケセラセラ”という言葉に私はお守りのようなものを感じるんです。これまでガタガタ道ばかり走ってきて、何度も道を間違えたし、エンストも起こしたし、パンクも起こしたけれど覚悟を決めて進んだら“なるようになる”。これまでもそうだったよね、と。一歩踏み出すのも怖いような先の見えない時代ですが、読んでくださる方に心を楽にしてもらえたら。そんな思いを込めて書きました」
編み物や油絵、版画、読書など数多くの趣味を持つ彼女だが、50代の終わりからハマっているのが登山だという。どん底時代を抜け出したときのように、新しい景色を観たいというモチベーションが今再び湧き上がっているのかもしれない。
(取材・文/児玉澄子)