【医師に聞く】「紫外線が白髪の原因に?」白髪や薄毛、抜け毛…髪にNGな習慣や摂るべき栄養素を解説
2024-05-14 eltha
多くの女性が苦労する白髪、大きな原因は遺伝とストレス
「主な理由は、メラノサイトという色素細胞がなくなってしまうことによってメラニンが生成できなくなり、色が入らなくなってしまうためです。髪の色はメラニンによって決まっています。例えば、日本人を含むアジア系の方に多い黒髪はメラニンの量が多いことに、欧米人などに多いブロンドはメラニンの量が少ないことに由来しています。白髪はメラニンがほとんどないことによって、作り出されてしまうんです。加齢とともに白髪が増えるのは、メラニン色素が作られにくくなるからだといわれています」
白髪になりやすいかどうかは遺伝的要素も関係するといわれていますが、もうひとつの大きな原因には「ストレス」があるそう。とくに10〜20代に発症する“若白髪”は、遺伝的要因以上に、ストレスが原因であることが多いといいます。
「ストレスを受けると毛細血管が収縮してしまい、頭皮が血行不良に陥ります。するとメラニン色素が十分髪に行き届かず、白髪になってしまうと考えられています」
ドラマや小説で、心理的に多大な苦痛を受けた後、一夜にして髪が真っ白になったという描写がよくあります。現実ではそこまで一気に白髪になることはないにせよ、ストレスはとにかく髪に影響するということです。
ストレスと女性ホルモン現象で、更年期前後には薄毛の悩みも
「ストレスによって頭皮の血行が悪くなり、十分な栄養が髪に行き届かなくなると、ヘアサイクルが乱れて、抜け毛や薄毛を引き起こします。また、ストレスで自律神経のバランスが崩れるとホルモンバランスも崩れ、これも抜け毛や薄毛の原因になります」
薄毛や抜け毛というと、前頭部や頭頂部などが局所的に薄くなる男性型脱毛症(AGA)がよく知られていますが、実は女性にも起こる症状。女性の場合は、加齢によるヘアサイクルの変化に加え、ホルモンバランスや生活習慣の乱れが原因となり、全体的に少しずつ薄くなる「びまん性脱毛症」であることが特徴です。
「女性の場合、年齢を重ねるとともに女性ホルモンの濃度が下がって、髪の毛が細く軟らかくなります。髪の成長も遅くなり、抜ける量は増えるのに発毛量は減ってしまいます。さらに、更年期前後に女性ホルモンの分泌量が低下すると、相対的に男性ホルモンの濃度が高くなって、男性型脱毛症のAGAと同じメカニズムで薄毛が引き起こされます」
髪にとっても紫外線は大敵、白髪や薄毛に悩んだ時に摂るべき栄養素は?
「まず、髪にとっても紫外線は大敵です。紫外線を浴びると毛母細胞がダメージを受け、白髪や薄毛、抜け毛の危険性が高まります。髪に良いケアとしては、入浴や頭皮マッサージは頭皮の血行促進に有効。栄養バランスのとれた規則正しい食事も、頭皮環境を整える重要な要素です。特に白髪に気をつけたい人は、ヨードやチロシン、銅の含まれた食事やサプリメントの摂取を心がけてください。薄毛に気をつけたい人は、髪の栄養素となる海藻やミネラル成分、鉄分などの摂取を心がけるといいでしょう」
さらに、髪を作るたんぱく質も重要です。
「髪の毛は約80〜90%がタンパク質で構成されていて、そのうちの90%はケラチンが占めているといわれています。ケラチンには髪の毛に柔軟性や弾力性を与えるシスチンというアミノ酸が豊富に含まれているので、食事やプロテインなどのサプリメントで摂取を心がけてください。女性の場合、女性ホルモンの減少も薄毛の原因となるので、女性ホルモンと似た作用のあるイソフラボンや大豆製品も、とくに更年期前後の方は積極的に摂っていただくといいでしょう」
年齢を重ねれば、誰もが対峙することとなる白髪と薄毛。悩む人は多いと思いますが、日頃の生活とケアを心がけていきたいものです。
監修者 宋 有奈(そんゆな)
獨協医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院に勤務し、形成外科・レーザーを中心とした診療を行う。現在はクリニックフォアで皮膚科、形成外科の質の高いプライマリーケアの実践を行っている。
治療の実例(30代女性の場合)
30代 女性
治療内容 スピロノラクトン内服、ミノキシジル内服
服用期間 2ヶ月
治療料金 税込11,220円〜
副作用
スピロノラクトン:頻尿、口渇、低血圧、生理不順、乳房痛
ミノキシジル:血圧低下や心拍数の増加、頭痛やめまい、手足のむくみ、初期脱毛