峰不二子、こびない強さや様々な表情で魅了する”多様性”がZ世代の意識と合致 コラボ下着が前年比190%の背景
2024-06-04 eltha
昭和の時代から常に”理想のボディ”の象徴、峰不二子というコンテンツの強度
公式設定によると、峰不二子のスリーサイズは、バスト99.9cm、ウエスト55.5cm、ヒップ88.8cm。身長も167cmと高く、抜群のプロポーションを誇る。くっきりと胸の谷間ができる豊満なバストに見事なくびれ、引き締まったヒップは、スタイル抜群のグラビアアイドルが「リアル峰不二子」と称賛されることがあるほど、憧れボディの代名詞のように語られている。
その峰不二子と過去5回に渡りコラボレーションしているワコールの下着ブランド「AMPHI」では、定番商品である『グラマリッチ(Glama-Rich)』と初コラボした第一弾商品が前年比190%の売り上げを達成した。同ブランドのターゲット層である20代〜30代女性の心をしっかり掴み、同ブランドにとっても「新しいお客様との接点を作ってくれた。想像以上の結果となりました」(堀さん、以下同)と当時を振り返る。
コラボキャラクター選定にあたり、「好きなアニメのヒロイン」と「理想のボディを持つ女性マンガキャラに関するアンケート調査を見て、アニメを観ていた層だけではなく、同ブランドターゲット層まで、幅広い年代の女性から“憧れの対象”となっている調査結果にまず驚いたという堀さん。コラボする同社の『グラマリッチ』という商品は、谷間を作るのが特徴のブラジャー。一見キャラクターとの親和性もあるように思えたが、くっきりとしたセクシーな谷間を演出できる“谷間メイクブラ”を、もともとスタイル抜群な峰不二子が本当につけているのだろうか?
「峰不二子は元々のボディラインがグラマラスなタイプ。そこにユーザーの憧れもある。峰不二子だったらどのような下着を身に着けるのか、版権元とも何度も話し合い、デザインに落とし込んでいきました」
その峰不二子と過去5回に渡りコラボレーションしているワコールの下着ブランド「AMPHI」では、定番商品である『グラマリッチ(Glama-Rich)』と初コラボした第一弾商品が前年比190%の売り上げを達成した。同ブランドのターゲット層である20代〜30代女性の心をしっかり掴み、同ブランドにとっても「新しいお客様との接点を作ってくれた。想像以上の結果となりました」(堀さん、以下同)と当時を振り返る。
コラボキャラクター選定にあたり、「好きなアニメのヒロイン」と「理想のボディを持つ女性マンガキャラに関するアンケート調査を見て、アニメを観ていた層だけではなく、同ブランドターゲット層まで、幅広い年代の女性から“憧れの対象”となっている調査結果にまず驚いたという堀さん。コラボする同社の『グラマリッチ』という商品は、谷間を作るのが特徴のブラジャー。一見キャラクターとの親和性もあるように思えたが、くっきりとしたセクシーな谷間を演出できる“谷間メイクブラ”を、もともとスタイル抜群な峰不二子が本当につけているのだろうか?
「峰不二子は元々のボディラインがグラマラスなタイプ。そこにユーザーの憧れもある。峰不二子だったらどのような下着を身に着けるのか、版権元とも何度も話し合い、デザインに落とし込んでいきました」
こびない強さや色々な表情で魅了する多様性がZ世代の意識と合致
そこで行きついたのが、カップ部分に「肌色のチュール」を使用し、その上にレースを重ね合わせることで、『素肌にレースを乗せただけなのに谷間がある』ように見えるというデザイン。「峰不二子らしいセクシーさを表現するために、紐と肌色のチュールを合わせて透けている感じをショーツに出すなどディテールにもこだわっています。色も、彼女のイメージでビビットなピンクを採用しました。それまでのアンフィにはあまりなかったカラーなのですが、峰不二子というキャラクターがフックになって、こういう色が受け入れられたのかなと思います」。
ただレースを纏っている、シンプルな三角ブラを着けているように見えるのに、実は谷間がメイクされている。ある意味、周囲を“欺いた”コラボブラ。広告等に使われている峰不二子の着用イラストでは、肌色のベース部分は描かれていないのも、このためだ。
ただレースを纏っている、シンプルな三角ブラを着けているように見えるのに、実は谷間がメイクされている。ある意味、周囲を“欺いた”コラボブラ。広告等に使われている峰不二子の着用イラストでは、肌色のベース部分は描かれていないのも、このためだ。
「お客様からは、『不二子ちゃんとお揃いで嬉しい』『不二子シリーズは毎回買っています』などの嬉しいお声をいただいています。購入目的はそれぞれですが、日々のモチベーションを上げたり満足感を得たりするために選んでいただいているのかなと思います」
第一弾が発売された2018年当時、コラボ下着は店舗、ECでも反響を呼んだ。SNSでは「峰不二子につられてブラ買っちゃった」「確かに盛れる」「お胸だけ峰不二子マジック」など多くの声が発信され、新規顧客の獲得に貢献した。
その後もグラマリッチと峰不二子のコラボ企画は順調に推移。峰不二子の様々な一面を色で表現し、ブランドサイトでの「カラー診断」を実施した第4弾では、サイト訪問者数が1.5倍に増加するなど、峰不二子効果は健在だ。
「もともとはグラマリッチが谷間を作ってくれる商品だということをわかりやすくお客様に伝えるために峰不二子というキャラクターを起用したのですが、彼女の魅力はスタイルの良さだけではありません。ルパンを翻弄する頭の良さや、人に媚びないところ、自分の芯を持って前向きに振る舞う姿など、内面の強さもあり、それが今の20代の共感を得たのではないかと思っています」
アニメの峰不二子は、「ねぇ、ルパン」と甘える素振りを見せることもあるが、状況が変わればあっさりとルパンを裏切る“強かさ”もある。働き方や結婚観が刻々と変化し、経済の先行きも不透明な今の時代、状況に合わせて臨機応変に対応し、最終的に自分を貫ける強さは多くの女性の支持を集めるのだろう。
第一弾が発売された2018年当時、コラボ下着は店舗、ECでも反響を呼んだ。SNSでは「峰不二子につられてブラ買っちゃった」「確かに盛れる」「お胸だけ峰不二子マジック」など多くの声が発信され、新規顧客の獲得に貢献した。
その後もグラマリッチと峰不二子のコラボ企画は順調に推移。峰不二子の様々な一面を色で表現し、ブランドサイトでの「カラー診断」を実施した第4弾では、サイト訪問者数が1.5倍に増加するなど、峰不二子効果は健在だ。
「もともとはグラマリッチが谷間を作ってくれる商品だということをわかりやすくお客様に伝えるために峰不二子というキャラクターを起用したのですが、彼女の魅力はスタイルの良さだけではありません。ルパンを翻弄する頭の良さや、人に媚びないところ、自分の芯を持って前向きに振る舞う姿など、内面の強さもあり、それが今の20代の共感を得たのではないかと思っています」
アニメの峰不二子は、「ねぇ、ルパン」と甘える素振りを見せることもあるが、状況が変わればあっさりとルパンを裏切る“強かさ”もある。働き方や結婚観が刻々と変化し、経済の先行きも不透明な今の時代、状況に合わせて臨機応変に対応し、最終的に自分を貫ける強さは多くの女性の支持を集めるのだろう。
誰のための下着なのか? 自分の価値基準を高めるものに
また、峰不二子は作品によって描かれ方が変わるところもあるが、「いろんな面を見せるところも峰不二子の魅力」であり、多様な価値観・考えを尊重する傾向が見られるZ世代に受け入れられたのではないか、と堀さんは分析している。
「今の20代30代は、誰かのために胸をキレイに見せたいというよりは、自分の中に評価軸があって、それに合うものを求めているように思います。その評価軸も多様化してきているため、そこに一致するストーリーや商品ポイントを展開できれば、お客様が興味関心を持ってくれるのではないかと思います」
この“多様性”は、ブラジャーだけでなく、下着そのものへの意識にも影響。下着に対する若い女性のスタンスは変わってきているという。
「以前は、下着と言えばブラジャーとショーツでしたが、今では、下着と言ったらブラトップを思い浮かべる20代が多いと思います。ノンワイヤーブラやブラトップの市場は伸びてきていて、下着でバストメイクをする、悩みを解決するというより、楽に過ごせればいい、透けなければいいという意識の人も増えていると思います」
ファッション全体の中でも、メイクやアウターと比べると下着への関心は低くなっている現状がある。同社の調査では、20代女性の約7割が自分の体に合ったブラジャーを身に着けておらず、自分に合っていないという感覚すら持っていない結果(※)も出ているという。
「峰不二子コラボを通じて、身体に合った下着をつける心地よさや満足感を知り、下着に価値を感じてもらいたいと考えています。アンフィのブラジャーを他に合わせてつけたら、こんなにスタイルや着用感が違うんだ、とか、今日はこれを身につけよう、と選ぶという行動に対するワクワク感とか、そういうところをブランドとして伝えていきたいと思います」
バストを大きく見せてグラマラスに魅せる、控え目に見せてスッキリと着こなすなど、下着で体型を整え、様々なファッションを着こなすことは、変装を得意とし、変幻自在な峰不二子の姿とも一致する。
抜群のスタイルと天才的な頭脳で相手を翻弄し、状況に応じて自らを臨機応変に変化させていく峰不二子の姿は、昭和の時代は自立した女性の先駆けとして、令和となった今では、時代の変化にしなやかに対応する強さの象徴として、多くの女性の心を盗み続けているのだろう。
※2008年ワコール調べ
(C)モンキー・パンチ/TMS・NTV
取材・文/森下なつ
「今の20代30代は、誰かのために胸をキレイに見せたいというよりは、自分の中に評価軸があって、それに合うものを求めているように思います。その評価軸も多様化してきているため、そこに一致するストーリーや商品ポイントを展開できれば、お客様が興味関心を持ってくれるのではないかと思います」
この“多様性”は、ブラジャーだけでなく、下着そのものへの意識にも影響。下着に対する若い女性のスタンスは変わってきているという。
「以前は、下着と言えばブラジャーとショーツでしたが、今では、下着と言ったらブラトップを思い浮かべる20代が多いと思います。ノンワイヤーブラやブラトップの市場は伸びてきていて、下着でバストメイクをする、悩みを解決するというより、楽に過ごせればいい、透けなければいいという意識の人も増えていると思います」
ファッション全体の中でも、メイクやアウターと比べると下着への関心は低くなっている現状がある。同社の調査では、20代女性の約7割が自分の体に合ったブラジャーを身に着けておらず、自分に合っていないという感覚すら持っていない結果(※)も出ているという。
「峰不二子コラボを通じて、身体に合った下着をつける心地よさや満足感を知り、下着に価値を感じてもらいたいと考えています。アンフィのブラジャーを他に合わせてつけたら、こんなにスタイルや着用感が違うんだ、とか、今日はこれを身につけよう、と選ぶという行動に対するワクワク感とか、そういうところをブランドとして伝えていきたいと思います」
バストを大きく見せてグラマラスに魅せる、控え目に見せてスッキリと着こなすなど、下着で体型を整え、様々なファッションを着こなすことは、変装を得意とし、変幻自在な峰不二子の姿とも一致する。
抜群のスタイルと天才的な頭脳で相手を翻弄し、状況に応じて自らを臨機応変に変化させていく峰不二子の姿は、昭和の時代は自立した女性の先駆けとして、令和となった今では、時代の変化にしなやかに対応する強さの象徴として、多くの女性の心を盗み続けているのだろう。
※2008年ワコール調べ
(C)モンキー・パンチ/TMS・NTV
取材・文/森下なつ